月を見て想う [Galerie d'Anges (+創作)]
まぁるい月があと何度か欠けて満ちれば
きみに会える
冴え冴えと寒い夜空が
やわらかくゆるむまで
いくつの昼といくつの夜を
きみを想ってすごそう
頼りなげな三日月とメレエダイヤの星々が輝く
花々がかぐわしい春の夜に
あの道を一緒に歩こう
月を見上げて
きみを想う
きみのことを想う
Une ligne invisible [Galerie d'Anges (+創作)]
夜中にケータイが鳴る
国番号ですぐにわかるよ
かすれた声が疲れているね
大丈夫?と訊くと
大丈夫だよと笑うきみ
「ただ声が聴きたかった」と
「きみの声が聴きたかった」と
そんなきみに会いたいけれど
冬が終わるまでは
見えないラインだけが
きみと私をつなぐ
明日は休日でしょう?
友達とのんびり過ごすという
今夜はたくさん寝て
よい夢を見てね
おやすみなさいと言い合って
そっと電話を切る
おやすみなさい
よい夢を
おやすみなさい
きみを想って眠りに就こう
Philia [Galerie d'Anges (+創作)]
考えてみると不思議なことばかりで、
理屈では納得ができないことだけれども、
この世界のとある場所に
私の心の中に住んでいる人がいて
その人の心の中にも私が住んでいる
波乱に満ちた運命や過酷な宿命はないけれど
私たちの出会いは小説よりもすてきで
この世に二つとない物語
ふたつとない、幸運
mihi tecum(U & I ) [Galerie d'Anges (+創作)]
幾重にも綾なす
あまたの人生の中で、
きみが私を見つけたことは
偶然のようで必然だった
きみは圧倒的な穏やかさで私を守り
私の小さな傷たちを癒そうとする
「もう大丈夫だよ
僕がいるから
きみの隣にいるから」と
きみは自由に羽ばたく魂
私にも羽があることを教えてくれる
厳しさも苦しさも知る強い純粋さで
私を未知の世界に導いてくれる
泣きたいくらいの幸福で
私を包んでくれる
anamnesis [Galerie d'Anges (+創作)]
真夜中に眠れずに、あれこれと考える。
暗闇の中に大きな不安が生まれて、
ヴァーチャルな重力で胸の上にのしかかる。
どこに向かっていくのだろう?
ふと不安になると、
宇宙空間に放り出されたみたいに
あまりにも心細くなる
そんな時に目を閉じれば
きみの「大丈夫だよ」という声が耳の奥に聴こえる
私の手を握る温かいぬくもりを思い出せば
私の不安に重力を与えて引き戻してくれる
生まれる前は
きみは私のなんだったのだろう?
きみの言葉は音楽
心地よく心に響く
偽りなき真実
私の半分
私の歌
Reward [Galerie d'Anges (+創作)]
小さなころは家庭のお姫様。
わがままし放題、要求が通らなければわんわん泣いて、
アイデンティティの確立以前は
ママの着せ替え人形
やがて幼稚園で、自分がお姫様ではないことがだんだんわかってくる
自分よりも強い子や
意地悪な子
限りなくマイペースが許される子
生真面目な子
やがて私は
自分を防御するために
他者との距離を置くようになる
誰とでも仲良くできるけれど
心にはがっつり、パーソナルスペースははずさない
思春期はある意味生存のための戦争で
生き残りの果てに
いつのまにか、感情表現が下手になっていた
大人になっても誰かに自分を見せることはなく
人に相談されるものの、自分からは決してしない
それがずっとお決まりのスタイルだったけれど
ある日、きみに出会って
どうして?
私は自分のことを、誰にも言ったことのないことを
自然ときみには話してしまうじゃない?
きみは私の稀有
私も知らない私を見せてくれる
私の人生での至上の賜物
暖かな場所 [Galerie d'Anges (+創作)]
いろいろと嫌なことやつまらないことがあって、
たとえば気分が最悪だったり、落ち込んだりしていた時も、
きみの声をきけば気分は凪いで、
いつのまにかおだやかになる
きみも同じように思ってくれていたらいいな
寒い北風にさらされたとしても、
私がきみの暖かい場所になれればいいな
きみが私の手を取れば
指先から心まで
きみを想う私の
ぬくもりが届くといいな・・・
奏でる [Galerie d'Anges (+創作)]
たとえば自分にとって、
誰か特別な存在になる人との出会いは、音楽のよう。
友達でも仲間でも恋人でも夫婦でも親子でも兄弟でも
縁があれば心と心が通じ合って
自分とその人だけの、新しい音楽が生まれる
心と心が奏でる音を本当に耳で聴くことはできないけれど
一緒に奏でる、それが全くの知らない他人との明確な違い
すべての人に対して、同じ音楽を奏でることはなくて
旋律もジャンルも全くバラバラで
相性が悪ければ、不協和音で!!
相性が良ければ、甘美な音楽となる
会ったことがなくても、思い合っていればそれは可能で
会いたいと思えば曲調も変わって
生きているうちに
たくさんの音を
奏でることができたらいいと思う
Nox praecessit, est aurora [Galerie d'Anges (+創作)]
一日月の昏い夜が去ると、
バラ色に空を染めて暁がやってくる
悲しいことが起こっても
素敵なことが過ぎても
必ず新しい一日がやってくる
泣いている人のもとにも
笑っている人のもとにも
あけない空はなくて
くれない空もなくて
どうせ続くならば
思い合って
いたわりあって
感謝しあって
守りあって
癒しあって
生きてゆきたい
きみと一緒に
やがて暁を
見られなくなるまで・・・
Joyeux Noël! [Galerie d'Anges (+創作)]
一日の終わりに
きみが電話をくれる
会えなくても
毎日がきみの「おやすみ」でおわる
ささやかだけれど
心はあたたかくて
幸せな気持ちで
きみを想いながら
夢の中におちていく
おやすみ
夢の中で一緒に歩こう
夢の中で一緒に笑おう
おやすみ
きみの明日が
素敵な一日でありますように
また明日
声をきかせてね・・・