美しいひと

彼女は舞台女優、銀幕スターとして、世界中の人々を魅了しました。

それまでの女優たちのように、セクシーでも妖艶でもありません。
大人なのか少女なのかわからない、アンビバレントな魅力。
でも、一度彼女を見たら誰でも目が離せなくなります。

彼女のような女優は、後にも先にも存在しないのです。

父はイギリス人の投機家、母はバロネス（男爵の女性版）の称号を持つ
オランダ人。ベルギーのブリュッセルに生まれました。
６歳の時両親が離婚、10歳で祖父のいるオランダへ。

第二次世界大戦がはじまり、叔父たちが目の前で射殺されます。
過度の栄養失調にかかり、命の危機で入院するまでに。
16歳のころは負傷者の介護を務めていました。

ヨーロッパ各地で暮らしたために数か国語に堪能になりました。
戦後はイギリスへ移住して、売れない女優時代を過ごします。
あるときにアメリカの作家に見出され、ブロードウェイへ。
そこからの輝かしい経歴は、ご存知でしょう?


30歳でメル・ファーラーとのあいだに長男を出産します。
しかしあえなく離婚。
40歳の時、イタリア人の児童心理学者との間に二男を産みました。
これも離婚。


子育てのために女優業を休業して、1989年の『Always』で、引退しました。
引退の年に、ユニセフの親善大使に任命され、貧困に苦しむ子供たちのために
アフリカ、アジア各地を飛び回りました。


そして息子に会いにアメリカを訪れた時、大腸がんが発見されます。
亡くなる前まで、彼女は病魔と闘いながら、恵まれない子供たちのために
尽力し続けました。そして1993年、スイスの自宅で息を引き取りました。


オードリーの父親は、ファシストでした。そのことが彼女を悲しませました。
お父さん子だった彼女にとって、家族を捨てた父は、ずっと心の傷だったかもしれません。
ファシズムは、多くの人々を不幸に陥れました。父もまた、政治犯として
投獄されていたことがありました。

二人の息子の母親になったことも、42歳でユニセフのドキュメンタリーに
出演したことも、53歳から55歳まで、母の介護を経験したことも、すべてが
要因になったのでしょう。


飢えや病気、貧困に苦しむ子供たちを救いたい。
体調不良を押してでも、彼女は発展途上国を積極的に回って活動し続けました。
同い年のアンネ・フランクの不幸な人生を聞いたことも、関係あったかもしれません。


年を取ってからの彼女は、こう言っています。
「確かに、私の顔にはしわが増えました。ただそれは、私が多くの愛を知ったという
事なのです。だから私は、今の私の顔が好きです」

人間は、生活や考え方や生き方によって顔つきが変わります。
彼女には確かにしわは増えましたが、慈愛に満ちて優しげです。にじみ出る優しさと気品は、若いころから変わりません。良心に満ちた、優しい美しさ。


彼女は真に美しいひと。
心の美しい人です。
世界中に愛されたぶん、彼女は世界を愛しました。
スイスでの臨終の言葉は、「ごめんなさい。もう行くわ」でした。

エリザベス・テーラーは悼辞でこういいました。
「世界で最も美しい天使は、神に召されました」

死の翌年、彼女の息子によってオードリー・ヘプバーン児童基金が設立されました。
その遺志は、今でも多くの人たちに受け継がれています。

もしも彼女が生きていたとしたら、東北の子供たちに対しても、
何かアクションを起こしたことでしょうね、と、ふと思いました。
デンマークの皇太子のように。

ユニセフの「オードリーの言葉」のサイトです。
http://www.unicef.or.jp/special/index.html

ご自由に20

私にとっても永遠の憧れです。

by へろーめ (2011-06-16 00:33) 

慈善活動とはお金だけではなく心なのですね。
当たり前とも言われそうですが。
by rtfk (2011-06-16 03:54) 

一昨年 読売新聞の写真展で賞を撮った副賞に
オードリーの写真展のチケットを頂き
近所だったので観に行きましたが
それはそれは美しい人でした
エリザベス・テーラーでなくても世界一と言うと思います
写真自体は専属カメラマンというわりに ド下手クソでしたが
下手な写真でしかもモノクロなのに まわりの風景をかき消すほど
存在感のある美しい人だと思いました
晩年の活動も存じ上げていますが
あの美しさは やはり内面から出ているんでしょうね
本人が言うようにシワひとつひとつからにじみ出ていると感じました
少なくとも20世紀一の美女だと俺は思ってます（＾＾）

by (。・_・。)２ｋ (2011-06-16 04:09) 

「ローマの休日」ＤＶＤ見ました。美しい女性ですね。
by Gokigensan-Pictures (2011-06-16 05:47) 

おはようございます。随分見ました此の方の映画、一番はやっぱり「ローマの休日」ですね！！
by シラネアオイ (2011-06-16 05:55) 

この人は大好きです。
記事に泣けました。
by リュカ (2011-06-16 06:54) 

本当に美しい人でした。
by 土芽 (2011-06-16 07:11) 

容姿では無く生き様にこそ美が宿るのでしょうね。
生き様が輝いていれば容姿も美しく感じます。
自分のように食欲のままにブヨブヨと生きていてはいけませんね。

by punchiti (2011-06-16 07:37) 

ヘップバーンの映画何度も見ました。大人のような、少女のようなその美しさに惹きつけられました。老いてもその美しさは不変ですね！
by エデンの東 (2011-06-16 11:49) 

オードリーは春日より若林の方が面白いv(^皿^♪)
by emuzu (2011-06-16 12:18) 

このように、素敵にトシをとりたいですね。
by cjlewis (2011-06-16 12:20) 

多くの女優さんは，年をとっても若く美しくあることを選びますが，
オードリーはそうではなかった。
自分がエネルギーを注ぐべきことを理解していたからなのでしょうね。
by 【みなと】 (2011-06-16 13:02) 

こんにちは。
彼女の映画全盛時代をリアルタイムで見てきたものとして、彼女の業績と社会的功績は本当にすばらしいものだと思います。
「ローマの休日」は大好きな作品ですが、上のスペイン階段のシーンで間違いがあるんです。ヒントは背景の時計。DVDをお持ちでしたら、じっくりとどうぞ・・・。
by sig (2011-06-16 14:29) 

女優さんということを抜かしても、彼女の表情はどれも素晴らしいですね。
とくに、引退した後の表情は、立派、の一言です。
内面が顔つきに表れる．．．なんて素敵なことでしょう。
by ナツパパ (2011-06-16 20:04) 

こんばんは (^^)

THE MOONから、ここまで読破しました！

オードリー・ヘップバーンは、何年か前に「ローマの休日」からの
シーンをCMでみて、改めて、魅力的な人だなと思いました。
（なんのCMかは、覚えてませんが・・・^^;）

晩年の活動も、うっすらと記憶に残っていましたが、これも改めて
崇高な人生だったんだと、再認識しました。

by やまだ (2011-06-16 21:13) 

年をとっても美しい人ですよね

by なまけもの (2011-06-16 22:26) 

とてもキュートで素敵な人だとは思っていましたが
心も素敵な人だったんですね♪　
知ることができて良かったです♪
by mipoko (2011-06-16 22:37) 

歳をとっても、素敵な女性だと思いますね！
by まぁくん (2011-06-16 22:52) 

自分自身というものをしっかりと見つめて生きられた方なんでしょうね。
本当に引き込まれそうな美しさです。
by ラン (2011-06-16 22:53) 

「ローマの休日」見ました。
名作ですね。

by ねじまき鳥 (2011-06-16 23:26)