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孤高の女王。 [l'histoires de femmes]

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イングランドを大国にのし上げた女王、エリザベス。
「女王の治世には英国は栄える」という言葉を生み出しました。
70歳まで生きた彼女の人生における、もっともスキャンダラスな出来事について、
お話しましょう。

父が母を処刑。
両親の愛を知らず、冷たい異母姉とともに日陰の暮らしを続けていたリズ(エリザベスの愛称です)。
陰鬱な少女時代の中で、彼女にはある幼馴染の少年がいました。
ロバート・ダドリー。

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実は、彼の父親はジェーン・グレイを担ぎ上げて英国王に仕立て上げたあのジョン・ダドリーなのです。
かれはその四男にあたり、弟ギルフォードは新妻ジェーン・グレイとともに処刑されています。
彼自身も父や兄弟たちと、父の謀反の加担者として幽閉されました。

さらにおじいちゃんも、ヘンリー7世の時代に反逆者として処刑されているので、いわば反逆一家の3代目です。
英国は反逆者の血筋でもまったく平気なんですね。ところ変われば、です。
日本の大名ならお家取り潰しになりそうですが。


liz.amyrobsart.jpgエイミー・ロブサード

ロバートは17歳の時にエイミー・ロブサードという女性と結婚しました。
しかし、リズが王位に就いてロバートが主馬頭に任命されると、宮殿で再会するのです。

liz.dud.jpg映画ではジョセフ・ファインズがダドリーを演じました。

諸侯とも諸国の王とも結婚したがらない彼女は、男嫌いかともうわさされていました。
しかし、ロバートに再会すると、彼と昼も夜も片時も離れなくなったのです。

liz.dancewizdudley.jpgダドリーと踊るリズ。

当時、女王の周りには千人以上の貴族が仕え、出世を待ち望んでいましたので、
女王のロバートへの寵愛ぶりに、ほかの男たちが嫉妬しなかったわけはありません。

あることないことないことのひどいうわさを流し始めました。

ロバートの妻のエイミーは、いつか毒殺されはしまいかと、毎日祈り暮らしたそうです。

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そんなある日、エイミーが召使たちが「たまたま」留守にしていた無人の屋敷の中で、
階段で滑り落ちて、首の骨を折って死んでしまったのです。

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そんなに段差も高くない階段で・・・・・。

世間の人々は、女王とロバートを疑いました。
二人が、暗殺したに違いない・・・・。

国内だけでなく、各国大使も本国にこのことでの報告を送ったものですから、
たちまちヨーロッパ中の噂になりました。

lizanddudley.jpgリズとダドリー。

エイミーが死んだ今、女王はダドリーと結婚するのか・・・。

でも結局、リズは結婚しませんでした。
女としての幸せよりも、一国の君主としての立場を選んだのです。

ロバート・ダドリーにはエイミー存命中からリズ以外にも何人かの女性がいました。
そしてのちに別の女性と再婚しています。しかもそれはある貴族の未亡人で、彼女の連れ子は実は
夫の存命中に浮気したダドリーとの間の子、という噂もありました。

リズはダドリーの再婚にひどく嫉妬したと言いますが、彼が死んだときは何も食べられず
部屋に閉じこもって泣き暮らしたと言います。

その後、33歳年下のエセックス伯ロバート・デヴァルーや、
liz.robdevereux.jpg

19歳年下でアメリカヴァージニア州の名付け親である探検家のウォルター・ローリー卿などが、
恋人として噂されました。
liz.RaleighWalterSir.jpg


・・・私は研究科ではないので、明確な資料や事実を証明するものはなにもありませんが、
もしかしたら、とこう想像してみます。

[リズはその陰鬱な少女時代に、こう考えるようになったかもしれないです。

愛とは、なんだろう?

母が父に処刑されたのは、自分が男の子ではなかったから。
男の子でなかったから、父にも母にも愛されなかった。

男は、信じてはいけない。
愛も、信じてはいけない。

自分を守るのは、自分のみ。

計算高く、嫉妬に狂い、男によって翻弄される、母のような人生は送りたくない。]



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心の内を、誰にも許すことはなく、どんなひどい干渉を受けても、表情を変えずに生きる。
それが彼女の生き方だったのかもしれません。

それは彼女が強い人だったからではなくて、それとは正反対に、とても傷つきやすい、他人に対して
自分を素直に見せることが苦手な、臆病なくらいのさびしがり屋だったからかもしれません。


私は・・一国の君主ではないので、そんな一生は嫌だなぁと思いますけど・・・


映画『エリザベス』はこちら。
↓     ↓     ↓     ↓ 
http://niki310.blog.so-net.ne.jp/2011-04-20-16




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ナツパパ

君主というのは孤独なものですね。
一般人にはとても耐えられないでしょう。
こればかりは生まれ育ち、なんでしょうねえ。
by ナツパパ (2011-08-15 13:36) 

坊や

我が国の天〇も、孤独ですね。。
by 坊や (2011-08-15 16:46) 

sora

生き続けるために、孤独の選択をせざるを得ない当時の風潮がとても気の毒に思えます。今の世に生まれていれば全く違った人生を歩んだんでしょうね。
by sora (2011-08-15 21:53) 

mebo

そういう生まれだと、自然と心を閉ざすことで身を守るようになるんでしょうね。
それ以外の生き方を知らないから、意外と本人は不幸だと感じていないのかもしれませんが・・・。
by mebo (2011-08-15 22:18) 

霧島

「エリザベス」観たくなりました!
by 霧島 (2011-08-16 03:38) 

cafelamama

「エリザベス」のケイト・ブランシェットは、僕の大好きな女優です。
彼女が出演する映画は、みんな面白いなぁ。

by cafelamama (2012-08-11 06:11) 

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