薄倖のドロテア [l'histoires de femmes]
ひとの幸不幸はどこで決まるのか、わからないものです。
生まれは高貴、嫁ぎ先も高貴ながら、ハッピー・エヴァ・アフターにならない姫君もいます。
ソフィア・ドロテアもその一人でした。
侯爵令嬢で、絶世の美女としてヨーロッパでも名高い存在だった彼女が結婚したのは、
ハノーヴァー選帝侯の王子ゲオルグでした。
ゲオルグはすでに何人もの愛人や子供がいて、結婚してもその数は減るどころか増える一方。
しかもゲオルグの父ハノーヴァー公にも、プラテン伯爵夫人という愛人がいました。
ソフィアにとって、結婚には幸せなど皆無でした。
望んだわけでもなく、夫に愛されるわけでも夫を愛するでもなく。
不幸な毎日を送っていたある日、彼女はある男性と再会しました。
それが幼馴染のケーニヒスマルク伯爵。
ハノーヴァーの傭兵隊長として赴任してきたのです。
地毛ではなく、かつらですよ~~
初恋の相手どうしの再会・・・。
しかも、ソフィアは不幸な毎日を送っていて、ケーニヒスマルクはそれを目の当たりにしているのです。
二人の間には自然と愛情が生まれました。
しかし一方、ハノーヴァ公(ソフィアの義父)の愛人プラテン伯爵夫人も、ケーニヒスマルクに目をつけていたのです。
ソフィアとケーニヒスマルクはそんなことはつゆも知らず、何百通もの手紙のやり取りをしていました。
秘密の恋文です。
ある一人の悋気に燃えた女に観察されていることも知らず・・・。
ケーニヒスマルクはある日、庭のあずまやに呼び出されます。
そこにはプラテン伯爵夫人が。
彼女はケーニヒスマルクをあずまやに引き込みます。
ゲオルグがそばを通るのを計算に入れ、あずまやの手前にソフィアの扇子を落としておいたのです。
ゲオルグは妻のソフィアの浮気を疑います。
そしてある日、ヘーニヒスマルクはソフィアからの手紙を受け取りました。
それには、この結婚生活にはもう耐えられないので、駆け落ちしてほしいと書かれていたのです。
でもそれは、偽の手紙でした。
プラテン伯爵夫人が、自分になびかないケーニヒスマルクを憎み、罠にはめようとして書いたものでした。
ケーニヒスマルクが手紙にあるように、密かに開けられた入口から城に侵入してソフィアの部屋へ行くと、
ソフィアはびっくりしました。
駆け落ちの手紙の件を話すと、そんな手紙は出していないと彼女は言います。
にわかに外が騒がしくなり、警備兵が大勢やってくる足音が。
ケーニヒスマルクは逃げましたが、途中で捕まって暴行され、最後は剣で突かれて殺されてしまいました。
深い悲しみの淵に追いやられたソフィアは、この騒動の責任を取らされて実家へ戻されました。
そして怒った父親に、幽閉されてしまうのです。
心から愛する人を失った悲しみに、彼女は長い間浸りきりました。
その間に、イギリスに王位継承者がいなくなり、ゲオルグが英国王として選ばれました。
彼は即位して、ジョージ1世となったのでした。
でもソフィアは英国王妃となることはありませんでした。
ジョージ1世は相変わらずの放蕩ぶりで、国民の信頼を得ることはできませんでした。
忘れ去られたソフィアは、生涯でたったひとり愛した人の死を、悲しみ続けて余生を送ったようです。
かわいそうですね。
by arles (2011-08-06 03:45)
王侯貴族のお話なのに
昼下がりのメロドラマ(古い)のような
ストーリーですね。。。
by rtfk (2011-08-06 05:13)
中世のヨーロッパ貴族は 既婚者でも愛人を持つことがステイタスみたいなところがあったように思います。男性も女性も。
なのに嫉妬深いんですよね。とっても不思議に思います。
by majoramu (2011-08-06 08:10)
こんにちは♫ いつもありがとうございます。
絵の中にも、色々なお話が込められている事がありますよね。
パリだったと思うのですが、美術館で見たでとても印象に残った絵が
あったのですが、その絵に色々な話があった事を最近知り、
もう一度見に行きたくなっています。
by youzi (2011-08-06 15:51)
はじめまして、ブログへの訪問ありがとうございました。
中世の美術館へ入ったようです・・・この時代の貴族の皆さんはこんなことって当たり前の世界だったんでしょうね?????
by rabbit (2011-08-06 17:10)