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稀代のDIVA [l'histoires de femmes]

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女性として、体重が60kgといえば、150cm台ならばちょっとぽっちゃり、160cm台なら標準体重という部類、
170cm台ならば普通か、ちょっとスレンダーな感じでしょうか。

100年に一人の天才歌姫と、世界中から称賛されたソプラノ歌手、マリア・カラスは、移民した薬剤師の
娘として1923年にNYで生まれた、ギリシア系アメリカ人でした。

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幼いころに父が亡くなり、母は彼女を連れてギリシアへ戻ります。
そして娘に、音楽の英才教育を施すのです。

子供らしい、女の子らしい遊びを何もさせてもらえず、ひたすら音楽の日々。
子供には酷な毎日でした。
そして彼女はストレスから食べて、食べて、食べまくり・・・・体重110kgの巨大な娘になりました。
173cmで110kg・・・・そんな彼女が世界をひざまずかせようと思っても、みんな鼻で笑うだけでした。

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でも彼女が23歳の時、メネギーニという実業家が、彼女の才能を見出しました。
彼は4か月で彼女の体重をなんと60kgまでダイエットさせました!!!!
マイナス50kg・・・・・大人一人分!!!

ぜい肉をそぎ落とされた25歳の彼女は、美女に生まれ変わりました。
彼女に魔法をかけた54歳のメネギーニは彼女の夫になり、マネージャーになり、彼女を支援し始めました。

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食事制限のほかに、彼女の有名なダイエット法といえば、サナダムシダイエットです。
サナダムシをわざと体内に入れておくと、太らないという・・・・(屮゜Д゜)屮 アワワ;;;;

最近では、花粉症にならないとかで、サナダムシ治療法なるものが注目されているらしいですが・・・・

彼女にとってのぜい肉は、幼いころの母親からの呪縛の象徴だったのかもしれません。
だから、やせて美しくなることは、イモムシがさなぎから孵化して美しい蝶になったことと同じだったのでしょう。
「試練のない人生は嫌だ」と言ったと言われますが、おそらく、意志の強い女性だったのでしょうね。

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NYのメトロポリタン劇場は、太った彼女をオーディションで落としました。
「いつか必ず、メトロポリタンは私に出演してくれとひざまずくのよ」と言った彼女の言葉が、真実になる日が
来ました。

彼女は、メトロポリタン劇場の依頼をこともなげに断りました。
オペラ歌手のあこがれの頂点と言えるスカラ座から依頼が来た時も、実はほかの歌手の病気の代役だった
ために、気性が激しく誇り高い彼女は断ってしまいました。この気持ち・・・・わからなくもないです。
そしてこの誇り高い毅然とした態度が、のちに彼女をスカラ座の女王にしたのでしょうね。

いくつかの豪邸、ソプラノ歌手として世界の頂点に立ち、ほしいものはほとんどが手に入り、地位も名声も
ほしいまま。そのうえ、誰もが認めるその美貌。ディーヴァとしての格。彼女は夢を現実のものにしました。

転落は、ギリシアの大富豪の気まぐれから始まりました。

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アリストテレス・オナシス。海運王と呼ばれ、天文学的な資産の持ち主。
彼は妻子がいたのにもかかわらず、この世界一の歌姫を手に入れたくなったのです。
そして夫から彼女を奪い、愛人にしたのです。

マリアにしても、幼いころは母親に、そして結婚してからは夫に管理される人生に嫌気がさしたのかも
しれませんね。お金持ちになった彼女にも想像もつかないような豪奢で自堕落な毎日を与えてくれる
オナシスに、彼女も心が傾いたのです。

でも・・・・・ご存知ですよね。オナシスはその後、ケネディ元大統領の未亡人ジャクリーンに興味を示し、
マリアのもとを去ってしまうのです。

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気性の激しい、「タイガー」とあだ名された彼女と、やはり気性の激しいオナシスは合わなかったのだと
言われるようです。

歌姫としての絶頂期には、4年で170回以上の公演をして、18もの主人公を演じきった彼女ですが、
それからはスキャンダルにまみれ、あることないことまで掻き立てられるようになりました。

晩年は犬と暮らす孤独な日々でした。
そして1977年、心臓発作でこの世を去りました。わずか53歳。

若いころの無理なダイエットとか、オナシスとの不摂生で豪奢すぎる生活が原因だとか、さまざまに
言われるようですが・・・・・・パリで寂しく亡くなったのは紛れもない真実です。

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散骨されて、彼女はエーゲ海に眠ります。
稀代の歌姫の、短くも華やかで激しい一生でした。








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お詫び

私のリサーチでカラスの身長が190cmと資料に書いてあったのですが、ご指摘を受けて調べなおしたら
173cmでした。間違ったことを書いてしまってすみませんでした。資料を集める際に、うつしミスしたようです。
朝の8時30分に訂正しましたが、それまで見ていただいた方たちには大変申し訳ありませんでした。



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Kay-akira_Hirota

Wikipediaには、174cmと書いてありますね。このぐらいじゃないでしょうか?でないと舞台で他の男性と釣り合いませんし……
by Kay-akira_Hirota (2012-03-05 00:54) 

akipon

マリア・カラスって190cmもあったんですか!
そりゃデカいなぁ〜(笑)
by akipon (2012-03-05 01:53) 

arles

彼女はかわいそうな人生ですよね。
by arles (2012-03-05 03:44) 

niki

kay-akira_Hirota様>>>>あ、本当ですね。言われて調べたら5フィート8インチでした。173cmですね。私の情報ソースが間違っていたようですみませんでした。訂正させていただきます~!!ありがとうございます!
リサーチ不足でした。
by niki (2012-03-05 08:23) 

風太郎

シューベルトのアベ・マリア(おめでとうマリア)大好き。nikiさんのおかげでマリア・カラスの素敵な歌声を聴くことができて嬉しいです。
by 風太郎 (2012-03-05 09:21) 

koume

サナダムシダイエットってすごいですね。。。
美しい人はすごい努力(?)をするんですね。
by koume (2012-03-05 10:12) 

伊閣蝶

希代のソプラノ歌手であったマリア・カラス。
残された演奏を聴くだけでも、その恐るべき実力と存在感は例えようもないものですが、私はなぜか、歌手の一線を退いた後、ピエロ・パオロ・パゾリーニ監督の求めに応じて出演した「王女メディア」の演技に魅かれます。
なんという美しさだろうかと、今、ビデオを観直しても、そう感じます。

by 伊閣蝶 (2012-03-05 10:23) 

楽しく生きよう

彼女の人生ってなんだったんでしょうか。
映画見たくなりました。
by 楽しく生きよう (2012-03-05 12:26) 

hatumi30331

舞台の人って大きい人多いですよね〜♪
by hatumi30331 (2012-03-05 13:27) 

ナツパパ

50㎏落としてなお、あの声が出た、というのが常人じゃないですねえ。
やはり100年に一度のスターだったんでしょうね。
by ナツパパ (2012-03-05 15:31) 

michaela

サナダムシダイエット…考えただけで(考えたくないですがw)ゾワゾワします…。

それにしてもいつも幅広いジャンルと知識、感服しています。
全部見きれないので、時々遡ったりまとめ読みしたり、楽しませていただいています(^^♪
by michaela (2012-03-05 15:36) 

nana_hyr

サナダムシダイエット・・・うむむむ、入れておきたいっ(´・ω・`)
by nana_hyr (2012-03-05 15:55) 

たいちさん

「サナダムシダイエット」なるものの存在を初めて知りましたね。

by たいちさん (2012-03-05 16:34) 

馬爺

マリアカラスは意外と若くして亡くなったんですね。
53歳これからでしょうに本当に美人薄命ですね。
by 馬爺 (2012-03-05 18:53) 

aya

サナダムシはきついなぁ・・・せめてギョウチュウくらいにしとかないと(>д<;)
マリア・カラスは天才、天才には色んなことが起こるんですね、その才能を
もっと晩年まで活かして欲しかったです。
by aya (2012-03-05 21:21) 

ラン

実に綺麗で気品ある方ですね。試練のない人生は嫌だ、とは私にはとても言えないです…。強く人生を生きた方なのだと感じました。
by ラン (2012-03-05 22:58) 

cafelamama

マリア・カラスはゴージャスという言葉がほんとうに似合う女性だと思います。
ファニー・アルダンの「永遠のマリア・カラス」は、大好きな映画です。
by cafelamama (2012-03-06 18:02) 

センニン

本当に不世出という言葉がふさわしい演奏家の1人ですね。
今人気がある技巧だけの歌手たちも彼女の前に "ひざまず" かなければならないでしょうね。
敬虔な気持がこれほど感じられる演奏(アヴェ・マリア)も少ないのです。
by センニン (2012-03-12 21:00) 

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