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ONE DAY [Movies 2 C]

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1988年、7月15日。
エディンバラ大学の卒業式で出会ったエマとデクスター。


エマはまじめなダサ子ちゃん、デクスターは軽いノリのチャミ男。
酔っぱらったハイテンションの流れのままに関係を持つかと思いきや、エマが踏み切れず、
二人は親友になることに決めたのです。

デクスターは自由奔放だから、女の子には不自由していないのです。
だから、「親友」女子がいても全くいいと思っているのです。


エマはダサ子ちゃんでも、アン・ハサウェイだから、とてもかわいいです。
ダサ子のダサ眼鏡姿もめちゃかわいいのです。
詩人を目指してロンドンへ出てくるけれど、食堂で働くばかりで芽が出ません。
デクスターはパリでイケイケ人生を謳歌しています。

毎年、7月15日に二人がどう過ごしているのかが描かれています。
1988年から、ずっと。


人生をナメているようなチャラ男のチャミ男であるデクスターは、ほんとやんちゃです。
そのうちテレビの仕事を始めて、乱痴気騒ぎやいい加減な人間関係の中にのめりこんでいきます。


どちらかが相手を欲するときにタイミングが合わなかったり、
誰もほかに邪魔者がいないのに関係が進展しなかったり、
すぐ近くにいるのに違う方向を見ていたり、
すごく遠くにいるけれど会いたくて仕方なかったり・・・

そういうことを、二人は毎年、7月15日に繰り返すのです。


そんなことが、23回も繰り返されます。

踏み込めない、どうしようかな? でもやっぱり今の心地よい関係を変えることはできない。
そんなエマの心情、うまいですね、アン・ハサウェイ。


大人になると、1年がとても短く感じます。
ついこの前大学を卒業したつもりなのに、とんでもない月日が流れていたりして・・・
でも友達に会うと、すごい久しぶりなのについこの前会っていた気がしてしまいます。


デクスターを見ていると、人間は流されつつも成長するものだなと感慨深くなります。
病気になったお母さんの彼への言葉が、本当に思って愛してくれる人の言葉だと思いました。

エマが彼を成熟した人間へと成長させるだけでなく、彼女もまた、デクスターの影響を受けて人間として成長していました。



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何か特別な出来事が毎年起こるわけでもなく、
二人の仲を裂くような意地悪な存在が登場するでもなく、
ただ単なるすれ違いとかちょっとした幸福とかが20年以上つづられていきます。


挫折とか、失意、絶望、不安や悲しみ、誰もが月日を経る中で感じるさまざまな残念なことが、二人を見ていると共感してしまいます。明らかに正しくはない方向に流されて大切な人たちの忠告もろくに耳に入らずに、その人たちを失望させ悲しませることも、人間の成長過程として避けられないことなのでしょう。
でも本当に愛してくれている人は、期待を裏切ってもまたそっとドアを開けておいてくれるのです。


二人の愛と友情の物語は、意外な結末を迎えます。
ただもう、呆然としてしまいます。

中年になったデクスターはそれでもまだ子供みたいに現実から逃げようとするけれど、
そんな彼へ、お父さんが言う言葉がまた心に残ります。

そして彼はやっと、彼を愛する人たちが望んだ「大人」になるのです。



時の流れは止めることができなくて、いくら仲が良くてももう住んでいる場所もわからない、
苗字も思い出せない人もたくさんいます。

後悔は誰でもするし、後悔のない人生なんてないのです。


だからこそ、この映画を観終わった後には、なにか深い静かな感動とか感慨に満たされるのだと思います。

邦題が余計なタイトルつけてあって陳腐なラブストーリーかと思いこんでしまっていたのですけれど・・・


オリジナルは”ONE DAY"。




見て良かったと思いました。





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La belle et la bête [Movies 2 C]

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『美女と野獣』見てきました。
たぶん・・・ディズニーのアニメ版が好きとか、ハリウッドの商業映画がお好きな方とかには
「つまらない」と言われてしまうかもしれません。でも、私はこの映画が気に入りました。

11月から公開されているこの映画。


何よりうれしいのは、


フランス語で、本場の物語であるということ。
字幕に頼らなければ、素敵なセリフがたくさん出てくることに気づきます。

台詞だけではなく、お城も衣装も美しい。
時代考証は混ぜ混ぜで時代特定できませんが、一応、ナポレオン1世の時代だそうです。



18世紀半ばにまとめられ、フランス民話にとどまらず世界中の誰もが知っている物語。
大商人の3人の息子と3人の娘。末娘のベルの物語。


破産した父が末娘のベルのために、迷い込んだ森の廃城で摘み取った一輪のバラ。
一番大切なものを盗んだと、野獣がベルの父にとびかかる。

一輪のバラの代償として命を要求する野獣。
父の代わりにと、末娘のベルが自分の命を差し出すために、野獣のもとへ向かいます。


末の兄一人を除き、2人の兄と2人の姉はワガママ放題、それぞれに自己中のこまったちゃん。
ベル一人がいい子ちゃんなのは、自分を産んだせいで母親が亡くなったから。
彼女はそのことを自分の罪のようにずっと心の重荷にしています。ほかの兄姉にも負い目があるのです。

だから、父の代わりに命を差し出すことにしたのかも。
なぜ野獣を好きになるかは、自分に陰があるから同じような陰の存在に惹かれるからなのかも。

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この舞台となるお城、いろいろな国のいろいろなスタイルまぜまぜのお城ですが、
美しいです。

廃城だから枯れた植物や枯葉に埋もれているのに、ひたすらに美しい。
月の光の下の回廊も部屋もすべて美しいのです。

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呪いにかけられたワンちゃんたちもなんかかわいいです。
ビーグル犬って、ローマ時代から存在する犬種らしいです。


そして衣装とアクセサリーが美しいです。
これまた時代は関係ないですが、21世紀だからこその新しいスタイルが
美しい背景と相まって、そのこだわりのこまやかなつくりが本当に美しいです。


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折り紙からインスパイアされたドレスなのですって。
一番目のアイヴォリィのドレス。繊細なレースと金糸のメッシュ、そしてゴージャスな花のチョーカー。
花の冠は宝石をちりばめてあります。


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ブルーのドレスもグリーンのドレスも、そして赤サンゴのドレスも素敵。
そして、寝間着の白のドレスがこれまたすてき。

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なぜ野獣が野獣になってしまったのかのエピソードが盛り込まれていますが、それは3世紀前ほどにさかのぼるらしく、そうすると野獣が人間だったころの舞台は中世、のようです。

野獣はヴァンサン・カッセル。
野獣になる前の彼は本当にぴったりの役、という感じですが、なんていうか、「王子」って設定にちょっと違和感。だって彼もう既に、立派な王様の風格なのですよ(笑)
たしかに、素晴らしい俳優さんですが、王子にしてはちょっと年が・・・

野獣=セクシーなイメージなので、キャスティングしたらしいですが。
そうならば「王子」ではなく、「王」にすればよかったのに。

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ベルはレア・セドゥ。童顔だから10歳くらい若く見えます。「美女」というよりかわいい感じ。
すきっ歯なのです。野獣には結構キツいことも平気で言ってしまいます。
ドレスで走ったり水に落ちたりするのは大変だったことでしょう。
薄氷の湖を逃げるシーンも美しかったです。


残念だった点は、

①ベルの着換えはどうしているのかなという点。
 あれだけの衣装や髪形は誰かに手伝ったもらえないと一人じゃ無理ですね。
 せめて召使は一人はキャスティングすればよかったのに?

②雪が無くなった廃城とその領地の景色が、なんか東南アジアのジャングルみたいに見えてしまったこと。
 ちょっと熱帯雨林的な雰囲気が感じられたので、ここはどこ??と違和感。
(ヨーロッパ人の理想郷があんな感じなのでしょうか?)

③野獣のCG。
 どうして、ライオンみたいな野獣? 
 たぶん物語の中では野獣は男性性や暴力性、人間の内面の醜さのシンボルなのでしょう、だったらライオンぽい感じではなく、もっとわけのわからないもっと恐ろしげな野獣をオリジナルで作り上げればいいのにな、と思いました。

このCGはかなりカッセルが大変だったようですが、ずっと全編通して「なぜライオン?なぜ?」という疑問がぐるぐるしてしまいました。

昔は狼男みたいな野獣もあったみたいですが、よく描かれるのは「ライオンぽい」かんじ。
『ジェヴォーダンの獣』でも思ったけれど、ケダモノのCGは不完全燃焼の物足りなさが残ります。ここはもっと、イマジネーションを働かせてほしいです。

ヨーロッパに生息する野獣と言えば、クマ、イノシシ、ヤマネコ、オオカミなど?
でもここはやはり、新しいイメージを作り上げてほしかったです。


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自然と人が境界を超えて生きることは、ヨーロッパ人には神の領域に踏み込むということと同じ意味なのかもしれません。私たち日本人は自然と共存するのがおはこですけれどね。


ベルが野獣の城ににたどり着くには、2度ほど、森の木々に阻まれてあちこちケガをします。
真実の愛にたどり着くための通過儀礼のようなものでしょう。純粋なだけじゃだめで、傷つくことも必要というような。

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それから、ベルの兄や姉たちは容姿ではなく、心が醜い。
野獣は容姿は醜いが心は醜くはない。


人の心の美しさは外見ではわからない、外見の醜さと心の醜さは別のものなのだ、ということを18世紀のオリジナルの物語では教訓にしているのかな、と思っていましたが、それはこの映画でも現れています。


多くの、心が醜い人たちが登場して虚栄心、残忍さ、強欲、贅沢、驕慢、ウソなどが、愛する人を失うきっかけになって自分を不幸にすると言っているように思いました。


野獣が野獣になったのも、自業自得だったのです。なんかギリシア神話を思わせるストーリーでした。
人間の内側には誰しも、野獣が潜んでいて、それが身を亡ぼすきっかけになってしまうこともあります。


ストーリーが進むと見ているうちに「なるほどねー」と思うポイントがいくつか出てきます。
森の精もとても美しい。なぜバラが野獣の一番大切なものなのかもわかります。

ハッピーエンドがその後どのように展開しているか、そこも新鮮でした。

これから見に行こうという方たちのためにすべては明かさないことにしましょう。

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もう一度言いますね。
ハリウッド映画のような、何も考えずに見るだけですべてが明解にわかる映画がお好きな方は、つまらないというと思います。←実際、知り合いが文句を言っていたので・・・;;;


注;ディズニーの実写版ではないですよ。全くの別物です。
フランス映画ですよ。










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Kiss & Kill [Movies 2 C]

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プレスの評価はイマイチどころか「腐敗した映画」と評されるほどにこき下ろされていますが、
私は好きです。

主演のアシュトン・カッチャーはゴールデンラズベリー賞をもらってしまいました(笑)
しかし、何がそんなにいけないというのでしょうか。

土曜の夜に白ワインでも飲みながらソファでくつろいで観るにはもってこいの
肩ひじ張らない、ちょっとロマンティック、ちょっとワクワク、ちょっとハラハラどんでん返しの
面白い映画だと思うのですけど。

結婚前にフラれたジェンは、新婚旅行の予定だったフレンチリビエラに、両親とともにアメリカからやってきます。
パパとママの、失恋した娘いじりが面白いです。

彼女はゴージャスなホテルで、ゴージャスな高級車に乗るゴージャスな男性と出会います。
ものすごい美女でもなく、ゴージャスでもなく、むしろドジっぷりがチャーミングなジェンを、
ゴージャスガイのスペンサーはかわいいと思うのです。

二人はスピード婚をします。
そしてアメリカで3年、普通の住宅街で普通に幸せな生活を送っていました。

でもある日、近所の住民やスペンサーの会社の同僚たちも巻き込んで、
ひっちゃかめっちゃかな大騒動が起こるのです。

じつはスペンサーには前職に秘密がありました。
その秘密のせいで、平穏な生活は右も左も油断のならない状態に陥ります。

アクションラブコメディになるのでしょうか?
ずっとパイロットだと思っていたパパの正体も実は・・・という仕掛けもあります。
ママは何があっても動じない飲んだくれで、いい味を出しています。

観終わった後の後味も悪くないし、おもしろいと思のですけど~

フランス人のレビューを見たら、この映画を見る理由として、

フランスが出てくる
主人公がフランス語を話す

などの理由が挙げられていました(笑)

ゴージャスなフレンチリビエラ、行きたいけど行けないから見てバカンスに行った気になるのもいいと思うのですけど(笑)


真剣に考えればつっこみどころが満載でも、何だかわからないうちにドタバタと事が進んでいくようなコメディも、気楽に見られていいのではないでしょうか~?






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Hairspray [Movies 2 C]

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ボルチモアつながりで。


2007年の映画。


1962年のボルチモアが舞台です。


トレイシーは太めの元気な女子高生。
人気ダンス番組「コーニー・コリンズ・ショウ」に出演することを夢見る、何事もスーパーポジティヴな女の子。

見ていて楽しくなるような映画ですが、ストーリーのバックボーンには、人種差別が取り上げられています。

「コーニ・コリンズ・ショウ」で月に一度だけ放映される「ブラック・デイ」。
黒人だけのダンスショウです。

司会はモーターという女性で、トレイシーの同じ学校の生徒シーウィードのママ。
番組プロデューサーの女性ベルマは、月に一度だけのこのショウも廃止しようとしています。

毎日を「ブラック・デイ」にしたいと思っているトレイシーはモーターとともにデモを決行します。
トレイシーの親友ペニーはシーウィードと恋に落ち、敬虔なキリスト教徒である母親に猛反対されます。


1960年代でもこんな感じ。
だからビリー・ホリデイの時代はもっと露骨な差別があったことでしょう。

ボルチモアはもともとイギリスの植民地で北部に隣接する南部州だったので、南北戦争時は奴隷州に属していました。
しかし微妙な立場であったことも事実でしょう。

結局は合衆国側にとどまり、奴隷制度解放側に立ちました。


21世紀の現代はなんでもアリな感じがしますが、それでも、人種や国籍で他者を憎む人たちはいなくなることはないようです。

ヘイトスピーチやテロ行為は身勝手な自己主張でしかないと思います。
一般人にとって大切なことは、偏見を持たず、横柄にならず、他者を許し、認め、相互理解を目指すことだと思います。




仕立て屋の恋 [Movies 2 C]

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『Monsireur Hire』が原題。ムッシュー・イール。

軽犯罪の前歴のある孤独な仕立て屋、イール。
彼の唯一の楽しみは、向かいの部屋に住むアリスの部屋を眺めること。

アリスには恋人がいました。実は、その恋人は人を殺して彼女に死体の始末を手伝わせいていたのです。
彼女は仕立て屋にのぞかれていることに驚きましたが、彼を利用しようと考えます。
仕立て屋は彼女を思慕するあまり、犯罪に加担をたことを警察には通報しません。
それどころか、彼女に一緒に逃げようと提案するのです。

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しかし・・・彼女は待ち合わせの場所に来ませんでした。

その代わり、殺された女性の遺留品を仕立て屋の部屋に置きに行っていたのです。
仕立て屋は部屋に戻り、逮捕されそうになり、逃走します。
そして、足を滑らせて転落死してしまうのです。

仕立て屋は、彼をだまして陥れようとした彼女を恨むことはしませんでした。

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好きになったほうが、立場は弱いのです。

ましてや彼はさえない前科者の中年男で、女性が心を動かされるような魅力的な男ではないのです。
今でいえば一種のストーカーなのかもしれません。
ただ、彼女を見つめるだけですが・・・

好きな人に見つめられるのは女性はうれしいと思いますが、好きでもない人に見つめられるのは
不気味ですよね。

それで、アリスも不気味に思うけれど、それよりももしかしてまずいことを目撃されていないかという
ことのほうが気になるのです。

彼の純愛は一途で、彼女のためなら何でもしてあげたいと思うだけなのですが。

純粋な思いだからと言って、相手が受け入れてくれるとは限りません。
相手に別に思いを向ける誰かほかの人がいる場合はなおさらです。
アリスは、恋人を愛しているからついつい、殺人に加担してしまうのです。
でも恋人は彼女の愛を利用しているだけ。

そしてアリスもまた、イール氏の愛を利用するのです。

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好きな人のために何か自分が犠牲になったら、それを損だと思いますか?
それとも、応えてもらえなくても満たされた気持ちになりますか?

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たとえ自分の思いが届かなくても、利用されていても、相手が幸せならそれでいいでしょうか?
それとも、多少自分の想いに応えてもらえなければ、失望するでしょうか?

・・・最後は命までも落としてしまう仕立て屋の行動に感動するか、バカだと思うか。
それは見た人の考え方しだいですね。



*******************************



すみません。忙しかったうえにソネット重すぎて動きが遅くて、ご訪問できていないです。
土曜日に伺いますT_T




仕立て屋の恋 [DVD]

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『晩秋』  ~Late Autumn~ [Movies 2 C]

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この映画は、主人公が中国女優と韓国俳優ですが、舞台はアメリカのシアトル、そして
セリフは全編が英語です。

1966年、1981年と2度映画化されたものを、2010年に三度目のリメイクをされた作品です。
前作までは韓国が舞台でしたが、この2010年版は国際版に仕上げられました。

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『晩秋』ながら、1月の初めに撮影が開始されたとか。
これが真冬の極寒に見えないのは、役者の力量でしょうか。

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中国系アメリカ人の囚人のアンナは、母の死の知らせを受け取ります。
模範囚だった彼女は3日間の外出許可をもらいましたが、追跡装置と携帯電話は常に身につけて
おくようにと言い聞かせられます。

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7年前、彼女は幼馴染の男性と駆け落ちしようとしていたことが、普段から彼女に暴力をふるっていた
夫にばれて、ひどい暴行を受けました。

そしてはずみで夫を殺してしまったのです。

刑務所からシアトルまでの長距離バスに乗り込むと、同じバスに駆け込んできたアジア系の男が。
彼は何かから逃亡しているようでした。

お金を持っていなかったため、同じアジア系のアンナをみつけ、ずうずうしくも借金を申し込みます。

30ドルを貸すと、返すまでの担保だと、強引に腕時計を預けてくるのです。

この男は韓国人のエスコートサービス。
アメリカの韓国系の女性たちから稼いでいたのです。
実はクライアントの女性の夫に追われ、逃げるためにバスに飛び乗ったのです。

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彼は電話番号を彼女に渡しますが、彼女はその紙切れを捨ててしまいます。

久しぶりの自由。家族との再会、ショッピングにおしゃれ、そして殺人の元凶となった幼馴染との
再会・・・・

しかし刑務所からの確認の電話が彼女を現実へ引き戻すのです。

そんなとき、彼女は街の中でバスの中の男に再会します。

”Do you want me? ”

それぞれの事情や状況は違っても、刹那的に生きている二人の人間の人生が、ここで出会います。
でも二人は、ただ街の中を一緒に歩くのです。

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シアトルの街は寒々しくて無機質です。
閉園中の遊園地のゴーカートのそばで口論する白人のカップルの会話を想像して演じる二人。
彼女は自分の身の上を、淡々と、他人事のように彼に話します。

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このストーリーには、なんの未来も将来性もないのです。
ただもう、その一瞬を描いているようです。

長い人生、思い通りに生きられないことが実際には現実です。
アンナが母親の遺体に語りかけるシーンは印象的です。

お互いの事情を知ったうえで、ふたりはアンナが刑期を終えた時に再会を誓います。
でも彼は、追っ手に捕まってしまうのです。

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最後のキスシーンも印象的です。
長いキスには、生きることの難しさ、生への執着が現れているようです。
人生は長いようで、逆に言えばほんの束の間です。

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どう生きるかによって、喜びの多い人生になるのか、苦しみの多い人生になるのかが徐々に
見えてきます。

未来のない二人の、一瞬の邂逅。

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秀作だと思います。


レイトオータム [DVD]

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The Fast & The Furious X3 Tokyo Drift [Movies 2 C]

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お出かけから帰ったヘロヘロの脳みそで、ふと、このDVDがみたいなぁと思いました。

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あの、はっきり言って、ストーリーにはほとんど興味がないのです。

だって、アメリカの問題児の高校生が日本に留学してきて、不良たちとドリフトバトルして勝つなんて、
「あ、そうですか」って感じなのですもの~。

(結局アジア人が悪役だしww)日本人として、なにも共感できるポイントがないですw

アメリカ人のへんてこな日本の文化解釈は、21世紀になっても治らないようですね。
あいかわらず摩訶不思議な街として描かれています、日本の首都。

ということで、ストーリーはどうでもよいのです。

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この映画が私のお気に入りなのは、そのカーアクション故なのです。
CGを駆使したカーアクション。
カースタントも秀逸です。



シブヤの交差点に(もちろんCG)猛スピードで突っ込んで人ごみがぱかーっと割れるところとか、その前後のカーチェイシングとか、

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立体駐車場のカーブをひたすらドリフトで上るところとか(これってすごいです)、
峠で連なってドリフトするメランコリックなシーンとか。

路上クラッシュもリアルに近いです。
(主人公がドリフトの練習をするシーンの、釣り人の反応は笑えます^^)



LAのメインストリートを夜中に閉鎖して撮影したそうです。
メイキングで見ました。

疲れたときにこれを見るとすっきりします。

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あまり深く考えないで(いや、まったく何も考えないで)、カーアクションを楽しむ映画です。

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オマケヾ(*≧∇≦)〃私のお気に入りのYouTubeのドリフトはこれです。
↓     ↓      ↓
http://youtu.be/g5l9lrYbFtE



ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
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River runs through it [Movies 2 C]

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ロバート・レッドフォードの監督した映画で、ブラッド・ピットを不動の人気に押し上げた映画です。
もう20年も前の映画なのですね。

モンタナはど田舎です(行ったことないけれど)ww
でも美しい自然があります。
フライフィッシングを父から教わってする幼い兄弟。

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やがてまじめな兄は家を出て大学へ進学し、おちゃめな弟は地元の大学へ。
兄がしばらくぶりに家に帰ると、弟は地元の新聞社へ勤めていました。

でも、弟は賭け事におぼれていたのです。

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二人の兄弟。
兄の人生は順調に地道に幸せに進みます。

弟の人生は、表面上は順調に行っているようで、実はそうではないのです。
彼は酒と借金まみれなのです。

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留置所に入るまでに弟の生活は荒れていきます。
陶器のボウルにほんのかすかな亀裂が入り、そこから水が漏れだします。
やがて完璧な入れ物は亀裂のせいで耐久度が落ち、何かのはずみで割れてしまうのです。

フライフィッシングがとても上手な弟。
でも彼はいかさま賭博をして、殺されてしまうのです。

老人となった兄は、弟を思いながら川でフライフィッシングをしています。

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鴨長明は、「流れる川の水は絶えることなく、しかももとの水のままではない」と言いましたね。
つまり、表面はずっと同じようであっても、実は同じということは何一つない、万物は流転すると
いうような考えです。日本の中世の根底をなす無常観の現れです。

でもこちらはその逆の真理を突くようです。

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”River runs throught it"、つまり、たとえ人の世がどのように変わろうとも、川の流れは変わらずに
そこに流れ続ける、というものです。こちらは杜甫の「故郷が戦争でめちゃくちゃに破壊されても、
自然だけは変わらずに残り続けている」という真理に近いですね。

自然に比べると人間とはちっぽけな存在でしかない・・・

それでも、与えられた寿命を生き抜くしかない。

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川の流れを万物の流転ととらえるか、川の存在自体に悠久性を見出すか。
生き方にも通じるものがあるので、奥深いですね。

釣り人もまた、忍耐あるのみ。
じっと待つ、そして考える。太公望の境地は、常人にはちょっとやそっとでは到達できそうもないですw

でもひとついえることは・・・温暖化であっても、自然は悠久です。
川は多少変わりながらも、そこに流れ続けるのです。




リバー・ランズ・スルー・イット [DVD]

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INDOCHINE [Movies 2 C]

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『INDOCHINE』・・・フランス語で「インドシーヌ」が原題です。

1930年代のインドシナが舞台になっています。

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インドシナ生まれで祖国フランスを知らないで育ったエリアーヌは、ゴム農園を切り盛りしています。
彼女は友人の娘で皇女のカミーユを養女として育てています。

フランス人の若い将校ジャン=バチストが以前に一目ぼれしたと言ってきて、彼女は彼と恋に落ちます。
でも、彼女の父親に反対され、脅された彼は彼女のもとを去ります。

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数年後、、養女のカミーユがジャン=バチストに救われることがあり、彼に恋してしまいます。
そして彼を誘ったパーティで、養母エリアーヌと彼を再会させてしまうのです。
口論になりエリアーヌをたたいてしまったジャン=バチストは左遷されます。
カミーユもほかの人と結婚させられてしまいました。

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しかしカミーユはすべてを捨てて彼を追いかけて僻地へ向かいます。
そして再会し、今度はカミーユがジャン=バチストと恋に落ちるのです。
しかしカミーユはフランス人の将校を射殺してしまい、そのため追われる身になります。

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エリアーヌは必死に養女を探しますが、見つかりません。
やがてカミーユとジャン=バチストに子供が生まれます。
しかしついに、ジャン=バチストは捕まって殺されてしまいます。投獄されるカミーユ。

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エリアーヌの必死の申し出で、カミーユの子は彼女に引き取られます。
そして、エリアーヌはカミーユの願いによって、彼女の息子を連れてフランスへ行くことに。

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ヴェトナムがまだフランスの植民地だったころの話です。

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世界自然遺産に指定された美しい風景は、まるで時がそこには存在しないかのような悠久さです。

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母と娘が同じ男を愛します。
でも、メロドラマではないのです。

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強いようで運命には逆らえなかった母と、守られるべきかよわさだけであるかのようで、
思いのままに強く生きた娘。

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歴史に翻弄された二人の女性の物語です。


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インドシナ HDリマスター版 [DVD]

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大奥~男女逆転~ [Movies 2 C]

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イトコに見せてもらって、原作を読みました。
うわ~、目からうろこ。これ、おもしろいと思いました。

昔からよく男女逆転のストーリーはありますが、ぶつかったりとかしてお互いの体と心が入れ替わるとか、
どうしてもコメディ調の設定でした。

日本の古典にも『とりかへばや』という男女逆転の物語がありました。
でもこれは、そんな入れ替わりではなくて、完全に世の中の男女の立場が逆転するという、大胆かつ
斬新な設定なのですよね。

江戸時代。
謎の疫病が流行って、なぜか男だけが死んでいくのです。

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そのために男子の人口が激減して、世の中は病気に弱い男に代わり、女が働くようになります。
実在の歴史上の人物たちもそのままの名前ながらすべて女。

火消も駕籠屋も将軍もすべて女。
その代り花街にいる花魁も女郎もそのへんのヨタカもすべて男。
男は親に花街に売られて病気だろうがなんだろうが子種を売らないといけないのですw

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大奥には将軍ひとりのために揃えられた美男が3.000人。
時代の将軍の父となるべく、嫉妬と陰謀渦巻く閉鎖的な世界で火花を散らしているのです。

貧乏旗本の長男、水野は、世の中一般の女たちにボランティアで子種を与えています。
幼馴染の商家の娘とはお互いに好意を抱いていますが、身分的にも結ばれない仲です。

彼はお家を救うために、大奥に入ることを決心するのです。
大奥は3代将軍家光の時代に春日局のアイディアで作られたと言いますが、大奥の仕組みを
知らなくても、ちゃんと説明をしてくれるのでわかりやすいですw

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水野は下っ端からその剣の腕と男っぷりの良さで、着々とランクアップしていきます。
先輩の杉下の話す身の上がまた泣けます。さすが阿部サダヲ。

1 : 3000 の比率では、目に留まることもなく寂しく終わる者も多いことは誰だってわかりますよね。
実際の大奥でも、将軍の目に留まることなく自殺したり隠れて姦通したり、同性同士で慰めあうことも
あったと言われますが、この逆転大奥でも格上の者たちが格下のものをかわいがるということが普通に
行われていますw

佐々木蔵之助と玉木宏のラブシーン・・・う~ん;;;;

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下っ端の少年たちが先輩たちにあこがれてきゃあきゃあいう様子は、女子高生みたいw
衣裳が素晴らしいですね。原作を再現した黒い裃(かみしも)も美しいできでした。

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幼少の家継が亡くなって紀州から吉宗がやってきます。
享保の改革でしられる吉宗は、質素倹約家です。そんな吉宗の衣裳も、地味に見えながら上質で
すばらしい。

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吉宗の偏屈ぶりと知性を、柴咲コウが演じています。
鋭い視線がすばらしいですね。

きらきらしい大奥の男たちを鼻で笑うところがかっこいいですww

とにかく、どうなっちゃうの? とつい見入ってしまう原作でしたが、この映画はほぼ原作に忠実に
作られていました。

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最後は「ふ~~ん」とつぶやいてしまいます。
見たことのあるかたは、意味が分かっていただけると思いますw






大奥 コミック 1-7巻 セット (ジェッツコミックス)

大奥 コミック 1-7巻 セット (ジェッツコミックス)

  • 作者: よしながふみ
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2011/08/02
  • メディア: コミック



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