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運命に翻弄されたアリス姫 [l'histoires de femmes]

a.alys1.jpg

アリス姫はフランス王ルイ7世の4番目の姫君です。アレー、アデル、アデライドなどとも呼ばれます。
なんとも気の毒な運命の姫君です。

フランス王ルイ7世は、3度結婚しました。
一人目の妻はフランス王よりもはるかに広い領土を持つアキテーヌ女公アリエノール。
性格の不一致で彼女のほうが王を見捨て、はるかに年下の英国王位継承権を持つアンジュ―伯
(のちの英国王ヘンリー2世)と再婚してしまいました。

女傑にしてヨーロッパの母アリエノール→ http://niki310.blog.so-net.ne.jp/2011-07-04-1

a.alys.louis.vii.jpgルイ7世。

2度目の結婚でカスティリヤのコンスタンツを妃として迎えました。
そして生まれたのが、マルグリットとアリス。

コンスタンツはアリスを産んで5週間後に亡くなってしまいました。
王位を継ぐ男子の誕生を焦っていたルイは、すぐに再婚します。

シャンパーニュの姫君と結婚して、やっと王子に恵まれました。
それがのちの尊厳王・フィリップです。

a.alys.brother.philip.jpgアリスの弟にあたるフィリップ・オーギュスト。

アリエノールがヘンリーと結婚したことにより、フランスの大部分が英国領となってしまいました。
これはまずいとおもったルイは、ヘンリーと交渉します。

和平の印として、もと妻アリエノールの産んだヘンリーの息子リチャードと、自分の娘アリスとの婚約を
取り決めたのです。アリスが3歳の時でした。

婚約とは表向きの言いぐさで、人質のようなものです。
彼女は8歳で英国へ渡りました。

でも、リチャードの母アリエノールは、もと夫の娘と自分の息子の結婚をよく思わなかったようです。
アリスは1177年、英国側から結婚無効の申し立てを受けました。

リチャードもほとんどは母のアキテーヌ領(フランス)で暮らしていたために、二人が会うことは
なかったでしょう。リチャードは母に似て気性が激しく、獅子心王と呼ばれる王です。幼いころから
結婚を決められていた顔もろくに知らない、母のもと夫の娘には興味がなかったのかもしれないですね。

ヘンリー2世が亡くなると、リチャードが後を継ぎましたが、アリエノールは別の姫君とリチャードを
結婚させてしまいました。これは、アリスの父ルイ7世が亡くなり跡を継いだフィリップが、領土争い激化
で英国と国交を断絶してしまったことも大きかったようです。

アリス姫の英国にいる意味がなくなってしまいました。

henryIIofENG.pngヘンリー2世。

しかも、長い年月の間に、アリス姫はリチャードの父ヘンリー2世のお手付きになったという噂も流れた
のです。息子の婚約者に手を出すなんて、玄宗皇帝暗いかと思いきや、女好きのヘンリーにもないとは
いえません。

ヤキモチやきのアリエノールは、気に食わなかったことでしょうね。
リチャード自身が、父の手のついた女性と結婚することを強く拒んだとも言われます。

とにかく、すでに英国王妃の座もかなわなくなったため、1195年、彼女はフランスへ返されました。
すでに、35歳になっていました。

いまでこそ35はまだまだですが、この時代では孫がいてもおかしくない年齢でした。
27年ぶりに祖国の土を踏んだ彼女は、何を思ったでしょうか。

その後は異母弟のフィリップによって、18歳年下のポンチュー伯ウイリアム4世と結婚させられました。
娘を3人産んだと言われるので、後半の人生は穏やかだったかもしれませんね。
でも・・・・なんとも気の毒な話です。


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ラン

時代に翻弄され、必死で生き抜いた女性だったのですね・・・
どうしようもない現実でも一生懸命生きることで少なからず未来が開けるのは、今も昔も同じ、ですね。
by ラン (2012-05-03 03:41) 

楽しく生きよう

その状況を受け入れることが出来た彼女の強さに頭が下がります。
by 楽しく生きよう (2012-05-03 05:38) 

ja1nuh

政略結構んの犠牲者ですね。 でも後半は幸せそうでよかったです。
by ja1nuh (2012-05-03 10:51) 

yukki

見るたび「へ~・・・」「知らなかった・・・」が絶えず出てきますw

最近、訪問頻度が減ってしまってごめんなさい・・・
by yukki (2012-05-03 11:51) 

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