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映画 『Silk』 をみて考えたこと・・・ [Movies 2 C]

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2007年に製作された、日、伊、仏、英、加の合作です。
日本では2008年に公開されました。

DVDをもっていたのですが、見る機会がないままちょっと忘れ去っていましたw
でもやっと見ることができました。

まずは自分で見終わってから、いろんな一般の人たちが書いた映画評を読んでみました。
なるほど、みなさん、あまりいい感想じゃないですね。

それは映画好きで多くの洋画を見ている人の視点なのか、生粋の日本人的意識からの厳しい
批評なのか・・・まぁ、人によって価値観は違うので、基準はないと思いますが・・・

私は評論できるほど詳しくないので、これはいち素人の個人的な鑑賞感想文だと思ってくださいね。

友達は外国人がほとんどで自身もいろんな国をふらふらしている私が見ると、、アジア文化を理解しない
ハリウッドのエンターテイメントムービーが描く「JAPAN」より、はるかにいいと思いました。

ほら、よくフジヤマ、ゲイシャなんてステレオタイプなイメージを出すのに、一方ではチャイナタウンの
ような派手派手しさと、ガイジンがよく来てるナイトガウンの「キモノ」みたいなぺらぺら着物のジャパニーズ
ガール、実は演じるのはチャイニーズ・アメリカンの女優さん・・・というようなチープさはなかったです。

あのナーヴさ・・・嫌いです(笑)

この映画は外国人が描いた日本にしては、上出来なほうですよ。
キモノもみんなきちんと着ていたし。

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冒頭の芦名星(あしな・せい)さんはいきなり印象的です。
間違いなく美女です。

舞台は1860年代のフランス。
軍人の青年エルヴェは、故郷に帰還したときに、小学校教師のエレーヌに出会って恋に落ちます。
村にやってきて製糸工場を開いた男がぜひ手伝ってほしいと言ったので、彼は軍を退役します。
アフリカに健康な蚕の卵を買い付けに行き成功した彼は、さらに極東の日本に上質な卵を求めてくるように
ボスに頼まれるのです。

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彼のたどる19世紀の旅程のすごさ。
まさにユーラシア横断です。
変わってゆく景色がとても美しい。

やがて「地の果て」(笑)日本にたどり着き、そこからも長い道のり。
幕末の日本では絹の売買が闇市で行われていたと言っていました。なるほど。

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目隠しをされて信濃のとある集落にたどり着きます。
ハラ・ジュウベイという謎の棟梁に気に入られ、彼は良質の卵を持ち帰ることができました。
エルヴェはそこで、ジュウベイの妻である若い女性のミステリアスな美しさに魅了されてしまい、
彼女のことが忘れられないまま帰国します。

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たぶん、旅の過程は彼の心理状態をあらわしているのでしょう。
初めて赴くときの過程は丁寧に描かれ、心理的にも地の果てに来た、と感じさせます。

日本の政情が変わって、外国人の出入りが難しくなるということで、その前に2度目の買い付けへ
行ったときには、旅の過程が省かれることで、心理的な距離も縮まったことをあらわすのでしょう。

ほら、何度も行き慣れると、初めて行ったときほど遠く感じないでしょう?

彼女は最後まで謎の存在です。
名前さえも明かされないし、言葉も発しません。
日本人ではないといううわさもあると登場人物の一人に言わせることによって、よりミステリアスに
仕立て上げられています。

彼は二度目の滞在の時に、彼女と一夜を共にします。
そして帰国してからも、彼女のことが忘れられなくなるのです。

妻は、なんとなく夫の変化に気づき始めます。でも彼女は彼を責めません。
確信がないから? そうかもしれないし、そうではないかもしれない。
結婚して2年たっても子供を授からないことで気が沈む妻のために、彼は彼女の大好きなユリでいっぱいの
大きな庭を造り始めます。

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フランスの田舎と日本の秘境の景色の対比も面白いです。洋画と邦画を一緒に見ているようで。
浦島太郎の国際版か、はたまた桃源郷の国際版みたいw

エルヴェを演じているマイケル・ピットが着物を着ていても、なんか違和感がないし・・w
ダイワにゃんの役所さんも渋い役がぴったりでした。

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三度目に日本へ入国したエルヴェは、失意に見舞われます。
買い付けた卵はすべてが無駄になり、帰国してからも失意のどん底に、そして妻の心には
ある感情が・・・

ある日彼は日本語で書かれた手紙を受け取ります。
それを、リヨンの娼館の女主人に翻訳してもらいに行きます。彼女は日本人で、フランス人と結婚して
渡仏したけれど、夫が亡くなって娼館を経営していました。

「私を忘れて」という内容の手紙。

そして妻の病死。
それから知る、意外な事実・・・・

もし、自分の大切な人が遠い異国に出かけて、そこで誰かほかの人に深く心を奪われてしまったら?
そんなことを考えると、とても不安になります。それは近所を歩いたとしても、ないとは言えない事では
あるけれど・・・・

私は日本に生まれて日本人だけれど、ヨーロッパの歴史や文化が大好きだし、韓国も同様に好きです。
オーストラリアも。アジア人ということで心の狭い人に偏見を持たれて意地悪されたこともあるけれど、
それがすべてではないし、それ以上に素晴らしい出会いもたくさんあるし。
ステレオタイプなイメージとか偏見のイメージを持つことはないです。

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政治的には理解しあえないことが多くても、一般人ひとりひとりは少なくとも、自分の経験や偏見のない
考えから、わかりあう努力をするべきです。揚げ足を取り合っていても、何も変わらないです。
誤解があるなと思えば、変えようとすればいいと思います。

どこかの国を気にいったり、あるいは外国籍のひとと親しくなった方々は、感じることがあるはずです。
相手の国をもっと知りたいとか、自分の国を知ってほしいとか。
残念ながら政治面ではむりっぽいので、民間人レベルで文化面では歩み寄る姿勢が大事だと思います。


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ミステリアスな女性にひとめ会いたいがために、3度も大陸を横断した主人公も、
フランス人と結婚して夫亡き後もその社会で生き続け、日本とのビジネスの橋渡しを担ったマダムも、
なんか私と同じかも・・・・と、そんなことを思いました。






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つむじかぜ

この作品は知りませんでした。興味津々です!
by つむじかぜ (2012-08-06 01:50) 

hatumi30331

WOWOWでやってましたよね!
見逃しました! 見なきゃ!って思ってたのに・・・・
最近・・映画見る時間がなくて・・・・

再放送でまた・・・チェックです!^^
by hatumi30331 (2012-08-06 09:06) 

toshi

コメント、ありがとうございました。
白亜紀荘、みなさん行かれていたんですね。
by toshi (2012-08-06 10:22) 

minK

私も見逃した一人です。
でも、観たくなりました。
今度のお休みにレンタルしようかしら?

私、そういえば(忘れていましたが→)アラフィフなので
心もとない白人主義の人に攻撃されたり・・・・
20数年前、仕事で海外に行くとそのころは必ずと言ってよいほど
韓国人に日本人と分かると喧嘩を売られていましたので
国内で在日の方にはまるで偏見を持たなかったのに
韓国人は怖い!とずっと思うようになっていました。
どんなに親日家の青年たちに誘われても韓国だけは一生
行くことはないと思って当時は韓国だけは嫌です、と出張も
断っていましたが・・・
十年ほど前から随分変わってきましたね。

by minK (2012-08-06 10:49) 

sadafusa

コレですね、劇場で映画もみたし、原作も読みました。
原作はなんていうか、詩のような・・

幻想的な雰囲気のふわぁ~とした小説でした。

ハラ・ジューベイの生涯は、というかあの村の運命は
そのまま、裏日本の幕府軍を支持した人々の運命なんだ、
とある人から教えてもらいました。
たぶん、マイケル・ピットは酒田の港についたんですね。

マイケル・ピットってこの映画を見るまで、知らなかったんですけど、
以前にも「ドリーマーズ」っていう結構すごい映画に出ていて
びっくりだったんですけど、

考えてみれば、こういう透明感のある男優さんでなければ
あんな大胆な役は却ってこなせないものかもしれないなと思います。


結局は、キーラ・ナイトレーが演ずる妻の
夫に対する深い深い愛に気が付くってことじゃないでしょうかねぇ。
美しい映画でした。

by sadafusa (2012-08-06 10:49) 

tommy88

Keira Knightleyは「Pirates of the Caribbean」で好感しましたが、女性的な要素もある方だと思っていました。かたやMichael Pittはドラマ『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』でかなり繊細で危ない殺しやさんを演じておりましたが、好感を持った役者さんです。いずれにせよ、佳い映画には良い役者さんが出演していると言うことですね。
by tommy88 (2012-08-06 12:22) 

水無月

映画が好きですが、この作品は初めて知りました。
きれいな映像ですね。
by 水無月 (2012-08-06 12:48) 

mydreamtoday

こんにちは。
八朔祭はご覧になりましたか?
by mydreamtoday (2012-08-06 12:50) 

krause

いつもとても参考・勉強になります。ありがとうございます。
by krause (2012-08-06 13:15) 

yutakami

「なんか私と同じかも・・・・」のお一言に驚きました。
妄言多謝。
by yutakami (2012-08-06 16:23) 

青竹

ハリウッドが日本人を描くとどうしてああも陳腐になるのでしょう。
中国と韓国が混ざり合ったような世界。
日本とはおよそかけ離れています。
あんなに違うと日本人であることのアイデンティティを否定されている
ような気さえしてきます。
by 青竹 (2012-08-06 19:12) 

hanamura

いろいろ考えさせられます。国内で様々な憎悪が渦巻いていた時代・・・
私は調べられませんが、原発設置箇所は明治政府の・・・が、決めた!
という、今だからセンセーショナルな逸話など、地図見ると・・・絶句。
「坂の上の雲」を最初に読んだ少年時代には、戻れない自分が居る。
by hanamura (2012-08-06 20:58) 

ciel-bleu-fonce

芦名星は、映画『七瀬ふたたび』に出演していましたね~この作品『SILK』も見てみたくなりました。
by ciel-bleu-fonce (2012-08-07 03:46) 

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