『デカメロン物語』 ボカッチオ [いろんなブンガク]
フィレンツエ近郊で裕福な商人の子として生まれたボカッチオは、ナポリで商業見習いと
法律を学び、文学修業や人文主義的な教養を存分に身につけました。
28歳でフィレンツェにもどり、ルネサンスを代表する教養人として有名になります。
彼の書いた『デカメロン物語』は、近代小説の走りといわれ、イングランド・ルネッサンスの
チョーサーの『カンタベリ物語』に影響を与えました。
ダンテの『神曲』にたいして『人曲』とも呼ばれました。
Winterhalterの『デカメロン』。
この話は、ペスト(黒死病という伝染病)を避けてフィレンツェの郊外に集まった3人の男性たちと
7人の女性たちが、10話ずつ交代で面白い話を語っていくというものです。
人間の人間らしい欲望を素直に描いています。
これは神こそ至上の存在とあがめていた社会を変化させるきっかけとなったと言っても
過言ではないでしょう。
でもボカッチオ自身はあるとき、一人の修道士に天罰が下るだろうを非難されると、
それまでの享楽的なものの考え方を一転させ、ギリシア古典研究や外交官などの
仕事に精を出すことにします。おかげで、『ホメロス』を初めてラテン語に翻訳しました。
ダンテと合わせて「ルネサンスの3人衆」と呼ばれたペトラルカとは友人でしたが、
彼の死にがっかりしたのか、その翌年にショックを受けて亡くなったと言われています。
Waterhouseの『デカメロン』。
ところで、肖像画家のウィンターハルターと、いろいろな物語から題材を得ているウォーターハウス、
どちらの『デカメロン』がお好き?
人の欲望も莫迦さ加減も洋の東西を問わず、また時代を問わずあまり変わっていないのかも知れませんね。
by punchiti (2011-06-18 08:18)
ウォーターハウスの絵のほうが、色が美しくていいと思います。
構図もこっちのほうがいいような気がするし・・・・。
by sadafusa (2012-07-23 03:32)