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私はあなただけを見つめています・・・ [Mythologyのみそ]

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水のニンフ(妖精)であるクリュティエは、太陽の神ヘリオスの恋人でした。

とても幸せだったのだけれど・・・・・

彼は心変わりをして、彼女を捨ててしまいます。

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悲しんだ彼女は嫉妬のあまり、彼が思いを寄せる相手の父親のもとにまで、

ヘリオスの不実さを告げ口しに行きます。

そんな彼女に、ヘリオスは心を戻すはずもありません。

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9日分の昼と、9日分の夜、

クリュティエは大地に立ちつくし、空のヘリオスを見上げつづけました。

恋しい恋しいヘリオスを、飲むことも食べることも忘れて、

ただただ、見上げ続けていました。


彼女の足は大地に根付き

10日目には

一輪の花になりました。

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それが太陽を見つめてその動きとともに花のかんばせを向け続ける、ヘリオトロープ。

あわれなクリュティエの、なれのはて。



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これは太陽に向く花、というところから、ひまわりと混同されました。

でもひまわりは北アメリカ原産ですから・・・・ギリシア神話には当然登場しないのですヨ。


Psyche ① 運命の始まり [Mythologyのみそ]

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ある国の王様には、3人の姫君がおりました。
上の2人はそれぞれ他国の王に嫁ぎ、幸せに暮らしていました。

末の姫君はプシュケと言って、どこをとっても完璧な美しさの持ち主でした。
「美の女神の再来」とたたえられ、その美しさは広く知れ渡っておりました。

そのため、アフロディーテの神殿に参詣する人がへり、人々はプシュケを拝みに行くようになりました。
人間の分際で、と怒ったアフロディテは、息子のエロスに命じます。

「あの人間の小娘が、世界で一番みじめな男に恋い焦がれるようにしておいで」

エロスは、神々でも逆らえない、当たると誰でも狂おしく恋焦がれてしまう矢を持っておりました。
いたずら好きのエロスは喜んで引き受けます。

でも・・・・

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プシュケを見たエロスまでもが、その美しさにぼんやりとしてしまい、放とうとした矢で自らを
傷つけてしまったのです。

さぁ、たいへん。エロスは矢に当たってプシュケに恋してしまったのです。

一方、彼女の父王は婚期を逃す美しすぎる末娘を心配して、アポロンの神託を受けに行きました。
そこで下された信託は、ひどいものでした。

「お前の娘は神々も恐れる、この世で最も恐ろしいものの妻になるだろう。喪服を着せて、
崖の上に置き去りにせよ」

王は泣く泣く、信託の通りにいたしました。
すると西風がプシュケを谷間に運び、花々の咲き乱れる野に置き去りにしました。
そこには宮殿があり、姿の見えない者たちが、彼女を大切に世話しはじめました。

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夜、寝所に誰かが入ってくる気配がしました。
彼女を妻にすると言ったその姿の見えないものは、朝になると気配を消します。
顔の見えない夫・・・・。

妹がいけにえにされたと信じ込んだ姉たちは、プシュケが置き去りにされた崖にやってきて
泣き叫びました。
「お前のよこしまな姉たちは、私たちの別れの原因になる。だからここに連れてきてはいけない」
という姿の見えない夫の言葉を忘れて、姉たちを呼んでしまったプシュケ。

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「どうして妹だけがこんな幸せを受けるのかしら?」
姉たちは豪華な暮らしぶりを見て、プシュケに嫉妬します。

そして姿の見えない夫の正体は蛇だから、すきを見てカミソリで殺してしまいなさい」と
妹に吹き込むのです。

姉たちの奸計に惑わされたプシュケは、夫が眠った後、ランプの明かりでその姿を見てしまいます。
すると、そこには、蛇などではなく、すべての神々の中でももっとも美しく凛々しい、エロスが
眠っていたのです。

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彼の矢を何気なく触ってしまい、うっかり鏑で傷を負ってしまった彼女は、矢の魔力で夫に
狂おしいほど恋してしまいました。夫を抱きしめた瞬間に、ランプの油がこぼれてしまい、
エロスの右肩に落ちました。

エロスは痛みと怒りで飛びあがりました。
プシュケはエロスにすがりつきましたが、力尽きて手を放してしまいました。

「愚かなプシュケ、姉たちに気をつけろと言った夫の私の言葉より、姉たちの言葉を信じるとは。
お前には夫を失う天罰が下るのだよ」

そしてエロスは天高く去って行ってしまいました・・・・・。



Psyche ② 姑からの数々の試練 [Mythologyのみそ]

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夫が去って行った後、プシュケは絶望のあまり、川に身投げを試みました。
でも、川の水は甘やかに彼女を包み込み、やがて岸にやさしく引き上げました。

川の水は、彼女がまだエロスに愛されていることを知っていたからです。
川の近くには、半神半獣のパンがおりました。
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彼は彼女と夫の間に起きた出来事を知っていたので、彼女を慰め、力づけました。

そしてプシュケは、夫を探す旅に出る決意をするのです。

まず、彼女は二人の姉たちの嫁ぎ先をそれぞれ訪れます。
姉たちは驚いて、それぞれに同じことを考えたのです。

「なんてこと!妹の夫が、あの美しいエロスだったとは!エロスが妹を捨てたのなら、
今度は私が妻になろう! 妹がなれたのに、私がなれないはずはなくて!!」

そして二人の姉はそれぞれの夫を捨てて故郷に帰り、プシュケの置き去りにされた崖に行き
風に問いかけました。

「風よ、新しい妻となる私を、エロスのもとへ運んでおくれ!」

風は姉たちを噴き上げると、谷底へ落してしまいました。
これがエロスがよこしまな姉たちに与えた天罰でした。

アフロディーテは怒っていました。

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「憎い娘、最愛の息子にやけどまでさせるとは!」
そして彼女はプシュケを連れてきた者には褒美を取らすと公言します。
プシュケは自ら美の女神のもとへ出向く決心をしました。

アフロディテはプシュケをさんざんに打ちのめし、あらゆる穀物を混ぜた山を見せ、
それをすべて分けるように命じました。

絶望した彼女の前に、アリたちがやってきて、仕分けをしてくれました。
アリたちは、エロスが大好きだったのです。
一方、エロスは傷がいえるまで母によって部屋に閉じ込められておりました。

その間にプシュケはまた難題を押し付けられます。
川辺の黄金の羊たちの毛を採ってくるように・・・・。

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プシュケはまたもや絶望で崖から身を投げようとします。
でも葦たちが彼女にやさしく語りかけるのです。

「偉大なエロス様に愛されし奥方様、あの羊たちは日中は凶暴ですが、日が沈めば
おとなしくなるのです。森の木を揺さぶれば、枝に付いた羊毛が簡単に集められますからね」

そのとおりにすると、黄金の羊毛がたくさん集められました。
アフロディテは忌々しげに次の難題を命じました。

「あの高い山の頂上付近の水を汲んでおいで」
水晶の水差しを差し出しだされ、プシュケはとぼとぼと山に向かいます。
でもその山は険しくて、その上炎を吹く竜が棲んでいて、とても人間には近づくことのできない山でした。

今度はそこへ、ゼウスに仕える一羽の大鷲が飛んできて言いました。
「私がくんできて差し上げよう。水差しを出してください」

そして水晶の水差しを受け取ると、怪物や難所を軽々と越えて、水を汲んできてくれました。
アフロディテは水を持ち帰ったプシュケが面白くなくて仕方がありません。

そうして彼女は、最後の難問をプシュケに言い渡すのです・・・。


Psyche ③ 困難を乗り越えて・・・Happy ever after [Mythologyのみそ]

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アフロディテはプシュケに、もう一つの難題を言い渡しました。

ちいさな箱をひとつ持たせて、

「この箱をもって、死者の国へお行き。そしてペルセポネにあって、こう言うのだ。

『アフロディテがここに少しだけ、あなた様の若さを分けていただきたいと申しております。
彼女の美しさは、息子の看病のためにすっかり色あせてしまったものですから』

そして急いで戻りなさい。私が外出の用意を終えるまでに!!」

プシュケは本当に今度こそは、死ぬほかはないと考えます。
だって、生きている人間は、死者の国へ行くことなど不可能なのですから。

彼女は高い塔の上から身投げを図りました。
すると、塔が彼女に語りかけてきました。

「偉大なエロス様の最愛の奥方様、死ねば確かに死者の国へ行くことができますが、
二度と帰ってくることはできなくなるのです。スパルタのそばの、たいなろん岬にお行き
なさい。そこには前人未到の使者の国へ続く道があるそうです」

塔はさらに語ります。

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「手ぶらで行ってはなりませんよ。口の中にコインを2枚含み、麦をはちみつ酒でこねた
団子も2つ、持って行くのです。川の渡し守の強欲なカロンに、行きと帰りに1枚ずつ、直接
口を開けて、お金をとらせなさい。自分の手を使ってはなりません。道の途中で誰に何を言われても
話してはなりません。そして団子は、番犬のケルベロスに与えるのです」

アドバイスはまだ続きます。

「そしてペルセポネに何を勧められても、あちらの食べ物を決して口にしてはいけませんよ。
死者の国の食べ物を食べてしまったら、地上には戻れなくなりますから。そして・・・・もし、
どんなに興味があっても、帰る途中、箱の中を開けて中を見ようとしてはなりませんよ」

プシュケは素直に、すべて塔の教えてくれたようにやってのけました。
そしてペルセポネに「美しさ」を分けてもらい、小箱を持って無事に帰途につきました。

でも・・・・・。

やっと地上についた時に、ふと、思ってしまったのです。

「あたしも、アフロディテにいろいろな難題を押し付けられて、もう見る影もないくらいやつれ
衰えたことでしょう。これでアフロディテに許してもらってあのかたにお会いできたとしても、
こんなひどい状態のあたしをご覧になったら、がっかりなさるわね・・・」

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そして・・・・箱を見つめます。

「少しくらい・・・美しさを分けてもらっても、よくないかしら? だって、苦労して手に入れたのは、
ほかならぬこのあたしなんだもの・・・・」

プシュケは甘い誘惑に負けて、そっと箱を開けてしまいました。

すると中には、「美しさ」ではなくて、「眠り」が入っていたのです・・・・。

プシュケは、たちまちにその場で深い眠りの淵におちて行きました。

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ちょうどそのころ、ようやくやけどの傷の癒えたエロスは、母親に監禁されていた部屋から脱出しました。
いとしいプシュケが心配で彼女を探しに来たエロスは、森の中で昏睡するプシュケを見つけました。

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エロスは眠りを彼女の中から取り去り、小箱に戻しました。

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そうして矢の先で彼女を傷つけないようにそっと突いたのです。
プシュケは目覚めました。

エロスはプシュケに、アフロディテの用事を済ませてくるように言いつけ、自分はゼウスのもとへ
飛んでいきました。そしてプシュケとの結婚の許しをもらったのです。

なにせ、神々の王であるゼウスでさえも誰にでも惚れさせる力を持つエロスです。
ゼウスも彼を怒らせたくはなかったのです。

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ゼウスはすべての神々をあつめ、二人の結婚に祝福を与えました。
もう、アフロディテもゼウスに説得されては承諾するしかありませんでした。


こうして人間だったプシュケは、祝福を受けて神々の仲間入りをしました。
そしてエロスとともに末永く幸せに暮らしましたとさ。


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「プシュケ」は、「魂」とか「精神」という意味です。
幸せと困難が交互に来ても、最後には自身でどうにかする、それが大切なことだと
そんなメッセージが込められた神話なのですね。

ラミア [Mythologyのみそ]

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ラミアは、ギリシア神話に登場する、死ぬ運命にある女王です。

ゼウスに見初められましたが、その妻ヘラの嫉妬によってわが子を連れ去られてしまうのです。
その復讐のために悪魔となり、他人の子を盗って食べてしまうようになりました。
やがて彼女は多くの悪魔を産み、その悪魔たちもまた、人間の生き血を吸うようになってしまいます。

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・・・だから、吸血鬼や魔女の原型のようにみなされています。

蛇の下半身を持つとも言われていますが、キーツの詩からインスピレーションを受けた
ウォーターハウスの絵もは、グロテスクさは感じられないので、好きです。

ハーバート・ジェームスの絵も美しいです。

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子どもを奪われて深い悲しみと憎しみのために鬼子母神と化してしまった悲しい母。
産屋に住んで妊婦や新生児を食べてしまうという伝説は、まだ医学が十分に発達してい開かった時代に、
出産は危険が伴う一大事だったから、このラミアのような不幸の擬人化した悪魔が生まれたのでしょう。

インドや中国、日本の神や妖怪のルーツでもあります。




Ναυσικάα [Mythologyのみそ]

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ナウシカアはスケリア島の王の娘。
聡明で美しくて、気立てもよい。

ある日、海辺で漂着した若い男にひとめぼれしてしまいます。
かれは英雄オデュッセウス。でも、身分も名も明かしません。

それでも彼女は彼に好意的でした。
彼を町に案内し、歓待したのです。

父王は彼女が生まれた時に神託を受けていました。

「娘に近づいてくる、うそつき男にご用心」

つぎつぎと冒険譚を語る名も明かさない男。
父は彼に用心します。

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この謎の男を遠ざけようとしますが、すでに彼に恋しているナウシカアには無駄でした。
両親にいさめられればられるほど、彼女の恋心は募ります。

彼のようなひとと結婚したいの。

彼は美しいナウシカアに好意を持ちます。
でも彼の目標は、どこかの島で美しい女性と結婚してめでたしめでたし、ではないのです。
やがてほんとうの目的のために出ていくことにします。

彼にとってはただの通りすがりの出会い。
親切にも自分を助けてくれたかわいい女性と知り合っただけ。
でも彼女にとっては、理想の人との出会い、そして別れ。

あたしをけっして忘れないで。だって、あなたの命の恩人ですもの。

あたしのことを、アルテミス(月の女神)に似ていると言ってくれた。

あたしも、忘れないわ。


将来を誓い合ったわけでもないけれど、彼女は彼が忘れられなかったようです。
一生、誰とも結婚せずに通しました。

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そして彼の英雄譚を竪琴で歌い上げて、初の女吟遊詩人になったそうです。

そう・・・・

日本のアニメは、彼女からインスパイアされているそうです。


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月曜からみなさんのとても素敵な金環日食、たくさん見せていただきました。

宇宙位置のダイヤモンドリング、素晴らしかったですね。

思わず感嘆してしまう美しい写真を、ありがとうございました!!


アキレスがトロイア戦争に参戦したのは・・・ [Mythologyのみそ]

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アキレス腱の語源となったギリシア神話の英雄アキレウス。
べつにアキレウスでもアキレスでもどちらでもよいのです。
海の精霊テティスの息子。

彼を不死身にするために母親が不死身になる川の水に彼を浸した時、掴んでいた足首だけ
浸すのを忘れてしまったということでしたが。
→ http://niki310.blog.so-net.ne.jp/2012-02-16-1

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「トロイア戦争に参戦すれば、アキレスは必ず命を落とす」という不吉な神託を受けた母親のテティス。
彼女は愛する我が子を守るために、彼を女装させてスキュロス島のリュコメデス王の宮殿に隠します。

「赤い髪の娘」と呼ばれてアキレスはつつがなく暮らしていました。
そのうえ、王の娘の一人と恋仲になって、娘までもうけていました(女装していたのに)w

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でもある日・・・

オデュッセウスが、アキレスを探すために商人に扮してやってくるのです。
宝石や毛皮などの女性たちが喜ぶようなものに武器をいくつか混ぜておきました。

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王の娘たちがみんな、宝石や毛皮に夢中になっていたのに、「赤い髪の娘」だけは、武器を手に取ったのです。
これによってアキレスはオデュッセウスに正体を見破られ、戦争に行くことになったのでした。

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いかなることをしても、運命には逆らえないのでしょう。
結局は、神託通りの結果になるのですから・・・

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潔癖の女神 [Mythologyのみそ]

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月の女神アルテミスは、太陽神アポロンと双子ちゃんです。
月と太陽が双子だなんて、古代の人もすてきな感性をしていますね^^

アルテミスでもダイアナでも同じ女神のことですが、彼女は月の女神であり狩りの女神でもあります。
けがれなき乙女のまま決して結婚しない点は、美の女神ヴィーナスとは正反対ですw

彼女は異性には興味を持たず、弓矢を手に自由に野山を駆け巡り、狩りをすることが大好きでした。
狩りをするばかりかというとそうでもなくて、獲物たちの主人であり、保護者でもあります。

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この女神の逆鱗に触れてしまった人間の男、それはアクタイオンという人物でした。
彼は人間ながら半人半獣のケンタウロスに育てられました。
様々な教育を施され、特に狩りの技術は天才的でした。

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ある日彼は森の奥深くで狩りをしていて、休憩するために手ごろな場所を見つけました。
そこは泉がわき出た洞窟でした。

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アクタイオンは喉の渇きをいやそうと泉に近づき、洞窟で一休みしようと思いました。
でも、そこはアルテミス御用達の水浴び用の泉だったのです。

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アクタイオンに悪気はなかったのですが・・・これが運悪く、女神の水浴に出くわしてしまったのです。
美しい女神とニンフたちの水浴び、人間のアクタイオンは目をそらすことができませんでした。

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ニンフたちを連れて、水浴びをしていたアルテミスは、ふいに乱入してきた人間の男を見ると
不快感と怒りをあらわにしました。水浴びを覗かれるなんて、潔癖な女神には死ぬほどの屈辱です。

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怒ったアルテミスは泉の水をアクタイオンに浴びせました。
すると彼の姿は、たちまち牡鹿に変わったしまったのです。

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アルテミスは猟犬たちをけしかけました。
あわれ、鹿に変えられたアクタイオンは、猟犬たちにかみ殺されて死んでしまいました。

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鹿になったアクタイオンをかみ殺した猟犬たちは、今でも大犬座と子犬座として、夜空に輝いています。

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アルテミスはニンフたちに対しても容赦しません。
ニンフのカリストは、ゼウスに目を付けられて愛人の一人になっていました。
水浴びをするときに衣を脱がないカリストに、アルテミスは不快感をあらわにしました。
「けがらわしい!二度と近寄るな!」

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カリストは森の奥へ追いやられ、そこで一人でゼウスの子アルカスを産みました。
アルカスは祖父のもとで育てられました。

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ゼウスの妻ヘラは、ゼウスの浮気相手カリストを憎み、アルテミスに命じて熊に姿を変えさせてしまいます。
熊になった彼女を、成長した息子のアルカスが射殺してしまいました。
この母子を憐れんだゼウスは(って、すべては自分が原因じゃないの?!)、二人を夜空へあげました。
これが大熊座と小熊座になったのですよ。





月桂樹になったダフネ [Mythologyのみそ]

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ゼウスの息子で太陽の神アポロン。月の女神アルテミスは双子の姉です。
彼は医術の神でもあり、誰でも死に至らしめる恐ろしい弓矢を持っています。

あるとき、キューピッドのほんのいたずらで、恋に落ちるのです。

キューピッド(エロスのことですが)は、二つの種類の矢を持っています。
一つは鉛でできた矢じりの、恋をはねつける矢。
もう一つは、金でできた矢じりの、恋に溺れる矢。

キューピッドは鉛を河の神の娘でニンフ(妖精)のダフネに、
金の矢をアポロンに射ち込みました。

たちまちのうちにアポロンはダフネに恋してしまいます。

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でもダフネは恋をはねつける矢を射られたので、アポロンの恋心を受け取ることができません。
アポロンはゼウスの子にして、世界中の人々に信託を下す偉大な存在。
そんな彼でも、ダフネひとりの心をとらえることができないのです。

狂おしげにダフネを追いかけるアポロン。
つれなく逃げるダフネ。

彼女は逃げ回るけれど、ある時、アポロンに追いつかれそうになります。
女ならばだれでも喜んで太陽神の愛を受け入れるでしょうに、彼女はキューピッドの矢で
とことんまで彼を拒否するのです。

あやうく捕まりそうになった瞬間、彼女は河の神である父に祈ります。

「お願いですから、どうかわたくしの姿を隠して! そうでなければ、わたくしの姿を変えてくださいな!」

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するとどうでしょう、アポロンが彼女のウエストをとらえて抱きしめると、彼女が天に伸ばした手はこわばって、
指先から徐々に、細い枝になり、葉が生えてきました。

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彼がとらえた細い胴は木の皮に覆われはじめ、やがて彼女はしなやかな若木になり果てたのでした。

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アポロンは悲しんで、こう言いました。

「私のものにならないのなら、私の木におなりなさい。あなたは永遠の若さを保ち、
編まれて英雄たちの頭を飾りなさい」

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ダフネは月桂樹になり、アポロンの言葉通り、勝者のシンボルとなったのでした。

三女神 X3 [Mythologyのみそ]

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ゼウスにはヘラ以外のほかの女神やニンフたちとの間にたくさんの子供たちがいます。
その中でも有名な三姉妹が三組います。

まずは・・・・エウリュノメという水の女神との間にうまれた美の女神カリスたち。
美の女神といえばアフロディテ(=ヴィーナス)が思い浮かびますが、ほかにも複数の美の女神がいる
ようですw

まぁ、人の美意識というものに絶対はないので、相対的に複数の美の女神がいても不思議ではないですねw
でもやはり「愛と美の女神・アフロディテ」のほうが格が上のようでww
カリスたちはアフロディテに仕える女神たちなのですって。

ゼウスの主催する宴会の時には、カリスたちが場を盛り上げて舞を舞い、お酒をついで回るのだそうですよ。
娘たちも宴会要員にするとは・・・・さすがですw

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この『春』の中では、真ん中のアフロディテから向かって左側の三人娘。
彼女たちはゼウスと、掟の女神で彼のおばにあたるテミスとの間に生まれた季節の女神・ホラたちです。

「秩序」をあらわすエウノミア。
「平和」のエイレネ。
「正義」のディケ。

季節を司るだけではなく、人間界の秩序も司るのだそうですよ。
もしも不正を働く人間がいると、ディケがゼウスに告げ口するのです。
そしてその人間は、必ず報いを受けることになる、と・・・・・・(倫理観のうすいおかたに裁かれるのも
なんかなぁ、ですが;;;;)。

で、なぜホラたちがここにいるのかというと、海の泡から生まれて西風に運ばれ、キプロス島に降り立った
アフロディテを見た彼女たちは、「あたしたちの女主人だわ」と認めたからなのです。

ゼウスとテミスの間には、またまた三姉妹が生まれます。
それが運命の女神たち、モイライ。 → http://niki310.blog.so-net.ne.jp/2012-01-06-4

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「3」という数字は、魅力的なのでしょうか。
それにしてもテミスは三姉妹を二回生んだ、ということは、三つ子を二回産んだということになるのかな?!




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