Floribus Cor [Lorem ipsum (創作)]
かつて私の心の中には
一輪の真っ赤なケシが
人知れずに咲いていた
それは心にぽっかりと穴が開いたときに
ぼんやりと、その空間を埋めるために現れた
いつまで続くかわからない悲しみと
まといつく青のコロイド状の液体の眠りのなかに
たよりなげにその身をなよがせて
それは私が私を保つための
脆弱な、心の支えだった
悲しみはみぎわの枯葉のように
やがて岸辺から遠のいていくけれど
なくなることはなくて
かすかな風にでもこうべをたれて揺らぐ
真っ赤なケシが
「わすれないで」と時々ささやく
いまや真っ赤なケシの花は
枯れ果てて朽ちて姿を消している
でもいつかまた
そのなよやかな姿を現すかもしれない
「わすれないで」と
聞き取れないほどかすかなか細い声で
ふたたび囁くかもしれない
宮崎の生駒高原には色とりどりのケシが咲いていました。
by 風太郎 (2012-03-07 09:29)
熱く心の底に秘めた、切なく揺らぐ気持ち・・・
何時もこんなに素晴しい詩が浮かび、
・・文学の才能が無い私には、うらやましい事です。
by タッチおじさん (2012-03-07 13:40)
心に穴がないときも、役目がないときも、わたしはそこにいる。
あなたが見える、あなたを感じている。
あなたが感じていなくても、わたしはそこにいる。
あなたは太陽です。
だから、
もしあなたがまたわたしの元を訪れた時、
わたしはまたあなたに向かって咲くでしょう。
by nana_hyr (2012-03-07 19:45)