土蜘蛛 [なんちゃって博物誌]
源頼光が四天王とともに退治した北野の古塚の土蜘蛛は、体長1.2mほどの巨大なクモでした。
退治されて串刺しにされ、河原にさらしものにされたそうです。
この時に土蜘蛛を斬った頼光の名刀・膝丸は、名を「蜘蛛切」と変えられたそうです。
酒呑童子や茨木童子、蝦夷のように、朝廷に従わなかった人々のことです。
山に住み、「手長足長」とも呼ばれました。
ホントに手足が異様に長かったわけではないですw
歌舞伎では白い糸をぱ~っと広げたりもしますが、そんなわざがあるわけでもありません。
『日本書紀』や各地の『風土記』(地方の歴史書)にも数々登場する、朝廷よりも昔から存在していた
先住土着民族たちのことを、朝廷が卑称したものです。
山に住み、おそらくは鉱山で働きました。
山は異界、朝廷の権力の及ばないところです。
茨城には「国栖(くず)」や「「佐伯」と呼ばれる一族がいたようです。
国栖 → 国にすむ
佐伯 → さわぐ
が、語源のようです。
洞穴に逃げ込んだところ、イバラを押し込められて、火をつけられて焼かれたそうです。
ヒドイ>_<。。
「オオカミの性とフクロウのこころを持つ」と『常陸風土記』には記されています。
日本各地では土着信仰の神とあがめられた土蜘蛛も多いのですが、朝廷に逆らうことは、悪者にされる
ことでもあります。
反逆者にとどまらず、妖怪にまでされてしまったというわけです。
頼光のころ、平安の中期頃までには、そのほとんどが朝廷に制圧されてしまったようです。
土蜘蛛という類いの一族は、白土三平の「カムイ」や「忍者武芸帳」なんかにも出てきますね。鬼とか天狗のように、中世の日本では異形の種族への恐れからか“人でない呼称”がつけられていたようですね。
by 扶侶夢 (2012-01-25 14:16)