SSブログ

ねこと異端と豊穣と [なんちゃって博物誌]

medicat7.jpg


紙が発明され、活版印刷機の発明によって本が出回る以前、本=The Bookといえば羊皮紙に手書きで書かれた本=聖書を意味していました。


羊皮紙なので高価。だから教会は大聖堂のような大きなところにしか聖書も置いていなかった・・・ということで、カトリック教会が免罪符などでお金を徴収していても、みんな疑問を持たなかったわけです。


困ったことと言えば、羊皮紙なのでネズミにかじられてしまう被害が多発するということです。
だからこそ、ネコが修道院で飼われるようになったと言われます。

medicat6.jpg



15世紀には新しく興ったプロテスタントをローマ・カトリック教会が異端とみなし、教会の敵は魔女、魔女はネコを使い魔とする・・・ということで、ネコの迫害が始まりました。


ところがところが、プロテスタント側も魔女狩りを始めたのです。
だから中世において誰でも魔女にされて殺されてしまうという恐ろしい事態が起きました。

プロテスタントはネコの頭頂部を修道僧のように剃り、修道士のコスプレをさせて絞首台につるしたそうです。
動物に罪はないのに、ネコもいい迷惑です。

一方でカトリックもネコは魔女の使い魔、悪魔=バフォメットが姿を変えた形(魔女もネコに姿を変えることがあるそうで)として忌み嫌うようになりました。

medicat9.jpg


前にお話ししたように、悪魔は異教徒マホメットをもじったもので、彼がネコ好きということからそんなことになってしまったのかもしれない、という説があるようです。


端麗王が全財産を巻き上げようとテンプル騎士団に言いがかりをつけた時も、ネコに化けた悪魔バフォメットが、騎士団の集会に現れたという証言をでっち上げたのですって。


とくに黒猫ちゃんは魔女の使い魔とされ、嫌われるようになりました。
ケルトの文化では「ケット・シー」というネコの妖怪(精霊ともいいます)がいて、大きな黒猫で、ネコの王様なのだそうです。人間が親切にすれば幸運をもたらし、彼をひどく扱えば人間に災いをもたらすそうです。

そういうところからも、黒猫をあやしのものとみなしたのかもしれないですね。

medicat8_R.JPG



宗教的背景のみでなく、豊穣のシンボルとしてもネコはひどい目に遭いました。

猫はネズミを捕ることから、宗教的には忌み嫌われても、パン屋や粉屋はネコを重宝しました。
船乗りがネコを大切にすることと、理由は同じですね。


ネコは豊穣のシンボル。
ケルト文化では豊穣の女神とともに描かれています。
そこで、「コーン・キャット」という穀物の精霊が生まれました。

ネコの精霊なのですが、豊穣をもたらせてくれるのだそうです。

「ネコを捕まえる」とは、穀物の収穫を意味したそうです。
小麦の穂を「ネコ」と呼んだとか。


で、大事にするのかと思いきや、穀物の収穫時に猫をキレイに着飾らせて、なんと、
殺して豊作を祈願するのですって・・・・

medicat5.jpg



南欧では一番かわいらしいにゃんこを着飾らせて、春のお祭りで燃やすとか、
あるいはヨーロッパ各地において、高い塔の上から投げ殺す、火あぶりにするなど、
かわいそうな儀式がたくさん見られたようです。

今でも塔の上から猫を投げるという儀式はあるものの、本物はかわいそうなのでぬいぐるみか人形を投げるという儀式がどこかに残っているみたいですね。

豊穣を願い人を燃やすウィッカーマン(ハロウィーンの原型)からか? 春を迎えるお祭りなどで、人形やハリボテを燃やすというお祭りも見られますね。

宗教の対立に巻き込まれ、豊穣のシンボルとして生贄にされたせいで、ヨーロッパにおけるにゃんこの数は激減し、そのせいで中世ヨーロッパではネズミの大量発生によるペストが大流行してしまったようです。



まったく、災難でしたね。


魔女狩りもペストも下火になってくると、再びペットとしてもてはやされるようになったようです。
各国の王様や要人たちにも、愛猫家がたくさん現れました。


19世紀になるとファッション・アイコンのヴィクトリア女王がロシアン・ブルーとペルシア猫をペットにしたことからにゃんこブーム(?)が起き、初のキャットショウが開かれたらしいです。そして品種改良が熱心に勧められ、いろいろな種類のにゃんこたちが現れた。。。ということのようですね。


やれやれ。


魔女狩り→ コチラ


サバト→ コチラ


魔女→ コチラ




a.HesiodListening to the Inspiration of the Muse.Edmond Aman-Jean.small.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。