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Floribus Cor [Lorem ipsum (創作)]

a.Georgia O'Keeffe00.jpg


かつて私の心の中には

一輪の真っ赤なケシが

人知れずに咲いていた


それは心にぽっかりと穴が開いたときに

ぼんやりと、その空間を埋めるために現れた


いつまで続くかわからない悲しみと

まといつく青のコロイド状の液体の眠りのなかに

たよりなげにその身をなよがせて


それは私が私を保つための

脆弱な、心の支えだった


悲しみはみぎわの枯葉のように

やがて岸辺から遠のいていくけれど

なくなることはなくて


かすかな風にでもこうべをたれて揺らぐ

真っ赤なケシが

「わすれないで」と時々ささやく


いまや真っ赤なケシの花は

枯れ果てて朽ちて姿を消している


でもいつかまた

そのなよやかな姿を現すかもしれない


「わすれないで」と

聞き取れないほどかすかなか細い声で

ふたたび囁くかもしれない



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coucou♪(・ω・)ノ 87

ご自由に3

風太郎

宮崎の生駒高原には色とりどりのケシが咲いていました。

by 風太郎 (2012-03-07 09:29) 

タッチおじさん

熱く心の底に秘めた、切なく揺らぐ気持ち・・・
何時もこんなに素晴しい詩が浮かび、
・・文学の才能が無い私には、うらやましい事です。

by タッチおじさん (2012-03-07 13:40) 

nana_hyr

心に穴がないときも、役目がないときも、わたしはそこにいる。
あなたが見える、あなたを感じている。
あなたが感じていなくても、わたしはそこにいる。
あなたは太陽です。
だから、
もしあなたがまたわたしの元を訪れた時、
わたしはまたあなたに向かって咲くでしょう。
by nana_hyr (2012-03-07 19:45) 

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