SSブログ

9日間だけの英国女王 ~Lady Jane Grey~ [l'histoires de femmes]

lg5.gif


たったの9日間だけ王位に就いた、薄幸の女王をご存知ですか?

18歳で処刑されたレディ・ジェーン・グレイ。

その在位があまりにも短すぎるためにほとんど知られていないのですが、
いまでもロンドン塔で、白いドレスを着た彼女の亡霊がさまよっているそうです・・・。

父はサフォーク侯ヘンリー・グレイ、母は英国王ヘンリー7世の孫メアリ。

時はヘンリー8世が2番目の妻アン・ブーリンを処刑して、3番目の妻ジェーン・シーモアとの間に
待望の王子をもうけたころでした。

lg3.jpg


王子と同じ年に生まれたジェーン・グレイは、将来のお妃候補として両親の期待を一身に受けながら
たいせつに育てられました。

年頃になるころには、その美貌と教養の深さから、英国一のレディと呼ばれるようになっていました。
数か国語を話し、プラトンを原書で読むほどの賢さ。

ヘンリー8世が亡くなり、9歳で王子がエドワード6世として即位しましたが、エドワードは体が弱く、
結婚して子供を作るのは無理と言われていました。

ヘンリー8世は遺言をのこしました。
もしエドワードが亡くなったら、メアリを次の英国王とする。
このメアリはヘンリー8世と最初の妻キャサリン・オブ・アラゴンの娘で、エドワードの年の離れた
異母姉に当たります(エリザベスⅠ世も異母姉です)。

摂政のダドリーは、ある計画を練りました。

lg.LordGuilfordDudley.jpg


17歳の自分の息子ギルフォードと、15歳のジェーン・グレイを結婚させる。
そしてエドワード6世に、王位をジェーン・グレイに譲ると遺言させ、ジェーンを王位につけます。
ゆくゆくはジェーンの産む子(つまり自分の孫)を王位につける・・・。


lg4.jpg


ジェーンはギルフォードと結婚します。15歳の花嫁。
そしてすぐにエドワード6世が亡くなります。

ダドリーは亡き王の異母姉メアリをとらえようとしますが、先に察知したメアリは逃げてしまいます。
でもダドリーはジェーンの王位継承を強行します。


lg11.jpg


王位に就くことを聞かされたジェーンは、ショックで気を失ったといいます。
しかし、若いながらも思慮深い彼女は、ヘンリー8世の遺言があることを理由に王位を断ります。
しかし、ごり押しされて王位に就くのです。

ld2.gif


9日後・・・

メアリが王位継承を宣言し、ジェーンたちを反逆者とみなしました。
ジェーン、夫、ダドリー一家は囚われて、投獄されました。

lg9.jpg


ジェーンは夫のギルフォードとともに、ロンドン塔へ。

lg7.JPG


そして半年の幽閉生活ののち、彼女は夫とともに処刑されました。
夫はタワー・ヒルで、ジェーンはタワー・グリーンで。

lg6.jpg


処刑は凍てつく2月。
白いドレスを着た彼女は、泣きもわめきもせずに、静かに刑に服しました。
彼女は、何一つ間違ったことはしていませんでした。
無実の罪によって、目隠しをされて、細い首をおとなしく差し出したのです。


lg8.jpg


首切り役人の斧が、無残に振り下ろされました。

18歳。

あまりにも短い、儚い人生でした。

lg1.jpg


若く美しい、無念に満ちた亡霊は、いまでもロンドン塔の中をふらふらとさまようそうです・・・。




coucou♪(・ω・)ノ!(282)  ご自由に(15)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

coucou♪(・ω・)ノ 282

ご自由に15

arles

ごり押しされちゃって処刑されるのってかわいそうですね。
by arles (2011-08-04 04:35) 

旅爺さん

ヨーロッパの王室には秘話がいろいろありますね。
by 旅爺さん (2011-08-04 06:24) 

乙女座の詩人

おはようございます。
ロンドンに行った頃、ロンドン塔の亡霊について聞いたことありました。
正体はこの女性だったんですね。
そこまでは知りませんでした。
by 乙女座の詩人 (2011-08-04 07:51) 

rtfk

こういうストーリーの幽霊に出会ったら
お気の毒ですと言って差し上げたい。。。
怖く感じないでしょうね。。。
by rtfk (2011-08-04 08:08) 

くまら

思わず読み行ってしまいました。
今昔変われども、人の心は変わらんもんですね
by くまら (2011-08-04 08:29) 

よしくん

おはようございます。
9日間だけとは今では考えられないですね・・・
by よしくん (2011-08-04 08:37) 

水無月

この方のことは初めて知りました。
時代とはいえ、やりきれないものを感じますね。
by 水無月 (2011-08-04 08:57) 

niki

arles様>>>>ホントですよね。災難としか言えないです>_<

旅爺さん様>>>>そうですね、ネタの宝庫です( ´艸`)

乙女座の詩人様>>>>ロンドン塔には何人かの有名な幽霊がいますよ。彼女はその中の一人です。アン・ブーリン、ソールズベリ伯爵夫人なども有名です^^

rtfk様>>>>未練が残って幽霊になるのも理解できますね。

くまら様>>>>陰謀に巻き込まれたかわいそうな少女でしょう?

よしくん様>>>>自分で望んだことではないとはいえ、気の毒ですよね。
9日間だけですが、英国王室では正式に英国王の一人として数えられるそうです。

水無月様>>>>かわいそうですね。処刑時の絵画が多く残るということは、国民のみなさんもとても関心の高い歴史物語の一部なのでしょうね。

by niki (2011-08-04 10:36) 

enpoko

おじゃまいたします。
私の母は、大昔、家族でロンドン塔に行った際に、
塔内で、白い亡霊のようなものがうずくまっているのを
を見たと言っていますが、真偽のほどは定かでありません。
幼少だった私は何も知らず、拷問に使われた器具などに
触れようとしたり、興味津々だったとか。
by enpoko (2011-08-04 12:46) 

ぴーすけ君

気の毒な話ですね。
by ぴーすけ君 (2011-08-04 18:11) 

響(きょう)

「ジョジョの奇妙な冒険」という漫画で、
このお話しが引用されていたので、
思い出しました。(^^)
 
by 響(きょう) (2011-08-04 18:59) 

aura-aura

はじめましてniki さん^^
ご訪問、nice!ありがとうございました。
by aura-aura (2011-08-04 22:53) 

Hirosuke

中世ヨーロッパ貴族は、結婚を醜い権力争いに利用してばかり。

待っているのは、残酷な死だけ。

なのにキリスト教信者。

理解できません。

by Hirosuke (2012-08-01 05:58) 

Ronnie

昼間のロンドン塔は人も多いし、少々コワイお話を聞いても全く平気!
でもでももし夜に一人で閉じ込められたらたぶん泣きわめきます(^^;)
by Ronnie (2012-08-01 23:35) 

小雪

彼女の存在を初めて知りました。切ないですね。深く知りたいと思いました。
by 小雪 (2014-01-30 09:54) 

ご自由にを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
a.HesiodListening to the Inspiration of the Muse.Edmond Aman-Jean.small.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。