彼女の光が失われたとき [Mythologyのみそ]
北欧神話の最高神オーディーンと、妻の女神フリッグには、バルドルという光の神である息子がいます。
バルドルは多くの神々のなかでは一番のイケメン。
彼の妻はナンナといいます。
ナンナは夫のことをとても愛していました。
二人は仲睦まじくアースガルズのブレイザブリク宮殿で暮らしていました。
でもバルドルが殺されてしまうのです。
バルドルの母であるフリッグと犬猿の仲のロキという神の裏切りによって、
盲目の神ヘズ(バルドルの弟)に命を奪われてしまいました。
世界が悲しみに沈みました。
母のフリッグの悲しみは前回お話ししましたが、妻であるナンナの悲しみも相当なものでした。
バルドルの遺体を船に乗せて送り出すとき(バイキングの弔い方です)に、彼女はひどい悲しみのあまり心臓が割けて死んでしまったのです。
神々は彼女に深く同情して、彼女の遺体も夫とともに船に乗せて弔ったそうです。
黄泉の国へ行った後も、二人はいつもともに仲睦まじく寄り添っていたといわれます。
夫が死んだ悲しみで心臓が二つに裂けるなんて、とても愛情深いですね。
ナンナは何をつかさどるのかははっきりとわからないようですが、
ナンナ→ナニーとなったのかも?と言われるようです。
よく英語圏の国でおばあちゃんのことをナナとかナンナと呼びます。
子守(ベビーシッター)のことがナニーです。
彼女の名前に由来するのかも?