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私たちのよき王妃 [l'histoires de femmes]

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ルイ15世妃でルイ16世のおばあちゃんであるマリ=カトリーヌ・レグザンスカ。


1703年にポーランドに生まれ、ポーランド名はマリア・レシチニスカ。
彼女が1歳の時に父がポーランド王となりました。
スウェーデンのカール12世がお飾りに据えたポーランドの王座は、カール12世がロシアに敗戦すると実にあっけなく奪い取られました。

そのおかげで一家はアルザス地方で亡命生活。

一方、フランスでは1710年、ルイ15世が誕生しました。
しかし2歳で母と死別。太陽王ルイ14世のひ孫ですが、幼いころは臆病で内気で優柔不断だったと言われています。

それでも王位継承権を持つ男子がことごとく病気や事故で亡くなったので、わずか5歳でフランス王となったのです。

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11歳の時に3歳のいとこ・スペイン王女と婚約しますが、相手が幼すぎて婚約破棄。
そこで白羽の矢が立ったのがマリ・レグサンスカ。
15歳の王と22歳の王位を追われた王の姫君との結婚は多少国民に失望を与えましたが、進められました。

じつは彼女は花嫁候補のリストには入っていたものの、候補を絞るときには除外されたそうです。
でも出産適齢期であったこと、健康で性格が穏やかであったこと、貞淑であったことが優先されたようですね。

少年王は年上王妃に一目ぼれしたそうですが・・・

なんと少年王、結婚を機に? わずか15歳で女遊びデビューです。
次々と目につく女性を愛人にしていきます。

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のちに「鹿の苑」で有名なポンバドゥール夫人やデュバリ夫人のさることながら、ド・マイイ=ネールの4姉妹全員とか、貴族の娘も名もなき庶民の娘も、数えきれないほどの女性を、です。

もしかしたら彼には3ケタくらい私生児がいたかもしれません。

王妃はそんな間にも次々と妊娠し、12年間で10人の子を産み、期待されたとおり「お役目」を果たしました。
ドクターストップがかかって、子を産むのを終りにしたようです。
彼女は夫が寝室へ入ってくるのを拒むようになりました。


いやはや。

歴代の愛人たちの中には傲慢で王妃とは合わない人が多かったようですが、ポンパドゥール夫人は王妃を敬愛し、良好な関係を保ったそうです。夫人は頭が良く抜け目がないので、王妃とは仲良くしておくのが得策と思ったのかもしれませんね。

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父がお飾りのポーランド王であっけなく王位を失ったことから、最初フランス国民は彼女のことを卑しい生まれとさげすむこともありましたが、文化芸術振興を熱心に行い、慈善活動にも力を注いだ彼女に次第に好感を抱き、彼女が65歳で亡くなった時には、「私たちのよき王妃」とたたえられました。

野心を抱かず、20年間のんびりとヴェルサイユで暮らしたことが、政治的な問題に巻き込まれずに穏やかに暮らせた理由なのでしょうか。

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王妃といえば波乱万丈、悪女も多いようですが、彼女は「平凡な王妃」ともいわれたように、地味と言えば地味、平和といえば平和な一生を送りました。





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ちなみに、自身も王になったり廃位させられたりと、奇異な人生を送った王妃のお父さん。
娘が王妃になってからはロレーヌ公となりました。

婿・フランス国王の心を娘につなぎとめるために、いろいろなお菓子を考案して宮廷に送り込んだと言われています。

あ~、あれ?というような有名なお菓子をいくつか世に送り出したようですよ。

The Snow Queen [いろんなブンガク]

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いや、レリゴ~ではないですよ、オリジナルのほう(笑)。

アンデルセンの作品の中でも、レトリックに富んでいてミステリアスなお話の一つ。


カイという少年とゲルダという少女は仲良し。
でもある日、悪魔の鏡の破片がカイの心臓に突き刺さって、
カイは人が変わってしまうのです。

いい子だったのに、それまでの彼とは違った言動が目立ち始めます。
そしてある日、雪が激しくふぶいた日に、雪の女王が彼を気に入って連れ去ってしまうのです。



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透き通る美貌の華奢で冷たい雪の女王。
カイはたちまち、女王にあらがうすべもなく魅了されてしまうのです。

でも女王に愛され続ければ、いつかは氷に化してしまう。
そういう少年がもう何人もいたのです。

カイが行方知れずになって悲しみに沈んでいても仕方がないと、ゲルダはカイを探す旅に出ます。
途中何度も危ない目に遭いいよいよ盗賊に殺されかける、といううときになって、彼女は盗賊の娘に気に入られて救われるのです。



盗賊の娘のハトから、カイの居場所をうわさに聞いたゲルダは、ようやく雪の女王の宮殿にたどり着き、カイと再会を果たします。

ゲルダの目から零れ落ちた熱い涙のしずくが、カイの心臓に染み入って悪魔の鏡の破片をとかしました。
カイは正気を取り戻し、目の前の幼馴染の少女を認めました。

喜んだ二人は手をつないで仲良く故郷へ帰っていきましたとさ。





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お気づきになったでしょうか?


思春期に差し掛かった少年と少女のそれぞれの精神的成長の物語。
たぶん・・・ゲルダはカイよりもちょっと年下。

幼馴染の純粋なかわいい女の子よりも、ある日ふと、きれいなお姉さんに心奪われるカイ。
異性への興味に目覚め、翻弄されるがままにのめりこむ。

一方、女の子はそんな男の子の状況が理解できない。病気とさえ思ってしまう。
目を覚ましてよとばかりに色々な手を尽くすけれど、小さな少女はきれいなお姉さんの性的魅力には到底かなわない。

少年が狂っているあいだ、少女はあらゆる困難を経験し、時には貞操の危機に遭いながらもなんとか精神的な成長を遂げる。

盗賊の女の子に気に入られるというところは、ただ単に女の友情についてのことなのか、あるいは思春期の少女特有の疑似恋愛的な感情なのかは・・・どうなのでしょうね。

少女が女としての自信を身に着け始めたころ、少年もやっと落ち着いて正気に戻り始める。
あんなにミステリアスで魅惑的な年上のお姉さんが、普通に見えてくる。
そしてちょっと頼もしく、女性的な魅力も身に着けたあやうげにチャーミングな少女を見てかわいいな、と感じるのです。



ということで。



これは少年と少女の成長の物語・・・・じゃないですか?
(と、勝手に解釈しました)


彼女の光が失われたとき [Mythologyのみそ]

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北欧神話の最高神オーディーンと、妻の女神フリッグには、バルドルという光の神である息子がいます。
バルドルは多くの神々のなかでは一番のイケメン。
彼の妻はナンナといいます。


ナンナは夫のことをとても愛していました。
二人は仲睦まじくアースガルズのブレイザブリク宮殿で暮らしていました。


でもバルドルが殺されてしまうのです。
バルドルの母であるフリッグと犬猿の仲のロキという神の裏切りによって、
盲目の神ヘズ(バルドルの弟)に命を奪われてしまいました。


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世界が悲しみに沈みました。
母のフリッグの悲しみは前回お話ししましたが、妻であるナンナの悲しみも相当なものでした。


バルドルの遺体を船に乗せて送り出すとき(バイキングの弔い方です)に、彼女はひどい悲しみのあまり心臓が割けて死んでしまったのです。


神々は彼女に深く同情して、彼女の遺体も夫とともに船に乗せて弔ったそうです。
黄泉の国へ行った後も、二人はいつもともに仲睦まじく寄り添っていたといわれます。

夫が死んだ悲しみで心臓が二つに裂けるなんて、とても愛情深いですね。


ナンナは何をつかさどるのかははっきりとわからないようですが、

ナンナ→ナニーとなったのかも?と言われるようです。

よく英語圏の国でおばあちゃんのことをナナとかナンナと呼びます。
子守(ベビーシッター)のことがナニーです。
彼女の名前に由来するのかも?


Brighid     2月1日 [なんちゃって博物誌]

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ケルト神話においての神の中の神、すべての父で知恵と魔法の神であるダグザ。
彼は3人の妻がいてそれぞれに一人づつ、3人の女神を娘として持っていました。


それぞれの妻は、


ブレグ(偽り)
メング(狡猾さ)
メイベル(醜さ)。



娘たちはブリギッドと呼ばれます。豊穣に関するすべての女神。
ブリードと呼ばれることもあり、
鍛工(たんこう)、手工芸、
治療と助産、
占い・予言、文芸
をそれぞれつかさどります。


女神によく見られるトリアッド(三態一組)の形を取ります。

三女神の様態はヨーロッパだけではなく、宗像三女神のように、日本の神話にも見られますね。


19人の巫女たちが、ブリギッドの神殿で聖火を守っているそうです。




各地の土着の、同じ要素を持つ女神と融合して一つのイメージが出来上がったようですが、ブリギッドが現代にも根強く生き残っているのには、ある理由があります。


キリスト教の伝来によって、アイルランドの三聖人のひとりに挙げられる聖ブリギッドと結びついたのです。


聖ブリギッドは朝日とともに生まれた、とされます。これは豊穣と関係の深い女神の火をつかさどる性質を受け継いだためと言われます。

アイルランドで初めて修道院をたてた人物とされますが、人々に色々なおまじないを教えたともいわれているので、いささか聖人というステレオタイプからはちょっと外れた感じがします。

毎年2月1日は聖ブリギッドの祭りが開かれますが、土着の女神ブリギッドの祭りも同じ日なのです。

八坂神社に祀られている蘇民将来が、土着の日本の神スサノオノミコトと結びついたようなものなのでしょうか。

完全に洗脳されてしまうわけではなく、土着の文化が色濃く残り続けている、こういうところに文化の面白さがあると思っています。






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