マリーとエリザベート [l'histoires de femmes]
昔々、ひとりの不幸な王様と、ひとりの不幸な王妃様、そして一見無害に見えるが実はしたたかな愛妾が
おりましたとさ。
マリー・トゥーシェは16世紀に役人の娘として生まれました。
それはそれは清楚なかわいらしい少女でした。
父はプロテスタント。
ある秋の日に、狩りに来た若い王様に見初められることになります。
その王様とは、わずか10歳で即位したシャルル9世。
「黒の王妃」・カトリーヌ・ド・メディチの息子です。
カトリーヌのお気に入りの息子・アンリ3世の一つ上の兄にあたります。
小さなころから癇癪持ちで気難しくて、そのせいで母に愛されなかったようです。
母は弟のアンリばかりをかわいがりました。なんか、家光みたいですね。かわいそう。
母の愛情を得られなかった少年の心のよりどころ、初恋の人とでもいいましょうか、それは早逝してしまった
兄・フランソワ2世のお妃だった、スコットランドのメアリ・ステュアートでした。
メアリは幼いころにフランソワ2世の婚約者としてフランスにやってきたので、まぁ、一緒に育ったというか、
幼いころから身近な存在だったのですね。
きっと、ほわんとした女の子らしい女の子だったのかもしれませんね。
フランソワ2世が亡くなった時、カトリーヌの意向でスコットランドに返されました。
その時10歳だったシャルル9世は、うわぁ~~~んと大泣きしたそうですw
そんなシャルルが狩りに出てひとめぼれしたのがマリーでした。
彼はふつうに、真摯に愛を告白します。
若い王様から愛を告白されたら悪い気はしないようです。彼女はシャルルの気持ちを受け止めて、
彼の妹マルゴの侍女となりました。
ところが、これを母のカトリーヌはよく思いませんでした。
だって、マリーはプロテスタントの娘です。彼女にのめり込むあまり、シャルルはカトリックから改宗すると
今にも言い出しかねない状態でした。
そこで、神聖ローマ帝国マクシミリアン2世の娘・エリザベートと結婚させるように画策しました。
シャルル9世のおじいちゃん、フランソワ1世の後妻となったエレオノールは大叔母にあたるという縁です。
なんか、おとなしい感じのおかたです。
彼女は「ごく普通に」政略結婚でフランス王妃になり、娘をひとり生みました。
この年が、かの有名な聖バルテルミーの大虐殺が起きた年です。
マリー・トゥーシェを愛するあまりに、プロテスタントの長・コリニーを父のように慕っていたシャルル9世。
カトリーヌは何度もコリニーを暗殺しようとして失敗します。
でも、仕方ないと言えば仕方ないですよねぇ?
母の愛情に飢えていたし、父も早くに亡くしてしまったから、愛情が欲しかったのですよね。
でもコリニー提督はシャルルをそそのかしてスペインに宣戦布告させてしまったので、カトリーヌも
堪忍袋の緒がぷっちんと切れてしまいました。
コリニーを暗殺しようとしたのは自分だとカトリーヌはシャルルに告白します。
錯乱したシャルルは、殺してしまえ~~~~とユグノー(プロテスタント)殺害の命令を下したと言われます。
結局、それが彼の精神を狂わせてしまったのでした。
それからというもの、奇行ばかりが目立ちました。
そして弟のアンジュ―公アンリがポーランド王に選定されて間もなく、血を吐いて死んでしまいました。
マリーは男の子を生みましたが、もちろん傍系なのでこの子を王太子にはできませんでした。
彼女はのちに再婚して女の子を生みます。そしてまたまた、フランス王家に波乱をもたらすことになります。
一方、エリザベートはと言うと、たった数年で未亡人になり、国へ帰りました。
たった5歳で娘も死んでしまいました。
そして彼女自身も38歳の若さでひっそりとなくなってしまったそうです。
マリー・トゥーシェは可憐な少女からしたたかな女へと華麗な変身を遂げたけれど、シャルルと
エリザベートはなんかかわいそうですね。
シャルルが一番可哀そうな気がします(^^;) そして、マリーの次回が気になります(^^)v
by さうざんバー (2012-09-25 18:50)
シャルルはやっぱり弟の「愛しい目」のアンリと
よく似てますよね。
親のひいき目って時に不可解なものですね。
兄弟姉妹全員美男美女。
スペインへ嫁に行ったエリザベートは美しすぎて
坊さんは「見ないようにしていた」ほどだそうですから。 笑
やっぱ、これはお父さんのアンリⅡがめっちゃハンサムだったんで
しょうねぇ。
シャルルは弟のアンリによく似ているけれど、
どこか神経質そうで、脆弱な感じがします・・・カワイソウ
by sadafusa (2012-09-25 23:58)