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Opheliaの二面性 [Paintings]

ophilia-1.jpg


シェークスピアの『ハムレット』。
ハムレットの恋人のオフィーリアは、ハムレットが復讐に燃えている間に狂い死にしてしまいます。

これは画家のジョン・エヴァレット・ミレイが、22歳の時に描いたものです。

この絵を高校生の時に画集で初めて見たときは、本当に衝撃的でした。
小川の中で、彼女は歌っています。
祈りの歌を歌いながらうつろな瞳で宙を見つめて、死んでいこうとしています。

描かれた植物はそれぞれ意味があるそうです。

ヒナギク・・・・・・・・・・無垢
柳・・・・・・・・・・・・・・・見捨てられた愛
パンジー・・・・・・・・・・愛の虚しさ
イラクサ・・・・・・・・・・・苦悩
スミレ・・・・・・・・・・・・誠実、純潔、夭折
ケシ・・・・・・・・・・・・・死


この絵が見たくて、ロンドンではテートギャラリーまで迷いながらバスで行きました。

OpheliaAlexandreCabanel.jpgAlexandreCabuel


これほどまでに画家たちの想像を掻き立てる作中人物は、神話を除けば限定されてくるでしょうね。
やはり、国によってそのような存在はありますよね。日本でいえば小野小町とか額田王とか。
中国では楊貴妃とか王昭君でしょうか。

実在の人物ではないだけに、想像力が無限に膨らむのですね。
オフィーリアもイギリス人にとってはそのような一人のようです。
opheliaantoineAugusteEmestHerbert.jpgAntoine.A.E.Herbertあ、これはPariに。



ウォーターハウスも生涯に何枚かオフィーリアを描いています。

WaterhouseOphelia_1894.jpg


画家の芸術的感性を刺激する女性のタイプは、2通りあると言われます(作家も)。
一つは「ファム・ファタル」。運命の女とか、妖婦というような意味です。
怪しい小悪魔的な妖艶さで、攻撃的まなざしを持ち、男を狂わせる、というような女性。

opheliaArthurHughes1865.jpgAthurHughes


もうひとつは「ファム・フラジル」。 壊れやすい女、繊細な女、か弱い女です。
少女のようなたおやかな儚げな魅力で、風でほろりと散る花のような風情で、
不幸を暗示させるような危なげな女性です。

オフィリアは間違いなく後者のほうですね。

opheliaPaulAlbertSteck.jpgP.AlbertSteck


でも・・・

ある意味、両者はまったく正反対のタイプにも思えますが、実は一人の女が内に持つ二面性なのです。
ある時は強く情熱的で、ある時は儚く悲劇的で。
だから一見、ファム・フラジルにしか見えないオフィーリアも、見えない部分のファム・ファタル性が
芸術家たちの想像を刺激し続けるのでしょうね。
opheliaWGSimmonds1910.jpgW.G.Simmonds


何が彼を死に至らしめたか? [Unsolved Misteries]

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医学の進歩目覚ましい現代ならば、そんなことは簡単にわかってしまったかもしれませんね。
でもこれは、そんなじだいではなかっただけに、人々の想像を大変に刺激したようです。

古典派の、誰でも知っている作曲家、モーツァルト。

小学校の頃、音楽室に古めかしい肖像画がベートーベンやバッハやハイドンとともに飾られ
ていましたっけ。

a.moza2.jpg

[右斜め上]
これって、死後に想像で描かれたものだそうですね。

実際の彼は160cmちょっとくらいで小太り。

3歳で作曲を始めた天才音楽少年で、どこへ行ってももてはやされていましたが、神童はやはり、神童
なのですね。成長すると世間からもてはやされなくなりました。

で、今回はその死因に関する謎です。

急性粟粒(ぞくりゅう)疹熱といって、15世紀末から16世紀半ばまでヨーロッパで流行した病気で
亡くなったと言われます。要するに、気が狂いそうなほどの熱病のようです。

でもほかにも水銀中毒だとか、リューマチだとか梅毒だとかの推測もなされています。

むくみがひどかったことから、毒殺説も死後に広まりました。
太ももから腹部にかけて、腫瘍があったそうです。

これはイタリア産(ホラ、「毒殺」=「イタリアする」でしたから!)のアクア・トファナという、当時の
ヨローッパで暗殺のために流行(!)した毒薬によると言われました。

何日もかけてじわりじわりときいて、ある日ぱったり亡くなるという恐ろしい毒薬ですって。
これを食べ物に混ぜられたのでは?というのが後世の仮説のひとつ。

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これは若いころのコンスタンツェ。


毒殺説の犯人予測は・・・

①妻のコンスタンツェ。 理由は、モーツァルトが友人の妻と不倫していたから。

②宮廷楽長のイタリア人音楽家のサリエリ。モーツァルトと対立し、演奏会を妨害したとのウワサもあり。

そしてそれよりも大掛かりな仮説は、暗殺説

オペラ『魔笛』に、フリーメーソンリーの教義がちりばめられているそうです。
この歌劇は、脚本、作曲、歌手、俳優などもみんなフリーメーソンリーのメンバーだったそうです。
あ、もちろん、今現在も続く秘密結社ですが、通常は暗殺はしない、とおもいますw

モーツァルトはこのメンバーの一人で、内密の儀式の様子を外部に漏らしたから殺されたのだ、と。

だから彼は亡くなってすぐに参列者も許されないまま、共同墓地にひそかに葬られたために、正確な
墓の位置もわからないのだ・・・・と。

『魔笛』を書き上げたころの彼は、フリーメーソンリーに傾倒していたとか。
これはあくまで仮説ですが、ひとつ、奇妙なことがあるために疑いをもたれたようです。

モーツァルトが亡くなった同じ日に、彼の友人で同じフリーメーソンリーのメンバーである
ホーフデーメルが、自宅で妻と無理心中をしたのです。

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実はこのホーフデーメルの妻がモーツァルトの不倫相手のマグターレ。
ホーフデーメルは妻の喉をカミソリで掻き切った後、自分の首もそうして自殺しました。
でも、妻は助かりました。

モーツァルトのお葬式の帰りに寄った別の友人によって発見されて一命を取り留めたのです。

ホーフデーメルが妻を取られた個人的腹いせにモーツァルトを毒殺したのか。
あるいは、組織に命令されて手を下したのか・・・

ということで、現代医学をもってすればすんなりと死因がわかったでしょうが、今となっては遺骨も
どこだかわからないために、数人に犯人の濡れ衣が着せられたまま、永遠のミステリーとなって
しまったのです。


a.HesiodListening to the Inspiration of the Muse.Edmond Aman-Jean.small.jpg

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