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運命の秘密婚。 [l'histoires de femmes]

ca of valois.tudor.jpg

カトリーヌ・ド・ヴァロワは、由緒正しい「青の血筋」でありながら、いわば「崩壊家庭」に生まれてしまった姫君でした。

父はフランス王シャルル6世。
母はフランス史上一、二を争う悪女の名高いイザボー・ド・バヴェール。
父は狂気でDVで、母は国家予算に手を出して、姫君、王子たちは食べるものも着るものもない状態。

見かねた部下がカトリーヌを修道院に入れました。

バヴァリア家の美貌の姫君であった母は、14歳でシャルル6世に嫁ぎます。
でもシャルルが発狂するようになり、結婚生活は早くも破綻。
母は義弟を誘惑して、夫を殺すよう仕向けます。
でも暗殺は失敗に終わり、今度は夫の従弟ブルゴーニュ公ジャンを誘惑して義弟を殺してしまいます。
そして自分の子シャルル王太子と対立します(この王太子を助けるのが、ジャンヌ・ダルクです)。

この母が悪女なのは、腹を痛めたわが子をシャルル6世の子供ではないと公言したところです。
…そこまでして権力が欲しいなんて。

幸い、娘はそんな悪女的な要素は受け継がなかったようです。

ca of valois1.jpgカトリーヌ。
受け継いだのは美貌。
金色の髪に青い瞳、細やかな、はかなげな姫君。

ca of valois.doyle-james-henry-v-weds.jpg二人の結婚式。
フランスに進軍してきたヘンリー5世は、カトリーヌとの結婚を申し出ます。
彼女は19歳でヘンリー5世妃になり、翌年に男児を出産します。
この男児がのちのイングランド王・ヘンリー6世です。
ヘンリーは彼女を大切にしたし、彼女もヘンリーに好意を持ったと言われます。
ca of valois.henry-v.jpg結婚式の絵はいくつか残っています。

ハッピーエヴァー・アフターでは終わらなかったお姫様の物語は、まだ続きます。
夫のヘンリー5世は、その1年後に赤痢でこの世を去ってしまうのです。
21歳で未亡人になったカトリーヌ。

若く美しい未亡人の心をとらえたのは、衣装係で秘書官だった男。
armsofowentudor.jpgオーウェンの紋章。
オーウェン・チューダーという、南ウェールズの王族の末裔です。
恋に落ちたふたりは、ひそかに結婚します。

catherine_de_valois.jpg美男美女だったようです。

そしてカトリーヌは4人の子を産み、36歳で病死しました。
Catherine_of_Valois_Arms_svg.pngカトリーヌの紋章。

この秘密結婚には、ヨーロッパを中世から近世へ変化させる重大な意味がありました。

彼女の産んだ庶子のうち、二人の男子は異父兄にあたるヘンリー6世を助けてばら戦争を戦います。
夫のオーウェンは敵のヨーク家にとらえられて処刑されてしまいます。

カトリーヌとオーウェンの長男・エドマンドはリッチモンド伯となります。
30年も続いたばら戦争を終結させたのは、このエドマンドの息子であるヘンリーです。
そして彼は王位について、ヘンリー7世となるのです。
チューダー朝の始まりです。
Armoiries_Owen_Tudor.jpgチューダーの紋章。

彼女自身は影が薄いような気もしますが、
イギリスの歴史を大きく変えるきっかけとなった存在であったことは、間違いなさそうです。


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ラブスコール

自分の後にも、歴史は続く・・・ですねっ。
by ラブスコール (2011-06-29 06:26) 

rtfk

教科書に載っていない歴史の方が興味深く感じます^^)
by rtfk (2011-06-29 08:34) 

くまら

いや~今回も面白かったです^^
by くまら (2011-06-29 09:52) 

月夜空

おはようございます^^

権力が親子間の愛情までも上回る時代だったんですね。

イギリスのウィリアム王子の結婚が騒がれていたときに、紋章についていろいろ知りました。
今日載っていた紋章もどんな意味でついているのか、興味がわいてしまいました。
by 月夜空 (2011-06-29 10:40) 

niki

紋章学は、奥が深すぎてなかなかまとまりません;;
もう何年も興味を持っていますが、いまだに短くまとめられないです(´д`、)

カトリーヌの紋章は、フランス王家のユリが入っていますね。

オーウェンの紋章の上の王冠は、貴族であることを示しています。
この王冠で階級がわかりますが、王族の末裔だけあって立派ですね。

ライオンは古代エジプトから覇者が好んで用いてきたシンボルです。

クレストの形や、デザインの分割の仕方によっても身分が表せます。
ああ・・・・ややこしいです( ´艸`)
by niki (2011-06-29 14:22) 

emuzu

ミラ・ジョボビッチのジャンヌダルク、、、カッコよかったなぁーv(^皿^♪)
by emuzu (2011-06-29 14:47) 

arles

紋章学は、奥が深いですね。

by arles (2011-06-29 16:04) 

ナツパパ

記事の登場した人々は、善悪共に、日々一生懸命生きていたように感じます。
その結果がかくも大きな物語になるとは。
人間の知恵など知れてるなあ、と思いますねえ。
by ナツパパ (2011-06-29 18:01) 

ぷりん&りく

お祝いコメありがとございまし★
これからも、、ヨロピクお願いしましっ♪^v^
って・・秘密婚・・・汗・・
現代でしてるとしたら、、芸能人くらいかな・・・ワラ☆
by ぷりん&りく (2011-06-29 19:18) 

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