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Psyche ① 運命の始まり [Mythologyのみそ]

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ある国の王様には、3人の姫君がおりました。
上の2人はそれぞれ他国の王に嫁ぎ、幸せに暮らしていました。

末の姫君はプシュケと言って、どこをとっても完璧な美しさの持ち主でした。
「美の女神の再来」とたたえられ、その美しさは広く知れ渡っておりました。

そのため、アフロディーテの神殿に参詣する人がへり、人々はプシュケを拝みに行くようになりました。
人間の分際で、と怒ったアフロディテは、息子のエロスに命じます。

「あの人間の小娘が、世界で一番みじめな男に恋い焦がれるようにしておいで」

エロスは、神々でも逆らえない、当たると誰でも狂おしく恋焦がれてしまう矢を持っておりました。
いたずら好きのエロスは喜んで引き受けます。

でも・・・・

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プシュケを見たエロスまでもが、その美しさにぼんやりとしてしまい、放とうとした矢で自らを
傷つけてしまったのです。

さぁ、たいへん。エロスは矢に当たってプシュケに恋してしまったのです。

一方、彼女の父王は婚期を逃す美しすぎる末娘を心配して、アポロンの神託を受けに行きました。
そこで下された信託は、ひどいものでした。

「お前の娘は神々も恐れる、この世で最も恐ろしいものの妻になるだろう。喪服を着せて、
崖の上に置き去りにせよ」

王は泣く泣く、信託の通りにいたしました。
すると西風がプシュケを谷間に運び、花々の咲き乱れる野に置き去りにしました。
そこには宮殿があり、姿の見えない者たちが、彼女を大切に世話しはじめました。

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夜、寝所に誰かが入ってくる気配がしました。
彼女を妻にすると言ったその姿の見えないものは、朝になると気配を消します。
顔の見えない夫・・・・。

妹がいけにえにされたと信じ込んだ姉たちは、プシュケが置き去りにされた崖にやってきて
泣き叫びました。
「お前のよこしまな姉たちは、私たちの別れの原因になる。だからここに連れてきてはいけない」
という姿の見えない夫の言葉を忘れて、姉たちを呼んでしまったプシュケ。

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「どうして妹だけがこんな幸せを受けるのかしら?」
姉たちは豪華な暮らしぶりを見て、プシュケに嫉妬します。

そして姿の見えない夫の正体は蛇だから、すきを見てカミソリで殺してしまいなさい」と
妹に吹き込むのです。

姉たちの奸計に惑わされたプシュケは、夫が眠った後、ランプの明かりでその姿を見てしまいます。
すると、そこには、蛇などではなく、すべての神々の中でももっとも美しく凛々しい、エロスが
眠っていたのです。

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彼の矢を何気なく触ってしまい、うっかり鏑で傷を負ってしまった彼女は、矢の魔力で夫に
狂おしいほど恋してしまいました。夫を抱きしめた瞬間に、ランプの油がこぼれてしまい、
エロスの右肩に落ちました。

エロスは痛みと怒りで飛びあがりました。
プシュケはエロスにすがりつきましたが、力尽きて手を放してしまいました。

「愚かなプシュケ、姉たちに気をつけろと言った夫の私の言葉より、姉たちの言葉を信じるとは。
お前には夫を失う天罰が下るのだよ」

そしてエロスは天高く去って行ってしまいました・・・・・。



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TSA

ついに載せましたね。私の好きなブーグローの絵画。きれいで繊細な絵でした。
by TSA (2011-08-20 01:48) 

rtfk

今も昔も小姑は・・・でしょうかネ(^w^)
by rtfk (2011-08-20 02:52) 

tomickey

いつもniceをありがとうございます!
南京ではniceが押せないのでコメントにて失礼致します~(^_-)
by tomickey (2011-08-20 10:12) 

あず

プシュケはどんなに綺麗だったのでしょう。会ってみたいものです。それよりも魔法の矢が欲しいですね!
by あず (2011-08-20 12:21) 

yu-papa

いつもご訪問くださり、有り難うございます^^
中世の絵画をよく載せられていますが・・・
お好きなんでしょうか?
by yu-papa (2011-08-20 13:22) 

たもちゃん

昔の人は想像力だけで美しい絵画が描けるのですから
素晴らしいですよね。
それだけ心がピュアだったのでしょうか。
by たもちゃん (2011-08-20 17:36) 

momoe

そんなこと言っても見たくなるのが人情ですよねぇ。
by momoe (2011-08-20 18:13) 

conta

ルーブルにも像がありましたが、その内容まで知りませんでした。
by conta (2011-08-20 20:23) 

pome

面白かったですとても興味深く読みました。
by pome (2011-08-20 20:57) 

千波矢

ギリシア(ローマ)神話の中でもこのエロスとプシュケの話は好きです。この後のプシュケに与えられる姑からの試練も、最後のハッピーエンドも恋愛小説のようにときめいて読んだものです。その時にこんな綺麗な絵画を知っていたらもっと想像の世界が広がっただろうと思うとちょっと残念。そのうちもう一度神話の世界のラブストーリーに美しい挿し絵を脳内で挿入して読んでみたいと思います。
by 千波矢 (2011-08-20 21:28) 

sig

こんばんは。
いつもながらお話の要約のみごとさ。そして豊富な資料。
nikiさんは博物館の中にお住いのようですね。
by sig (2011-08-20 23:31) 

あばれスピア

こんばんは。
神話、勉強になります。
また知識が増えました。
by あばれスピア (2011-08-21 00:06) 

★とろりん★

フランソワ=ジェラールのこの絵画、昔からすごく大好きで、
今も部屋に飾っています。
描かれているプシュケとエロスは完璧な美しさなのに、
青に少しグレーがかった空がその後の悲劇を予感させているようで…。
甘いのに不穏な、不思議な空気感に惹かれます。
by ★とろりん★ (2012-06-06 16:31) 

大林 森

挿絵のチョイスがいつもながら見事ですー!(*´Д`*)頂いたアドバイス!参考にさせていただたきます!∠( ゚ω゚)/
by 大林 森 (2012-06-07 12:07) 

Hirosuke

さて、どうオマージュ致して差し上げましょうか・・・。

by Hirosuke (2012-06-07 23:52) 

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