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金曜日の女神 [Mythologyのみそ]

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北欧の神話で女神の中の女神と言えば、フリッグのことです。
ギリシア神話で言うゼウスが北欧神話では天の神オーディーン。
その連れ合いが地の神であるフリッグなのです。


フリッグの息子たちには雷神トールや光の神で神の国一の美男バルドルがいます。
大地とは生命を生み出すことから、アニミズムでは女神とされることが多いですね。

だから彼女は最高位の女神で、出産、育児をつかさどります。
ロキという神(フリッグと仲が悪いです)の悪意によって、彼女の息子バルドルが亡くなります。
夫が亡くなるのは2番目の悲しみ、息子が亡くなるのは一番の悲しみ、という言葉に現れるように、
彼女は母性の象徴です。

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また、人やほかの神々の運命を知っていますが、彼女は決して誰にも口外しません。
彼女も神ではありますが、他者の運命を変える力はないそうです。


美の女神であるフレイヤと同一視されることもあるようです。
もともとは、一つのイメージだったものが、北欧地域の侵略や民間信仰の伝承による聞き間違いなどによって、イメージがわかれたのかもしれませんが、学術論争が続いていて、結論は出ていない模様です。


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フレイヤはヴィーナス(=アフロディーテ)と同じように愛と美をつかさどる女神ですが、とても奔放な性格であることから、


フリッグには母性愛、
フレイヤには恋愛


みたいな感じに分化したのかもしれませんね。
専門家ではないので断言はできませんが。


フリッグの日、とは、金曜日のこと。
FridayのFri-の部分は、彼女の名前に由来します。

これもフレイヤの日だとする説があります。
ヴィーナス的な性質を考えれば、フレイヤの日でもあっているかもしれないですね。

金星=ヴィーナス。
金星の日=金曜日。

女性的なイメージです。


フリッグとは古語で、「愛されし者」だとか。


雲を紡ぐ


ポセイドン [Mythologyのみそ]

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ポセイドンは本来はゼウスの兄だけれど、弟と言うことになります。
彼らの父クロノスは、自分の父を退治して支配者となった神ですが、自分の子供に殺されるという
神託を受けていたから、自分の子が生まれるたびにすべて飲み込んでしまっていました。

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でも妻のレイアが末っ子だけは石にすり替えて夫をだまし、ひそかに育てたのです。
それがゼウス。

ゼウスは父に薬を飲ませて兄姉たちを吐き出させます。
ポセイドンもその一人。

父からふたたび生まれたことで、兄弟の順番が逆転したのだそうです。

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それで、兄弟みんなで父に反乱を起こします。
これがタイタンとオリンポス12神の戦い。

地底に封印されていた怪物兄弟達を地上に出してあげると、彼らは感謝t\して、鍛冶の技術で
それぞれに素晴らしい武器を贈りました。

ポセイドンのミツマタの鉾もこのときに贈られたものですって。
この鉾で大波や嵐を起こしたり、大地を沈ませることもできると言われます。

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この戦いにゼウスが勝ったから、ポセイドンは海の支配者になりました。
古い伝承では地震の神でもあったそうですよ。
彼の名前の由来は古代の言葉で、意味がはっきりとは分からないのですって。

真鍮の蹄と黄金色のたてがみの馬が引く戦車に乗っているので、競馬の神様でもあるのですってw
タツノオトシゴのようなモノとして描かれている絵もあります。なるほど。

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ゼウスの愛娘のアテナと、都市の守護を巡って対立したことは神話に書かれています。
結果は・・・ポセイドンの負け。
その都市とは・・・・ギリシアの首都、アテネですw

トロイの守り神でもありましたが、のちに守ることをやめて、海の怪獣をつかわします。
この怪獣はアキレウスによって退治されたそうです。

彼はたくさんの子供を残しました。
もちろん、いろいろと複雑で込み入ったお話ですが、機会があればひも解きたいですね。





不肖の父(でも、全能)の愛娘~首都の女神~ [Mythologyのみそ]

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ゼウスの正妻はヘラですが、実は旧約聖書のアダム同様に、ゼウスもヘラの前に別の女神と結婚していた
のです。

それが知恵の女神メティス。
でもゼウスはかつて自分が父クロノスを倒したように、生まれてくる子が自分を倒すことを恐れました。
だからメティスが身ごもった時に、妊婦の彼女を飲み込んでしまったのです!

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でもね、メティスは不死の女神ですから、ゼウスの中でも生き続けるのですよ。
そそてある日、ゼウスが文字通り割れるような頭痛を感じた時、彼の頭から娘が生まれたのです。

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黄金の鎧に身を包んで、雄たけびをあげて生まれてきたのはアテナ。
母親の性質を受け継いで、知恵の女神であり、そして技術や戦争の女神でもありました。
彼女は賢く公正で、ゼウスも彼女の言葉はおとなしく聞いたと言います。

ギリシアの首都アテネは、彼女の名にちなんでいます。
はじめ、この地の守護を海の神ポセイドンとアテナが争いました。

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この地の民により有益な贈物をしたほうがこの地の守護神になるという勝負を、アクロポリスの丘で
行ったのですって。

ポセイドンがミツマタの鉾で地を叩くと、塩水があふれました。
アテナが槍で地を突くと、オリーブの木が生えてきました。

どちらが人々にとって有益なのか、わかりますよね?
だからギリシアの首都は「アテネ」になったのですって。

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「パルテノン宮殿」はその昔、アテナを祀る神殿でした。
「パルテノン」はパルテナス、つまり処女を表す言葉だそうです。

アテナは誰とも結婚することのない高潔の処女神なので、彼女を祀る宮殿がそのように呼ばれたそうです。
いまもまだアクロポリスの丘に建っているなんて・・・・すごいですね。

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アテナに関しては、クモとのお話もあるのですが、また別の機会に^^


これが恋なんだ!! [Mythologyのみそ]

ギリシアのレスボス島。

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この島で幼馴染として育ったダフニスとクロエ。
彼らはそれぞれ孤児で、それぞれラモンとドリアスという別の羊飼いたちに育てられていました。
ダフニスは15歳の美少年、クロエは13歳の美少女。
お互いに対して、「不思議な感情」を抱きます。

でも二人は、その感情が何であるのかさっぱりわかりません。
だから、「これは病気なんだ!」と思い込むのです。

ある賢人の老人が、二人に恋とはなんなのかを教えます。
その苦しい気持ちを治すための方法はたったひとつ。

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キスしてごらん!!!

二人はその通りにします。
でもその先がわからないwwww

そんな時、美しいダフニス少年に目を付けた、街からやってきた年上女性のリケニオンが、
女と寝る方法を彼に「実践」して教えますwww

でも、ダフニスはその新しい「知識」をクロエにはできないのです。
なぜって、年上の経験豊かなおねえさんが、彼にこう言ったからです。

「もしきみがこの方法を彼女にすれば、彼女は泣き叫び、血を流すことになるわ」

そうしている間に、美少女クロエには求婚者が2人現れたり、街からやってきた侵略者にさらわれたりします。
大変!!
でもパン(神)が彼女を助けます。

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ダフニスも海賊にさらわれて暴行を受けますが、なんとか助かります。

そしてついに、彼らはそれぞれの実の両親を見つけます。
孤児だった二人は、本当はそれぞれが高貴な家の子だったことが判明します。
親たちは愛し合う二人を祝福し、結婚させました。

初々しいふたりですね。

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ラヴェルのバレエはストーリーがちょっと違うのでしょうか?
海賊にさらわれるのはクロエでしたっけ?



絶世の美女。 [Mythologyのみそ]

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世界三大美女の一人といわれるトロイのヘレン。この呼び方は英語読みですが、ギリシア語読みではヘレネ。
表向きはスパルタ王チュンダレオスとその妃レダの娘ですが・・・じ・つ・は。

本当の父親はゼウスなので、半神なのですね。

不和の女神エリスの投げた黄金のりんごがもとで起きた三人の女神の元祖ミスユニバース事件で、
審判をゼウスから仰せつかったトロイアの王子パリスは、「世界で最も美しい女」を与えると買収してきた
美の女神アフロディーテを選びました。

けんかをふっかけた不和の女神エリスも、りんごを争った3女神の中の二人・アフロディーテもアテナも、
アフロディーテが(本人の了承も得ずに、しかも既婚者だったのに)パリスに上げると言ったヘレネも、
みーんなゼウスの娘。ゼウスって・・・・。

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まあ、とにかく、ヘレネは世にも美しく成長します。
でも、その美しさゆえにテセウスにさらわれてしまいました。
テセウス・・・ミノタウロスを倒して、アリアドネを利用するだけ利用して捨てたサイテー男です。
でもヘレネの兄が助けてくれたのです。
アリアドネとテセウスはこちらです→ http://niki310.blog.so-net.ne.jp/2011-09-05


そしてギリシア中の男たちから求婚されるようになりました。

表向き父親であるスパルタ王は、「だれが選ばれてもその男が危機に陥った時は、この求婚者たち
全員が彼を助けること」という条件を求婚者たちに承諾させました。そして選ばれたのが、メネラオス。
ミュケーナイの王アガメムノンの弟です。

ヘレネは幸せに暮らしていました。
娘も生まれて穏やかに暮らしていたのに・・・・。

アフロディーテの気まぐれな提案で、彼女の運命は狂い始めました。
トロイアの王子パリスは、彼女を奪うためにスパルタにやってきます。

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女神の力なのか、ヘレネはパリスに魅了されてしまい、娘を捨てて彼の手を取ってしまうのです。
そしてトロイアへ逃避行~~~~~。

絶世の美女である妻をさらわれたメラネオスは、アガメムノンとオデュッセウスを伴ってトロイアに出向き、
パリスにヘレネを返してくれるよう頼みます。でもパリスの答えはNO!

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これにて、トロイア戦争勃発です!

中国には国を滅ぼすほどの美女を「傾国」とか「傾城」といいますが、ヘレネはその上を行く美女ですね。

パリスの妹(ヘレネの次、つまり世界で二番目に美しい女といわれています)がトロイア戦争を予言したのに、
だれも彼女の言うことを信じませんでした。→ http://niki310.blog.so-net.ne.jp/2011-11-24-7

しかも、神々までもがそれぞれに肩入れしたのですよ。

ギリシア側にはポセイドン、そして3女神の争いでパリスに選ばれなかったヘラとアテナwww
トロイアがわにはアフロディーテ、アポロン、アルテミス、アレス。

・・・それほど、古代ギリシアの人々にとって、この戦争は重要な戦争だったのでしょうね。

パリスは、戦いの途中に死んでしまいます。
すると今度はパリスの弟たちがヘレネを争うのですw

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それで、ギリシア側のオヂュッセウスの知恵でトロイの木馬が登場します。
カサンドラはこのことも予言したのに・・・やはり誰も信じなかったのです。

トロイアは一夜にしてほろびました。
メラネオスはヘレネを殺そうとし巻いたが、やはり彼女を見たら殺せなくなって、結局はまた妻として
連れ帰ったのです。すごい女子力です、ヘレネ。

あ。
ちなみに、世界三大美女とは、

トロイのヘレン
エジプトのクレオパトラ
中国の楊貴妃

です。

ちなみに、アガメムノンが戦利品として連れ帰ったパリスの妹カサンドラは、嫉妬にかられたアガメムノンの
妃に殺されますが、この妃はヘレネの実の姉でしたw



ワインの神様はかなりcrazy+wild [Mythologyのみそ]

デュオニュソス。

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アリアドネの時に「人間と神のハーフ」と書いたけれど、正確には4分の1が人間で、4分の3が神、
ですね。ローラちゃんみたいな感じでしょうかw

ヘラの嫉妬によってゼウスの真の姿を見せてくれるようにとせがみ焼け死んでしまったセメレの
お腹から出されて、ゼウスの太ももの中に縫い付けられて時満ちるまでそこで育てられました。

そして生まれたために、デュオニュソスとは「二度生まれし者」という意味です。
ママから生まれ、パパからも生まれる、やはりただ者ではないという暗示でしょうか。

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ベイビィ・デュオニュソスは、ヘラの嫉妬を避けるために、ゼウスによってヘルメスに託され、亡き母セメレの
姉夫婦に預けられました。

するとヘラはこのことを知って、セメレの姉夫婦を発狂させてしまいます。
これによって夫婦は、実の息子たちをその手にかけて、自分たちも命を落としてしまうのです。
ゼウスはデュオニュソスを子ヤギの姿に変え、遠い遠い国のニンフたちに育てさせることにしました。

ヘラの知らない地で、デュオニュソスは成長することができました。
やがてブドウをうまく育て、おいしいワインにする技術を開発したことから、彼は酒の神となります。

・・・・ゼウスがデュオニュソスを子ヤギに変えたあたり、なんかワインと関連ありでしょうか?
昔、ワインを入れて持ち歩いたのは、ヤギの皮のバッグだったので。

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でもついにヘラに見つかって、今度は彼自身が発狂させられてしまうのです。
でもきっと、神の血のほうが人間の血よりも濃いおかげで、彼は死なずに済むのですよね。

発狂したうえに、はじけちゃうのです。
酔っぱらった状態というか、トランス状態というか。
そのままあちこちをさまよい始め、小アジアのある地でキュベレという女神と出会います。

この女神、大地母神ですが信奉者は去勢した男たち。
しかもキュベレの祭りは、この男たちが女装して行うのです。なんとも奇祭。

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Go crazyしたデュオニュソスのはじけっぷりを気に入ったこの女神は、祭祀の秘密をすべて彼に
伝授するのです。

デュオニュソスは教わった秘儀をもとに、自分の祭祀を考え出しました。
彼の儀礼を執り行うのは、美しくてはじけた女たちです。
人里離れた山の中で、トランス状態になり、素手で野生動物をひねり倒し、肉をむしり血をむさぼるのです。
彼女たちには、どんなに武装した屈強な男たちもかないません。

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・・・たぶん、美しくトランス状態の彼女たちとは、ワインの魅力そのもののことなのでしょうね。
飲めば甘美で、誰もその魅力には抗うことができない美酒。

デュオニュソスは馬の脚としっぽを持った精霊シレノスとこのクレイジーな女たちを引き連れて、西アジアを
荒らしまわり信奉者を増やしました。

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なんとインドまで到達したのですって。

(これってそのままワインの分布にあたりますよね?)

逆らう人たちは容赦なく皆殺しです。
ワインの魅力って、すごいですねw

シルクロードを通り唐にまでもたらされ、正倉院には素敵な瑠璃のワイングラスがおさめられています。
もしかして、聖徳太子も飲んだかも??

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そしてついに彼はママの故郷にたどり着きました。
おじいちゃんにあたるカドモスはもうとっくに引退して(というかヘビになっちゃったのでw)、
今は孫のペンテウスが王位を継いでいます。デュオニュソスのイトコにあたる人。

ここで王の母親、つまりデュオニュソスの母の姉妹が一番熱心な信者になりました。
そのことをよく思わない王はデュオニュソスを殺そうとしますが、もちろん、ほとんど神の彼に勝てるはずが
ありません。

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デュオニュソスはペンテウスの王宮を破壊してしまいました。
そして狂乱した信者の女たちは牛の群れを八つ裂きにし、村を壊滅させてしまいました。

結局、トランス状態になった自分の母親をはじめとするデュオニュソスの信者の女性たちに、
ライオンだと思われて殺されてしまいました。

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デュオニュソスはその後もギリシア中に信者を増やしました。
ワインはすごいですね。

きっと、人類とうか、猿というか、史上初の酒は木の実が発酵した汁を飲んだのが最初でしょうから、
果実酒はたぶん世界最古のお酒です。そう・・・何の根拠もないけれど、もしかしたら猿だって木の実を
発酵させて酒を造って、酔っぱらって騒ぐときがあるかもしれないなぁ、なんて、想像するとなんか
ディズニーの映画並みにおもしろいかも、ですw

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古代エジプトではすでにワインやビールも飲まれていたそうです。
酔えば我を忘れて浮かれてしまうのは、古代の人も現代の人も変わらないようですね。

ブドウが発酵するとワインになる・・・・・だからワインの神デュオニュソスも、2度生まれたという
設定なのでしょうか。

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その残酷な「布教活動」からは想像もできないほど、彼はアリアドネには優しかったようですねww




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失恋して真実の愛を得たアリアドネ [Mythologyのみそ]

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アリアドネはクレタのミノス王の娘です。
クレタにはミノタウルスという、半身半獣の怪物が迷宮の中で飼われていいました。
ミノタウルスのいけにえに、毎年7人の少年と7人の少女が、アテナイから捧げられます。

アテナイの王子テセウスは、この怪物を仕留めようと、自ら進んでいけにえの一人として
クレタにやってきました。

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アリアドネはテセウスに一目ぼれしてしまいます。
そしてミノタウルスを仕留めるために特別な剣と、迷宮を抜け出すための金の糸毬を与えます。
テセウスは見事、ミノタウルスを仕留めて生還しました。

アリアドネはすべてを捨ててテセウスについていきます。
でも・・・・

船がナクソスの島に立ち寄ったとき、アリアドネがうとうとと眠りに落ちている間、
テセウスは彼女を置き去りに、船を出してしまったのです。

あわれ、父をだまし、弟をテセウスのために殺し
すべてを失ったアリアドネは、
愛するテセウスにあっさりと捨てられてしまったのです。

目覚めたとき、テセウスの船が沖に向かう姿を目にして
彼女は絶望と悲しみに打ちひしがれました。

彼は、彼女を愛さなかった・・・・。
彼女の献身的な愛は、彼には届かなかったのです。

これを見ていた美の女神アフロディーテは、彼女を慰めて言いました。

そんなに悲しまないで。

今度はお前に、あの男とは比べ物にならない、

神の恋人を与えよう



それでも、アリアドネは寄る辺のない儚いわが身を嘆かずにはいられませんでした。
でも、女神の言葉は現実になるのです。

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ゼウスと人間のハーフで、ニンフ(妖精)たちに育てられた葡萄酒の神、デュオニュソス。
ナクソスの島は、彼のお気に入りの島だったのです。

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海岸で悲しみに沈む美しいアリアドネに、デュオニュソスはたちまちに心奪われました。
そして数々の優しい慰めの言葉をかけて、彼女の心を溶かしていったのです。

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こうしてアリアドネは、デュオオニュソスの妻になりました。
彼女は幸せに暮らし・・・(人間ですから、神より寿命が短いのです)亡くなったとき、
デュオニュソスは彼女に贈った黄金の王冠を、夜空に投げました、
これは彼女を忘れないためです。

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投げ上げられた王冠は、星座となっていまでもヘラクレスの近く辺りに瞬き続けています。


二度生まれる神の出生の秘密 [Mythologyのみそ]

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テバイの初代の王となったカドモスは、戦いに秀でた強い人間でした。

彼がその強さから褒美としてゼウスから下されて妻としたのは、軍神アレスと美神アフロディテとの
間に生まれた女神ハルモニア。
名前からして想像に難くはないですが、そう・・・・ハルモニアとは、「調和」を意味しますね。
戦争には、調和がのちに必要になるという関連からでしょうか。

二人の間に生まれた人間と女神のハーフの子供たちは、みな不幸な最期を遂げてしまうために、
二人はテバイを去って流浪の旅に出たと言われます。

カドモスが蛇に姿を変えてしまうとき、変わり果てた夫を抱き続けて自らも邪身になり果てたそうです。
だから、蛇を体に巻きつけた格好で描かれることが多いのですね。

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セメレも、不幸な最期をとげたこの二人の間の娘の一人でした。

彼女の美しさに目を付けたゼウスが、身分を隠して彼女のもとへ通ってきます。
自分はゼウスだと名乗りますが、決して神としての姿を彼女には見せません。

やがて彼女はゼウスの子を身ごもりました。
これを知って激怒したのはゼウスの妻・ヘラ。

「半分人間の身で」と嫉妬に狂ったヘラは、彼女を陥れることにします。
彼女のもとへ、乳母のかっこうをして会いに行くのです。

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久しぶりに会った乳母に喜んだセメレは、つい気を許し、自分のところに通ってくる男がゼウスと
名乗っていることをばらしてしまいます。

乳母に化けたヘラはセメレを言葉巧みに言いくるめ、その男が本当にゼウスか、ゼウスをかたる偽物
なのかを確かめるようにけしかけます。

そして乳母(に扮したヘラ)の言葉に不安を覚えたセメレは、愛する相手を試すことにするのです。

「いとしいお方、あたしの望みは何でも叶えてくれるって、おっしゃったわね?」
彼女はゼウスに「テュクスの水」に誓わせます。
冥府に湧き出るこの泉に立てた誓いは、神でさえも破ることができないのです。
これはもちろん、ヘラが教えたのです。

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ゼウスはそれがヘラの入れ知恵だと気付きますが、誓ってしまったからには時すでに遅し、でした。
「いとしく愚かなセメレ。仕方がない、どうしてもというならば、見せてやろう」

ゼウスはたちまちに、本当の姿を現しました。
いな光るイカズチを手にした全能の神のあまりのまばゆさに、かわいそうなセメレはたちまちに
焼け死んでしまいました。

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悲しみに暮れるゼウスは、焼け死んだセメレの遺体から未熟児を取り出すと、自分の太ももの
内側に入れて縫い付けました。

時が満ち、この子は父であるゼウスの太ももから生まれることになります。
この子はのちに酒の神となるデュオニュソス。
彼の波乱と狂乱に満ちた人生は、次回に続きます。


キーワードは8(eight)。 [Mythologyのみそ]

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あまりの傍若無人な乱暴者だったために、スサノオは高天原を追い出されてしまいました。
そして鳥取に降り立つと、ちょうど老夫婦が若い娘を目の前に泣いているところに出くわしました。

聞けば、夫婦には8人の娘がいたけれど、ヤマタノオロチという8つの頭を持つ化け物が、いけにえとして
毎年ひとりづつ食べてしまい、目の前の娘が最後の末娘だと言います。

またこのおそろしい化け物がやってくるだろう頃になったので、こうして悲しんでいるのだ、と。

8つの谷8つの峰を越えるくらいの巨大な化け物・・・・
普通はそんなことを聞いたらひるむこと必須ですが、高天原の乱暴者は逆でした。
みればこの娘、クシナダヒメといい、なかなかの美女。

彼はクシナダヒメを妻にもらうことを条件に、ヤマタノオロチ退治を申し出ました。
クシナダヒメがこの乱暴者にどんな第一印象を抱いたのかが書かれていないのが残念ですが。
怪物に食われるよりはマシと思ったのか、ワイルドな魅力に惹かれたのか・・・・

とにかく、スサノオはクシナダヒメを櫛に変えて、髪に挿します。
そして8つのカメに入れた酒に8つの門を作って置いておきました。

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さて、怪物がやってきて、それぞれの門に頭を突っ込んで、それぞれのカメから酒をむさぼり飲み干します。
酔っぱらって眠ってしまったところを、持っていた長剣で切り刻んでしまいました。

怪物の尾を裂くとなかから草なぎの剣が出てきて、これはかんかんに怒らせてしまったお姉さんに、
お詫びの品として献上しました。彼のお姉さんは、アマテラスオオカミですね。

あっけなく怪物を退治したスサノオは、八雲たつ~とめでたい歌を詠んで、クシナダヒメを妻にしましたとさ。

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で、8なのですが。「たくさん」という意味ですね。
むかーしの八百屋さんは、なんでもたくさん売っていたから八百屋
日本にはたくさんの神様がいるから、八百万の神
八坂神社も、たくさんの坂、という意味。

クシナダヒメを櫛に変えて髪に挿し、怪物をやっつけたスサノオ。
櫛には昔から呪術的な意味が強いですね。
神聖な力を借りて、邪気を払ったのでしょう。

ヤマタノオロチは洪水を怪物化したとも言われます。
オロチ=ヘビ=水の神なので、川の氾濫や洪水、津波が、このような怪物と考えられても不思議は
ないですね。



ペネロペの織物 [Mythologyのみそ]

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ペネロペはスパルタの王族イカリオスの娘。
イタケの王オデュセウスに愛されて妻となりました。

息子も生まれましたが、新婚時代はたったの1年だけでした。
というのも、オデュセウスがトロイア戦争に出かけてしまったからでした。

来る日も来る日も、夫の無事と帰還を待ち続けるペネロペ。
でも夫からは何の連絡もありません。生死も不明です。
それでも待ち続けるペネロペ。

イタケの国の周辺の貴族たちはオデュセウスがもう死んだものとみて、イタケの国を手に入れようと
何百人も彼女に求婚し始めたのです。

ペネロペは、美しいだけでなく賢い女性でした。
亡きしゅうとの衣を縫うための布を織りあげた時に、求婚者の中から一人を選ぶことを約束します。
でも彼女は昼間織った分を、夜になるとほぐすことで、いつまでも織あげることを遅らせ続けたのです。

これが「ペネロペの織物」。
いつもしているのに、物事がなかなか進まないことのたとえとなりました。

こうしてごまかし続けて20年。

トロイア戦争で数々の活躍を果たしたオデュセウスが、やっと故郷に生還します。
でもよこしまな人々に好き勝手にされた国を見て驚いた彼は、こじきに身をやつして様子を見ることに。
不思議なお告げを受けた、いまや立派な青年になった息子とも再会を果たし、妻のペネロペに
求婚する人々の一掃を考えます。

いよいよごまかしのきかなくなったペネロペは、矢を12本すべて、一つの輪の中に射た人と結婚すると
宣言しました。
でもみんな、弓を張ることもできません。
こじきの格好のオデュセウスが試させてくれというと、婚約者たちは彼に雑言を浴びせました。
でもしらばくれた息子が、やらせてみればよいと口添えをします。

誰も張ることができなかった弓を張ったばかりか、彼は矢もすべて輪を射抜きました。
そして自分は戻ってきたこの国の王だと正体をばらします。

かくてペネロペはオデュセウスと再会し、それからは末永く幸せに暮らしました。



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