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もう一つのホロコースト [なんちゃって博物誌]

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ロマの人々に対する「ポライモス」。

それが、もう一つのホロコーストです。

ホロコーストと言えばナチスのユダヤ人迫害がすぐに浮かびます。
すべてを焼き尽くす、という古代ユダヤ教の生贄を火の中にくべる儀式が語源だそうです。

ヨーロッパ社会においてキリスト教以外の宗教を信仰する民族、特に人が羨ましがるような
生活水準で暮らすユダヤ人は、嫉妬と憎しみから19世紀後半に、最もひどい迫害を受けました。

異質な存在としてなら、ロマもまた同様でした。
定住せずにあちこち移動してその日暮らしの生活を送る彼らは、社会の脅威でした。
ルールに縛られないことは、ルールを守る大多数にとっては煙たい存在になります。

地方による度合いはまちまちですが、ロマは奴隷のように扱われたり、市民よりも高い税金を課されたり、差別されたりと、ひどい扱いを受けてきました。

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20世紀になって「人種」という考え方が現れ、「優秀な」人種とそうでない人種が分化されました。
枢軸国であるドイツ、クロアチア、ハンガリーは、ロマ絶滅作戦に乗り出しました。

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ロマの女性たちは早婚で多産でした。
だからロマ人口を増やさないために、彼女たちに不妊手術を施すというようなことを行っていた国もありました。


定住しないものは国外退去。
公共の場への入場禁止。
耳の写真を載せたIDの絶対携帯義務。
(耳の形で個人を特定するためとか)


国家社会主義労働党、いわゆるヒトラーが率いるナチ党は、反セム主義を掲げてユダヤ人を迫害しましたが、この時にロマもともに劣等人種として迫害の対象にされました。

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あら・・・? ちょっと、おかしいですね。
だって、ロマはもともとはインド北部を起源とする、アーリア人種ですよ?
ナチの好きな、アーリア人種。なのに、迫害されたのです!

ナチのこじつけは、「放浪を続けるうちに劣等人種との混血を繰り返した、生きるのに値しない命」だそうで。
アーリア人との同質性を損なったから、ドイツから追放したかったのですって! ばからしい!


ユダヤ人とともに彼らも収容所で虐殺されました。恐ろしくおぞましい人体実験も施されました。
ナチによって2万人が虐殺されたと言われますが、もっと多いかもしれません。
戦前ヨーロッパには95万人いたロマが、戦後には25万人に減少していたそうですが、流浪の人々なので、定かな数はわからないようです。


アウシュビッツでの壮絶な体験を語る生き残った人々もいますが、本当に非人道的なひどいことをたくさんされたそうです。

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現在のヨーロッパには、120万のロマと、シンティ(別の流派のロマ)がいます。
1971年には第1回国際ロマ会議が開かれ、彼らの旗も決められました。

ロマ出身やロマの血を引く国会議員や芸術家、音楽家、俳優などが多く活躍しています。
「ロマになりたい」と、楽しそうな面だけを見て夢見がちなことを言う、脳内お花畑の人が増えてきたことは、憎み差別する人が増えるよりははるかにマシですが、差別がなくなったわけではありません。

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いまだに、平均寿命は50歳未満。
ユーゴやルーマニアでは30歳くらいだそうです。


各国各地で、まだ偏見による差別や迫害は続いています。
突然、家を襲撃されて燃やされ、破壊されるロマも多いそうです。


襲撃され、家を破壊され、かつての我が家であったがれきの中で呆然とたたずむロマの一家の写真が、忘れられません。そんな写真はピューリッツァ賞にはノミネートされないかもしれないけれど、ずっと心に引っかかり、忘れられません。


嘘つきだ、泥棒だ、詐欺師だとさげすむ前に、考えなければならないこと。
差別する側が、いったいどれだけどんなところが、他よりも「すぐれて」いるのかということ。
さげすむことで、そのような劣等的なステレオタイプを与えることで、彼らを型にはめ、そうならざるを得ない状態にしてはいないか、ということ。

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偏見や侮蔑、貧しさを強いることからは、何も向上するものは生まれません。不毛なだけ。
「同情」も間違っています。それもまだ、上から目線だから。
持てる者が待たざる者に手を差し伸べて、差別をやめて寛容になることが大切です。



何百年も差別され続けてきたから、いきなり差別をなくすのは無理かもしれませんが・・・



偏見の壁を崩して手を差し伸べなければ、21世紀も22世紀も、不毛な差別は続くと思います。



ロマ [なんちゃって博物誌]

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かつてジプシーと呼ばれた放浪民たちは、今ではロマと呼ばれるのが一般的です。
「エジプトのファラオの気高き末裔」を自称する一派から生まれたのがこのジプシーという呼び方のようですが、ヨーロッパでは地方によって呼び方は様々ですし、一概にロマと言ってもいくつものグループに細分化すれば、やはり呼び方が異なってきます。

彼らの言葉はロマニ語。文字を持たなかったため、昔の経緯は文献がありません。


DNAで見ると、彼らのルーツはインド北部にあるそうです。
たぶん、何らかの民族闘争があり、自由を求めてヨーロッパ方面に旅立った人々がロマになったようです。

音楽、踊り、あるいはクマ使いなどの芸能を生業として、あるいは金工、武器職人鍛冶職人として、大陸を気ままに放浪する人々? いいえ、彼らはヨーロッパにおいてけっしてよいとは言えない扱いを受けてきました。




1000年ごろ、インド北部から音楽を生業とした人々が西へ旅立ちました。
彼らはカーストに含まれない、あるいはカースト下層民でドムと呼ばれていました。

どこへ向かったか。
これによって彼らの運命は様々でした。


一番幸運だったのは、ロシアの宮廷に合唱団として雇われたロマたちでしょう。
エカチェリーナの愛人オルロフの兄である伯爵が作った合唱団です。

彼らはロシアの芸能や文化に多大な影響を与えました。
ロマ女性を妻にした貴族も多かったようです。
音楽家や文学者たちが、彼らを題材にした多くの作品を残し、ロシアの民族音楽にも強い影響を与えました。

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彼らは「黄金軍団」と呼ばれるくらいのよい待遇を受けていましたが、のちのロシアに編成される北部地域のロマたちは飢餓と貧困に苦しみ、ひどい生活をしていたようです。


各地の戦争や紛争に巻き込まれながらもあまり語られないのは、彼らが奴隷とされたり、定住民か放浪民か、もしくはキリスト教徒かそうでないかで扱いが違ったり、ずっと差別を受けてきたりしたからなのかもしれません。

人をだまし物を盗み、油断のならない人々、というステレオタイプを植え付けられた彼らは、差別と貧困に苦しんできました。

マリア・テレジアの啓蒙思想によって、定住化が厳しく義務化されたり、各国で同様に定住か国外退去を求める厳しい法律が作られました。

識字率を高めるためにと定住化させて学校に通わせるという政策もなされましたが、彼らが通える学校はごくわずか、教師も一つの学校に一人くらいだったようです。

彼らは自分たち以外の人々をガージェと呼びましたが、ガージェとロマの結婚は禁じられました。
16~17世紀のワラキアヤモルドヴァでは奴隷化されてロビと呼ばれ、まるで商品のように取引されたと言います。




ロビの値段は年齢、性別によって裁判所が決定したそうです。
ロビがロビ以外と結婚すれば、国外追放。
女性奴隷が主人の慰み者になったときは、主人が死ねば自由になりました。
子供たちは両親から引き離されて売買されました。


スイスでは奴隷売買ではありませんが、定住させ教育を受けさせ啓蒙するために、子供を親から取り上げて、キリスト教徒の家庭に養子に出したそうです。

キリスト教は占いを禁じましたが、フランスでは初めは貴族の暇つぶし、のちに庶民にも一般的にロマ女性の占いが広まり、一時ブームを巻き起こしました。

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ヨーロッパから遠く離れた日本人からすると、遠すぎて見えないというか、あまりにも彼らについての情報が少ないから、良く知らない人が多いのが普通ですよね。


差別もいじめも、規模が違うだけです。

ひとは自分と他者を比べることで、優越感や劣等感を感じます。
マジョリティが圧倒的に有利な世の中ですが、自分たちと違う主義や生活習慣を持つ人たちを差別することは、正しいこととは言えないと思います。

もちろん、人は社会的な生き物なので、他者に合わせるということも大切です。
しかし、マイノリティを差別して貶(おとし)めてもよいということではないと思います。

私も海外でアジア人嫌いの人たちから差別を受けたことがあるからこそ、差別される側の気持ちを考えなければいけないなと思うようになりました。

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「こうしたほうがいい、あなたたちのためだ」という親切心から、定住化させようとしてきた人たちもいたのかもしれません。自分たちには理解不能だから、恐ろしさを感じてねじ伏せようとした人たちもいたのかもしれません。


親切心であっても、根拠のない優越感であっても、相手の人権を蹂躙(じゅうりん)するようなことはいけないと思います。

一番罪なことは、無知な思い込みで差別的なことを平気で口にする事だと思います。
無知なまま外部から得た情報をよいことだと思って、差別用語を口にして面白がっている人も多いです。

メディアとか一部の偏った思想とかの人たちが言ったり書いたりしたことをうのみにして、他者を差別することは愚かなことです。

アジアでもそうだし、日本の中でだって、共同体の中でだって、言えることです。
ヘイトスピーチは、恥ずかしいからやめてほしい。

日本に対して同様の行為を行っている人たちも大勢いるけれど、そんな人たちは相手にしてはいけないと思っています。相手にすれば、自分をその人たちのレベルまで貶めることになるからです。



「あいつはダメなやつだ」と決めつけて阻害すれば、その人は行動が制限されてその評価に見合うようにしか行動できなくなります。周囲がその人をダメにしていることもあるのです。

ヨーロッパでの彼らの苦難の歴史を紐解くと、様々なことを考えさせられます。
500年以上も差別され続けているのです。



人を国籍や民族や人種や主義の違いで、偏見や差別を持たないこと。
国や政治家たちの思惑はまったく違うことも多いですが、一般人にとっては差別は何の利益も産まないと思います。(政治家にとってはお金を産むこともあるようですが)

虐殺やひどい差別を恐れ、ロマであることを隠す人たちも多いため、その人口を正確に知ることは難しかったようです。

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今でも差別は続いています。
しかし、逆境のなかでも苦労を重ねて名を成した人たちもたくさんいます。

あるいは、先祖の血を誇りに思い、そのルーツを明らかにしている人たちも多いです。
芸術、芸能分野で有名になった人たちは多いですが、政治家や学者もたくさん出ています。

チャップリンは母方がロマですね。
ラフカディオ・ハーンも、ビル・クリントンも、ルーツがあるようです。

風のように自由気ままに大陸を駆け巡るボヘミアン・・・そんなイメージにあこがれるという人も多いでしょうけれど、次回は彼らのもっとも大きな苦難、もう一つのホロコーストについてお話ししたいと思います。




memento mori, memento vivere [なんちゃって博物誌]

  
わっか わっか バラの花輪

  
ポケットの中には花びらいっぱいいれよ


 
 ハックション! ハックション!

  
みんな死んじゃうよ!



”Ring-a-Ring-o' Roses”という、童謡です。

日本の『かごめかごめ』や『はないちもんめ』のように、童謡にはしばし恐ろしいいわれがあります。
一説ではこの歌も17世紀にロンドンで大流行したペストを歌ったものだそうです。





ペスト。

黒死病ともいわれ、ペスト菌のキャリアのネズミの血を吸うノミが人間に感染させる、中世においては死に至る病でした。古代から見られた疫病でしたが、14世紀のヨーロッパでの流行が有名ではないでしょうか。


最盛期にはヨーロッパの人口の四分の一がペストによって死亡したと言われます。



高熱、赤い斑点模様、幻覚や幻聴が起こり、リンパ腺が腫れあがります。
発病すればほとんどが3か月以内に命を落としました。


バラの花束を手に、ポケットにはバラの花びらをいっぱいに詰め込んで、人々は歩いたそうです。
これだけ聞けばロマンティックな気がしますが・・・バラの香気で周りの死臭をごまかし、ペスト自体をも防ごうとした模様です。


ハクション!はくしゃみですが、音が「灰(アッシュ)」から転じたものだそうです。
最後は”We all fall down"なので、歌いながらしゃがむのかな? 倒れる、転ぶから、なにか死を連想させます。

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昔々、古代ローマにおいては、人々は「メメント・モリ」という言葉を、「カーペ・ディエム」と表裏一体の言葉として認識していたようです。

ラテン語を知らない人でも、この二つは聞いたことがあるかもしれませんね。

「メメント・モリ」=「死を想え」
「カーペ・ディエム」=「いまを生きる」

正反対の言葉のように思えますが・・・
これが中世のヨーロッパでは、天災や疫病の流行により、無常観につながったみたいです。
日本でも鴨長明が大飢饉や天災の続いた様子を、無常観をもって述べていますね。
大飢饉の記述は、高校の古文で勉強しましたが、鬼気迫るレポートになっていますよね。



今を生きよ、人生は永遠ではない。
ほんの瞬く間の儚い生を楽しみなさい。
やがて訪れる永遠の死のために。



そんな感じでしょうか。


そして、オクスフォードの教授にして詩人であった、エドマンド・ブランデンのことば。

memento viere(生きていることを 忘れるなかれ)。

第一次大戦の塹壕の中で、ドイツ軍の砲弾が雨のように降る時に、
脳裏をよぎった言葉だそうです。

さて、話を戻します。

飢饉、大地震、洪水などが続くと、人々は悲壮になります。
くわえてペストの大流行。
この世の終わりか?と。

死は金持ちにも貧乏人にも同様に、平等に訪れます。
どんなにお金持ちであってもいつかは死ぬ。
年齢も性別も関係なく。
でもそれが今日明日なのか、何十年も先なのかは誰にもわからない。

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死への恐怖は、『死の舞踏』という寓話を生み出しました。
身分に関係なく、すべての人が死を恐れて気が狂うほど踊る、というものです。

疫病や戦争のせいで、埋葬が追い付かないほど毎日多くの人々が亡くなりました。
死を想え、と言われても、明日は我が身かと恐れる人々は、葬列や埋葬中に踊り狂ったと言います。



ペストは、空気感染するとも信じられていました。
だから医者や、死者を埋葬するアンダーテイカ―たちは、「防護服」を身につけました。


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蝋でコーティングした布を着て、つばの広い帽子に、くちばしのような突起を持つ仮面、そして目の部分に水晶をはめ込んで、眼球までもプロテクトしたのです。

くちばし状の部分には、薬草を詰めたといいます。
何とも非現実的な恐ろしい姿です。

この姿を見て驚きました。
幼いころ、何度か夢の中に出てきていたからです。
いったい、いつ目にしたのかまったくわからないのに・・・


10代のころ、藤原新也さんの『メメント・モリ』を偶然目にしたのも、もしかしたら偶然ではなかったのかも。
インドのガンジス川の存在のすごさ。
生も死も一緒くたになって、生活があり、人生があり、文化になる。
死は生の一部であり、日々の生活の中で死は淡々と、あっけらかんと処理されていく。

日本人は死を忌み嫌うけれど(これが医学倫理にも関連してきますよね)、
お葬式に笑ったり、楽器を演奏したり歌を歌ったりする文化もあります。

写真が発明されたころは、よく撮られたのは死者の顔だそうです。

死は、身近にあっても生きている人間にはさっぱりわからない。
死の向こう側には何があるのでしょうか? 
死んだら終わりでしょ、と言えばそうだけれど、それはそれまで。

安らかに訪れるか。
苦しみに満ちて訪れるのか。
ゆるやかに? あるいは不本意に突然に訪れるか。
あぁ、まだ悔いが残るのに~!ぷつっ!と訪れるか。


「メメント・モリ」は死がどういうものかを考えろというのではなく、やがて一度だけ訪れるその瞬間までどのように生きるかを考えろ、だと思うのです。だから「カーペ・ディエム」は刹那的に享楽的にだけ生きろという意味ではなくて、短い生をどう生きるかを考えるといいんじゃない? という意味かなと。

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以前、修道僧たちのホネホネをかわいく楽しげに飾ったローマのお寺を紹介しましたが、そういうの、あちこちに結構あるみたいですね。→ こちら




ちなみに、ペストは昔の病気かと思ったら、つい1990年代にも外国で流行したそうです。
日本では19世紀に流行したみたいです。





メメント・モリ

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  • 作者: 藤原 新也
  • 出版社/メーカー: 三五館
  • 発売日: 2008/10/21
  • メディア: 単行本



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  • 作者: 藤原 新也
  • 出版社/メーカー: 情報センター出版局
  • 発売日: 1990/05
  • メディア: 単行本



Les poupées en biscuit [なんちゃって博物誌]

コレクターの方には、私の知識など物足りないと思いますが・・・

ビスクドール。

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この魅力に引き込まれると、大変なことになる・・・と常々用心しています、が、
美しいものはやはりどうしても美しいのです。


19世紀のブルジョワジーのご婦人方の間でもてはやされたのが始まりのようです。
もともとはファッションドールと言って、服を売るための見本のような感じで作られていたので、大人の女性の人形でした。

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それをコレクターでなくとも名前を聞けば知る有名なメーカーが、子供の人形・・・ベベドールを作り始めたようです。

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これには1855年のパリ万博に出品された市松人形の影響がみられるといいます。
あ、ジュモーもパリ万博には出品していました。


ビスクとはビスケットと同じ。「二度焼き」という意味。
1840年代から型に練りこみ焼く手法を取り、1880年代くらいには、液状ポーセリンの流し込みで大量に作られ、ドイツで大量生産され、1920年代には一般人にも手の届く存在になったらしいです。


100年以上たったものがアンティークドール。
ドレスも当時のままだとかなりのお値段がするそうです。

コレクターでなくともその名を知る、ジュモーとブリュ。

ジュモーは品のあるかわいらしさで、特に2代目エミール・ジュモーが有名ですね。

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パリ万博だけでなく、ウィーン万博にも出展されたそうです。
きっとヨーロッパのご婦人やお嬢ちゃんたちの多くを魅了したのでしょうね。

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双璧のもう一方はブリュ。
フアッションドールを作っていた初代が、流行とともにベベドールを作り始めたようです。

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愛らしい表情と美しさ、ジュモーと甲乙つけがたいです。

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で、日本では「作家もの」というものがあるそうで、これはアンティークのレプリカの事なのですって。
レプリカでも十分お美しい。

そしてそして、日本のビスクドールの作家さんたちの作る人形たちも、世界標準の美しさです。
アンティークと違う点は、ぷっくりしもぶくれのほっぺではなく、イマドキの子供の顔ということ。


ribbonさんの黒いドレスもすっっっごく素敵です^^


アンティーク・ドール―永遠のビスク・ドール (別冊太陽)

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  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/06
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Fascinating Dolls from the Musee de la Poupee Paris: Highlights of the Odin Collection

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  • 出版社/メーカー: Reverie Publishing
  • 発売日: 2010/04/09
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古代愛猫大国の女神 [なんちゃって博物誌]

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ネコ、イヌ、クマの祖先はミアキスという小型の獣だったようです。

クマとイヌは同じ祖先としても、ネコも同じだったなんて、なんか不思議ですね。

で、リビアヤマネコとかジャングルヤマネコとかを飼い慣らして、だんだん家ネコ化していったようです。
だから今でもそれらのヤマネコと家ネコの掛け合わせはうまくいくけれど、それ以外の野性のネコ科の動物と家ネコは、掛け合わせても一代で終わるか、あるいは誕生しないみたいです。

大きな瞳は光によって瞳孔が開いたり閉じたり。
小さな顔に小さく鋭いキバ、
しなやかな体に人は魅了され、何とかして手元においてかわいがりたいと思ったようです。


愛猫大国、それは古代エジプト。

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今でも、エジプシャンマウという種類の猫がいますが、おそらく古代に飼われていたネコは、そんな感じだったのでしょうか。

ご存知のようにアフリカですから、下エジプトあたりには、ライオンがたくさん見られます。
そのことからライオンも神格化され、戦いの神シェッカメットや同じく戦いの女神セクメトになりました。

3500年前くらいには、ネズミを捕る能力(というか本能)をかわれ、人の生活の中に入り、家畜化したようです。
シマ縞模様のタビーちゃんは、スカラベの模様に似ているからとよけい神聖視されていたようです。

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それで、あまりライオンのいない上エジプトあたりから、ライオンだった女神がネコになったのですね。
それが、バステト。

バスト、あるいはバステト。

もともとその土地の女神信仰で雌ライオンの姿だったものが、ネコに変わりました。
シストラムとう楽器、あるいはかごや盾を持ち、ネコの頭部をした女神です。

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ファラオの守護者であり家の守護者、ネコが多産出ることから出産や豊穣、性愛をつかさどります。
または人間を悪霊から守るとも言われていたようですね。

神様系図によると、太陽神ラーの妹とか妻とか娘とかに当たるようです。
(古代エジプトのファラオは近親婚は普通なので、ここは明確でなくてもいいのかも?)
殺戮の神、嵐の神で雄ライオンの姿をしたマヘスはバステトの息子だとか。

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ラーの天敵である大蛇アポピスをやっつけるという役目もありました。

ある時、調子に乗った人間たちを懲らしめるために、ラーはバステトを(これは女神セクメトだとも言われています)を、地上に遣わして人間を大虐殺したそうです。

あまりに彼女が残忍で容赦なく殺戮を繰り広げるものなので、ラーはちょっと後悔し、彼女をワインで酔わせておとなしくさせ、殺戮をやめさせたそうです。

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セクメトとバステト。
きっと、起源は同じか、似たようなものです。
一方は下エジプトで雌ライオンであり続け、他方は上エジプトで雌ネコとなったのです。

だからセクメトは「西の淑女」、バステトは「東の淑女」と呼ばれるそうです。

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上記の人間殺戮の伝説のエンディングを裏付けるお祭りがあったようですよ。
バステトをまつる神殿は一番美しい神殿と言われていました。
ナイルのデルタ地域にある、人工のオアシスに囲まれた、白い宮殿。
毎年お祭りが開かれて、着飾った人々が船で神殿まで下っていって楽しむのです。
この祭りの日は一年で最も多くのワインが消費されたと言われています。

彼女を酔わせて殺戮をやめさせた・・・・だから大量のワイン!!

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古代エジプトではネコはペットと言うよりは、ネズミを捕り伝染病から人を守ってくれるありがたい存在、そして宗教的な意味合いの強い存在でした。

ネコを殺すと死刑。
誤って殺してしまうと裁判にかけられ、もしかすると二度と飼ってはいけないと禁止令が出ることも。

飼い猫が死んだら眉を剃り落して喪に服したそうです。



「生類憐みの令」なんて目じゃないかも。

でも、生贄になることもあったので、数は増えすぎることはなかったようです。
生贄にしても死んでしまったにしても、丁寧にミイラにされたので、いまでも数十万のネコのミイラが残されています。私も大英博物館やルーブルで見ました。

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まるでファラオのそれのように丁寧にミイラにされて、ネコ型の棺におさめられています。

そのキャラクター設定上、やがてローマでキリスト教が国教となるまでは、月の女神ディアナと同一視されていきます。ローマも多神教だったから、生き残ることができたようですね。

ネコの歴史って、興味深い話が満載です。

次回は黒猫の秘密や、キリスト教社会でのペットとしてと迫害対象としてのお話などを、ぼちぼちご紹介しますね。



Cynocephaly [なんちゃって博物誌]

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キュノケファロス。


「犬あたま」というラテン語が語源だそうです。


文字通り、犬(またはジャッカル)の頭をした人間のことですが・・・

犬の頭を持つ人間と訊けば、まず思い浮かぶのは古代エジプトのアヌビス神。
冥界の神、魂を運ぶ役目を果たし、ミイラを作るときの監督官でもある・・・と、
「死」のイメージを持っています。

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実際はイヌ科の絶滅してしまった動物がモデルだそうですが、エジプトでは儀式の時に
犬の頭の被り物をしたらしいので、あながち、「犬あたま」の人間が存在しなかったとは
言いきれないかもしれませんね。


犬頭人間に関しては、いろいろな説があります。


*犬に似た顔の猿(ヒヒとかオナガザル)を見た人が、あるいはまた聞きで作られた。

*犬のような状態になる病気を発症した人(狂犬病みたいな?)のこと。

*未開の民族を、侮蔑の意味で表したことば。

*あるいはエジプトのようになにか象徴的な存在



古代のインドあたりには、動物の毛皮を身に着けて、声をまねて狩りをする人たちがいたそうで、それをギリシア人が「犬あたま」として記述したという話もあるみたいです。

西アジアには、なにか民族的な意味のために両耳を切り落として歯を抜いて容貌を変えた、闘犬のような外見の好戦的な人々がいたらしいです。

マルコ・ポーロも犬あたまの人間を見たと書いているらしいですが・・・彼の言葉は「黄金の国じぱんぐ」で、もうすでに眉唾としか思えないです(笑)

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中世においては、犬あたまは人を食べる野蛮な人種とされ、キリストに遭って罪を改めたことで成人になったと言われています。それが聖クリストファー。

古代エジプトはローマに征服されたから、ヨーロッパにアヌビス神のようなイメージが渡ったのも納得できます。
でも中世では「野蛮人」のことを表していたようです。


キュノケファロスの正体、なんだと思います?







Something in common between them [なんちゃって博物誌]

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ワールドカップが始まりますね。

ブラジルは盛り上がっているのでしょうね。
まだスタジアムの屋根が完成していないとニュースで観ましたが、ま、屋根がなくても試合はできるでしょうから、気にすることはないと思います(笑)


ブラジルと言えばシンボルとしてよく登場するのが、コルコバードのキリスト像。
両手を広げ、慈悲深くリオデジャネイロの人々を見下ろしています。

1931年に、ブラジルの独立100周年を記念して造られたそうです。
新世界の七不思議に入るそうです。


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キリストの像としては世界二番目の大きさ。
コルコバードの丘に行くにはマイクロバスとケーブルカーがありますが、マイクロバスは治安が悪くて
誘拐事件も発生しているので、観光客にはケーブルカーがおすすめなんですって。

大都市のシンボルとしては、時に像だったりタワーや大聖堂だったりしますね。
あるいは何か特別な建造物。

像がシンボルと言えば、ほかにも思い浮かびますよね。
そう、NYの自由の女神。

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本名、「世界を明るく照らす自由」。

こちらはアメリカ独立100周年を記念して1886年に造られました。
トーチの炎は純金なんですって。
手に持っているのは聖書だと思い込んでいました、勝手に。あれ、銘板だそうですね。

ちぎられた鎖と足枷を踏みつけ、支配からの解放を表し、
冠の七つの放射線状の突起は七つの海、つまり世界を表す7本あるそうです。

台座にはフランスのフリーメイソンリーからアメリカのフリーメイソンリーに贈ると書いてあります。
パリ万博で頭部だけ展示して、寄付金を集めて作られたそうですよ。

わたし的に「へぇ~」だったのは、もとは灯台として使用されていたということでした。



あら?


なんか、共通点ありますね。



どちらも、国の100周年を記念して造られたという点。

そしてそして、


どちらも、フランスがかかわっている。


自由の女神はドラクロワの絵にヒントを得て、フランス人によって作られたでしょう、
そしてコルコバードのキリスト像は、フランス人の彫刻家によって作られたのです。


高さはちょっと、キリスト像のほうが高いです。
台座を入れると自由の女神かな?


南北アメリカの大都市の2つのアイコン、意外な彼と彼女の共通点ですね。






La bête du Gévaudan [なんちゃって博物誌]

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1764年から67年の間に、フランスのロゼール県ジェヴォーダンに、人食いオオカミが出現しました。
それは「ジェヴォーダンの獣」と呼ばれ、地元の人々を恐怖のどん底に陥れました。


Wikipediaから、その獣の外見を挿入させてもらいます。

「獣はウシと同じ大きさのオオカミに似た生物で、広い胸部をし、長く曲がりくねった尻尾はライオンのような毛皮の房で先端まで覆われていた、と記述されている。そして、小さく真っ直ぐな耳と巨大な犬歯がはみ出ている、グレイハウンド犬のような頭部をしていたという。獣は全身が赤い毛で覆われ、特筆すべきは黒いしまが背中の長さ分あったことだった。」

だそうです。

しかも、直立すれば人間の成人男性よりも大きく、直立して人間を襲うといいます。
10メートルほど飛ぶこともできるとか。


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主に女性と子供が狙われたそうです、家畜よりも人間が標的に選ばれました。
最初は羊飼いの少女、大人の女性、そして幼い少年たち。

頭をかみ砕かれ、心臓や肺を食われた無残な遺体として発見されました。
猛獣は普通、獲物の柔らかいところにかみつきますね。
のど元を背後から狙えば、獲物をしとめる確率が高くなります。

しかし、この獣は頭部を狙ったようです。
頭をかみ砕かれた犠牲者が多く発見されました。

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襲われた少女を牛が助けました。
だからこの獣は牛を嫌う、とされたようです。


この獣のうわさは時の国王ルイ15世の耳にまで届きます。
王はウルフハンターにこの獣の討伐を命じました。
延べ2万人の人々による大規模な山狩り。

結果、体長2m弱の大きなオオカミが仕留められましたが、ジェヴォーダンの殺戮は続きました。
銃で撃ったはずなのに、獣は死なないどころか殺りくを繰り返しました。

その18か月後、ついに地元の猟師が別のオオカミをしとめると、獣の襲撃はなくなったそうです。
この獣の死体を国王に見せようと、彼はヴェルサイユに向かいましたが、夏の暑さのせいで腐敗が早く、結局何の生物なのか判断しかねるひどい状態のまま捨てられてしまったのだそうです。


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ジェヴォーダンの獣の正体は何だったのでしょう?
狼男だったというのが、結構有力な(!)説です。

狼男ね・・・・うーん。
精神異常者のほうが現実的です。
逃げ出して野生化したハイエナ説もあるそうです。

あるいは、本当に何らかの原因があって巨大化したヨーロッパオオカミかもしれません。
でもそうすると、牛などの家畜を無視して人間ばかり襲うというところがちょっと説明に詰まりますね。


日本の文化と西洋の文化を比較する際に出される例です。

日本は島国でありニホンオオカミなどの獣がいましたがあまり大型ではなくて、気候は温暖、森は木の実の恵みを人に与えたので、人々は自然と共存してきた、だから日本の庭は自然を切り取ってきたような「小さな自然」のままの庭であり、人々は木や紙でできた家に住む。

一方、地続きのヨーロッパは深い森に囲まれていて、その森の中には別の種族の人間たちや、比較的大型のクマやオオカミなどの獣も多く潜んでいる、そしてそれらは森を歩けばどこから不意に襲ってくるかわからない。だから人々は村と森との境界線を明確にするべく、頑丈な石で壁を築いた。すなわち、西洋の庭はヒトが自然を征服したことを象徴するような、左右対称とか、刈り込んだ木々で幾何学模様や迷路を作り出すような人工的な庭なのである。


・・・みたいなこと、よく現代文の文化論の読解で出てきませんでした?(笑)

つまり、人々は森を恐れていたために、その恐怖心から、このような獣を生み出したのかもしれません。
ふいにオオカミに出くわせば、それがとてつもなく巨大で獰猛な獣に見えても仕方ないでしょうね。

もしかして麦角でハイになった人たちをオオカミ人間だとしたように、何らかの化学的な根拠があったかもしれませんが、今となっては確かめようがありません。

『ジェヴォーダンの獣』という映画(2001年)がありますが、獣の正体がCGで作られたSF的な獣であったことが残念でした。
(B級映画としてはけっこういい評価を受けているみたいですが・・・)







顔の黄金比と白銀比なんです。 [なんちゃって博物誌]

黄金比。

この世のもので人間が美しいと感じるもの。

1:1.618


これを人間の顔にあてはめますとね、やはり多くの人が美しいなって思う顔になるらしいです。

audry.gif

たとえばオードリー・ヘプバーン。

彼女の顔のゴールデンプロポーションは、1:1.6だそうです。
おおぉぉぉ(  ゚  ω  ゚  ) ! !、完璧に限りなく近い!!

それで、こんなプレートもあります。
美女顔テンプレートと、美男顔テンプレート。

facemenandwomen.jpg

これで自分の顔の比率を図って遊ぶこともできます。
(注:ただのお遊び程度で^^;;)
こんな風に・・・・・↓     ↓     ↓
faceman.gif

でもこれは白人の場合ですって。
黒人やアジア人の比率はちょと違うようです。

日本には古来から「白銀比」なるものが存在します。
それが、  1:1.4142

黄金比よりは少し幅が狭まりますね。「大和比(やまとひ)」ともいうらしいです。

これは五重塔などの建築物、仏像のバランス、生け花の花を生けるバランスに用いられているそうです。
現代で身近な白銀比といえば、A4のコピー用紙ですって!!
あれは美しいのか・・・・と考えてしまいました( ´艸`)

これを顔に応用すると、

「3」のマジックがバランスのカギになるそうです。

まずは横に3分割。

※髪の生え際から眉頭の下
※眉頭の下から鼻の下
※鼻の下からあご先

・・・・これらのバランスが 1:1:1であること。

縦は、

目の横幅を3cmとして、顔の横幅は目の横幅の5倍、つまり15~16cm。

じゃじゃん、美女で試してみましょう~~。
あぁ、こんな顔うらやましい・・・。
(線がまっすぐに引けていないのはご愛嬌です^^;;;
空間認識能力が低いためにまっすぐに引けないのです;;;;)

kk1.jpg

ちゃんとした正面写真ではないのでちょっとだめかもしれませんが;;;

さすが。
ほぼ当てはまります。

顔の横幅を「1」とすると、縦の長さが「1.4142」が完璧だとか。
これをわかりやすくセンチになおすと、(これでは私もよく理解できません^^;;)

顔の横幅が15~16cm、縦幅が22~23.4cmだそうです。

目の幅も3cmを3分割します。

kk2.jpg

これを知っていると、女性はいいことがありますヨ。
横幅が足りない場合には、このバランスに当てはまるように目じりをアイラインで描き足せば、
美女顔に近づけるのです( ´艸`)

そして、黄金比メイク。

icon.jpg

①眉山は黒目の端に来るように描きます。
iconiqちゃんはきれいな顔立ちですが、目幅がちょっと足りないようです。

②このようにアイラインやシャドウ、つけまつげで横幅を出しています。
大体、眉尻が目じりよりもちょっと長いくらいで。

③眉頭は、鼻筋の延長線上から描き始めます。
目頭よりちょっと長いくらい。


これはあくまでも比率ですから・・・

当てはまらなくても魅力的な人はたくさんいますのでご安心を~~~(o→ܫ←o)♫
お暇なときにご自分の顔を図って遊んでみてください。


♪お・ま・け♪

数年前にソウルで見たお茶のCMです。
キムテヒが女の子と小顔対決します。
このお茶を飲めば小顔になるのよ、というのが趣旨なのです( ´艸`)
「また飲みましょ」と最後に言っています^^




12cmって・・・・ほんとうかな?とwww


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これは去年の5月に書いた記事ですが、なぜかなぜか、ここ数日間で毎日たくさんのアクセス数が
あるのです。

画像も毎日数件、コピーされていくのです。

なぜ?

・・・ということで、引っ張り出してきてみましたw


フリーメーソンリー [なんちゃって博物誌]

秘密結社です。
「フリーメーソン」とは会員の呼び方のことです。

a.freemason3.jpg

この結社は起源が明確ではなくて、いくつか有力な話があるのですが、
ここでは一番有力視されている説を取ることにいたしましょう。 

名前からして「自由な石工」なので、中世のギルド起源説です。
ヨーロッパ各地に置いて、石工たちは教会、大聖堂、王宮など、主要な建物の
建築に携わりました。そしてその高度な技術や知識を共有し、仲間同士の連帯感を
確固たるものにするために、石工たちの集まりを作ったとするのです。

a.freemason4.jpg

当時としては、石工は知識と技術を誇る特別なエリート集団だったわけです。

これが16世紀も終わりごろになると、ギルドの衰退によって、石工以外のメンバーも受け付ける
ようになります。 

もちろん、石工としての技術や知識の保持が大切だったために、会の教義などは
外部には秘密でしたが、石工以外の人々、すなわち、同時代のほかの知識人たちを入会させる
ことで、ほかの知識の共有が始まりました。

貴族、王族、政治家、芸術家、哲学者、科学者、etc・・・

a.freemason1.jpg

たとえば、モーツァルトも会員でしたが、『魔笛』の中で教義を多く語りすぎた故に
毒殺されたというのは、結構有名なエピソードです(どうなのでしょうね?)

ベートーベン、スタンダール、コナン・ドイル、ウィンストン・チャーチル、赤十字のアンリ・デュナン。
あ、マッカーサーも。

1717年にイギリスではロンドンにグランド・ロッジが創設されました。
ロッジとは集会所のことで、小さい集会所たちをまとめ上げる総集会所のようなものです。
ここにフリーメーソンリーは、世界平和を目指し、世界政府の樹立を目標とする、
近代メーソンに生まれ変わったようです。
(ちなみに日本のグランド・ロッジは東京タワーの近くだそうです)

a.freemason2.jpg
コンパスは天智、精神を、定規は人智や地を表しています。

ローマのカトリック教会は早くからフリーメーソンリーを嫌って、カトリック信者の中に会員がいたら
破門にするよと宣言を出します。
でもフリーメーソンリーのほうがうわて? ヴァチカンにも会員がたくさんいるのですって。

薔薇十字団だった錬金術師の入会によって、カバラやグノーシスの思想が取り入れられ、
3段階しかなかった階級が33段階くらいに複雑化していきます。
だからどういうことなのか?といいますと、すごいのはここからなのです。

a.freemason0.jpg

私たちが歴史で習った大きな出来事のほとんどは、彼ら会員が多くかかわって起こったと言っても
過言ではないのですよ。

たとえばフランス革命。ルイ16世のイトコであったオルレアン公は会員でした。

a.freemason.duc de Chartres, puis duc d'Orleans.jpgオルレアン公。

屋敷を集会所として会員に提供、暴動を大きくするためにお金をばらまいたとか。

a.freemason.frenchrev.jpg

『百科全書』のディドロとダランベールも会員だし、ほかの会員も協力していました。
ラファイエット、ヴォルテール、ミラボー、ボーマルシェ・・・

アメリカ独立。「ボストン茶会事件」も。初代から歴代大統領のほとんどが会員です。
(ニクソンとケネディは違うらしいですね)
ユダヤ系の大富豪たちもそうらしいです。

a.freemason.civilwar.jpg

クリントンはイルミナティだし。
イルミナティはドイツでできた秘密結社ですが、フリーメーソンリーの会員が多くいたので同じような
組織(より改革的?)でしょうか。

あ、ちなみにアメリカのお札のピラミッドの絵、あれが五芒星を描けるバランスで描かれているというのは、
なるほど、自分の1ドル札を見て納得しましたw
(でも五芒星とか「世界を見渡す目」のデザインはもっと昔から存在しています)
a.freemason7.jpg

ロシア革命。ピョートル大帝は会員でした。でもエカテリーナ2世は絶対王政の危機を案じて、
フリーメーソンリー禁止令を。それからロシアはニコライ2世までずっと禁止にしたにもかかわらず、
かなりの会員が増えていて、ついにレーニンによるロシア革命にいたったのです。ゴルバチョフも会員。

そのほかにも、ペレストロイカ、ベルリンの壁崩壊、EC統合などなど・・・
教科書で習うことのほとんどは、この結社が関係していたようですよ。

a.freemason5.jpg

日本人では西周が第1号会員ですって。

ちなみに、女子は入会できないのでアメリカで女子の会が別に作られたようです。
イースタン・スターというらしいですね。
こちらは5段階の階級があって、それぞれがスミレ、ユリ、バラなどの花で表されているのですって。
フリーメーソンリーの会員の関係者なら入れるそうです。

まぁ、入会したければ、満20歳以上の健康な男子であること、2名の会員の推薦と会員の投票で
決定されればよいそうですが。
表向きの会は慈善活動などをしているようで、Wikiってみたら入会費と年会費を払うようですねぇ。

あ、健康なだけではなく、なにか特別な知識や技術も必要のようです。
そして最大のポイントは・・・

私利私欲のために大金を得たいとか、そのための人脈が欲しいとか考えてはいけないのです。
あくまでも世界を変える(よい方向に)が目的の結社ですから。

a.freemason6.jpg入会の儀式。

なにぶん、秘密なのでよくわかっていませんが。
自分が会員であることは公言してもよいそうですが、だれそれも会員だと、ほかの人のことを言っては
いけないとか。

『ダ・ヴィンチ・コード』で入会者が殺到したとWikiに書いてありましたが・・・
そんなミーハーな理由はちょっと違うような・・・^^;;;

陰謀説もあるようですが、何分、知らないだけに外部の人がそう言っているだけかもしれません。
まぁ、世界を平和にしてくれるならばそれでよいです。

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