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ステュアート・スキャンダル・・・おしゃれ番長の最期 [l'histoires de femmes]

mary2.jpg

メアリー・ステュアートは、スコットランド王ジェームズ5世とフランス貴族の母との間に生まれました。
生まれてすぐに父王が死去したため、生後6日でスコットランド女王になりました。

しかし隣国イングランドのヘンリー8世は、自分の息子(王太子)とメアリーを結婚させることでスコットランド支配をもくろんでいました(イングランド皇太子はメアリーのイトコにあたります)。

これによってメアリーの母は、イングランドに国を取られないように、彼女が6歳の時、メアリーをフランス王家に託したのです。

この6歳から16歳までのフランスでの生活が、メアリーにとっては一番幸せで輝かしい日々だったのかもしれません。
mary.FrancoisII1.jpgフランソワ2世

フランス国王アンリ2世は彼女を娘のようにかわいがってくれ、1歳年下の王太子フランソワとおままごとのような結婚をさせました。そしてアンリ2世がなくなり、王太子が王位につきます。
メアリーは16歳。

スコットランド女王にして、フランス王妃。

ヨーロッパ1の高貴な身分の女性になりました。
義母カトリーヌ・ド・メディチからは、大きな7粒のパールをもらいました。

しかしその1年後、夫が早世してしまいました。
中耳炎を放っておいたために脳炎を引き起こしたのです。
17歳にして未亡人になり、スコットランドへ帰ります。
しかし実際の政治は異母兄に任せ、メアリーはフランス式の生活を続け、毎日を享楽的に過ごしました。

やがて、従弟のダーンリ卿と愛し合うようになり、周囲の反対を押し切って(特にヘンリー8世亡き後のイングランド女王になっていた従姉のエリザベス1世の)、再婚します。
はじめは愛し合っていたものの、ダーンリの軽薄な性格が鼻についてきたメアリーは、次々と浮気を始めます。そのたびにダーンリは、浮気相手を殺してしまうのです。
mary.bothwell2.jpgボスウェル伯

24歳の時、30歳のボスウェル伯と出会い、本気の恋に落ちました。
そして彼女は、夫を殺害する計画を実行に移します。

mary.bothwell1.jpgメアリーの右にボスウェル、左の赤い服がダーンリ卿。

爆破した屋敷の中から、ダーンリの絞殺死体が発見されました。
サスペンスドラマさながらの大スキャンダルです!!
そのあとすぐに、彼女はボスウェルと結婚するのです。

この再再婚から2か月後、民衆はこの愚かな行為に憤慨し、彼女を王の座から引きずり下ろしました。
メアリーは隣国イングランドの従姉エリザベスの元に亡命します。

日ごろから「お姉さま」「妹よ」と呼び合う仲だったエリザベスを頼ったのです。
しかしエリザベスはメアリーを牢に入れてしまいました。
marystuart.jpg
そして19年間監禁された挙句、エリザベス暗殺計画謀略の罪で斬首の刑に処されました。

これは囚われの身でありながらも、メアリーがエリザベスよりも自分の血統が正統的であることを主張したためです(エリザベスの母はヘンリー8世に斬首されたアン・ブーリンなので、エリザベスは婚外子になると主張したのです)。
marystuartdeathsentence1808.jpg

処刑に際して、ヨーロッパ1のベストドレッサーとしてのプライドをかけ、死に装束を自ら厳選したと言います。
テンの毛皮のついた黒いビロードのドレス、白いヴェール。
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死刑の際に取り乱す人も多いでしょうが、メアリーは泣きもわめきもせず、極めて冷静だったそうです。
さすが、フランス王妃にしてスコットランド女王です。

marystuart-death.jpg

処刑台に上がりするりと黒いドレスを脱ぐと、真っ赤なペチコートとコルセット。
人々の間にざわめきが起きました。おしゃれ番長の最期の晴れ舞台・・・。

marystuart.sentenceofdeath.jpg映画『Elizabeth;The GoldenAge』より、サマンサ・モートンが演じるメアリーの処刑のシーン。

赤い手袋をはめて全身真っ赤な格好になると、彼女は静かに祈りをささげ、その44年の生涯を閉じました。
ちなみに、彼女はかつらをかぶっていて、死刑執行人は気づかずに落ちた頭を持ち上げたので(普通は髪の毛をつかむようです)、かつらがとれて頭がごろんと落ちたそうです>_<。。。

mary6.jpg
前半生にすべての運を使い果たしてしまったような、数奇な人生でしたね。
ちなみに、姑からもらった真珠は、刑執行後、エリザベスが没収してしまいましたとさ。




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ご自由に16

1969kana

肖像画で見る限りは、清楚な感じですが、恋愛に関しては奔放な女性だったようですね。
エリザベス・ゴールデンエイジの映画、少し前にDVDで見ましたがとても面白かったです(^^
by 1969kana (2011-06-28 03:26) 

今造ROWINGTEAM

わー!!お話にすごく引き込まれてしまいました><
これからも読ませていただきます((*´U`)ノ
by 今造ROWINGTEAM (2011-06-28 09:47) 

kawasemi

niceありがとうございます。

by kawasemi (2011-06-28 10:44) 

sig

この時代の権謀術数のお話は興味があり、エリザベス関係の映画も大抵観ていますが、人間関係が複雑怪奇ですね。
by sig (2011-06-28 10:44) 

niki

1969kana様・・・・幼いころから肉親の愛を知らずに外国で育ったので、さみしかったのかもしれませんね。スコットランドに戻ってからも、フランス式の生活をやめなかったそうですし、祖国なのに違和感があったかもしれないですし。

今造ROWINGTEAM様・・・・いつもありがとうございます^^
by niki (2011-06-28 10:45) 

rtfk

DVDで観たくなりました(^m^)
by rtfk (2011-06-28 11:16) 

くまら

しみじみと呼んでしまいました。
面白かったです。
by くまら (2011-06-28 11:56) 

ぴーすけ君

数奇な運命ですよね。
by ぴーすけ君 (2011-06-28 12:33) 

ukbeat

物語がよく分かりますね。
すばらしい才能です。
by ukbeat (2011-06-28 12:58) 

arles

面白かったです。

by arles (2011-06-28 15:35) 

しずく

イギリスにどういうわけか心惹かれる私です。
『ブーリン家の姉妹』も良い映画でした。
この映画も見てみたいです^^
by しずく (2011-06-28 16:31) 

ナツパパ

この時代の人々は生き方が苛烈ですね。
そうしている分、現代人より何倍も充実した人生であるのかも知れませんが。
記事の登場人物中では、エリザベス1世が、一枚上手だったようですね。
by ナツパパ (2011-06-28 20:49) 

月夜空

こんばんわ^^
気の利いたコメできないんですが、いつも読み入ってしまいます♪
とても長い物語を読みきったような充実感でいっぱいなります。
by 月夜空 (2011-06-28 21:07) 

pon

不幸な生涯ですね。
昔はこういうのが普通の時代だったのですね。
勉強になりましたよ。

by pon (2011-06-28 23:42) 

さうざんバー

相変わらず、ドロドロですねぇ~(^^;) やっぱり歴史って、女性が作ってますね!(^^)v
by さうざんバー (2012-09-25 18:59) 

sadafusa

この人の死に方を思い出すと、連鎖して思い出すのが、
キャサリン・ハワード。

死ぬ前の日に、斬首される台をもってきてもらって
どうやってひざまずいて頸を置けばエレガントかなと思って
いろいろと練習していたとか・・・・。

もう、スゴスギ。


以前、刺繍の本をみていたら、メアリ・スチュアートが刺したといわれている手袋が載っていて、それはそれは丹念に仕上げられた素晴らしい逸品でした。

やっぱりおしゃれ命だったんでしょうね。
by sadafusa (2012-09-26 00:07) 

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