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すべての光と美の女神 [Mythologyのみそ]

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フリッグと混同される女神、フレイヤ。
北欧神話の美の女神、ですが・・・・彼女の持つ役割はあまりにも大きいです。

まずは、豊穣の女神であること。
フレイという兄がいますが、兄妹で豊穣をつかさどります。

兄のフレイは古代ノルド語で「神」、ということは、フレイヤは「女神」でしょうか。
ゲルマン地方ではとくに信仰されたようで、今でもドイツ語の「フラウ=女性」の語源だと言われています。


同じく豊穣のシンボルであるネコが引く戦車(船の場合も)に乗っています。
傍らにはヒルデイスヴィニーという名のイノシシがいますが、これはフレイヤが愛した人間の男性が姿を変えたものだと言われます。イノシシ→家畜化してブタ、も豊穣のシンボルなのでしょう、彼女の聖獣ですって。

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豊穣のイメージからか、繁殖、美、セクシャリティのシンボルでもあります。
恋多き奔放な女神都としての一面もあり、夫との間に二人の娘がいますが、人間の愛人やそのほかもいろいろといるようです。このあたり、アフロディテとイメージが重複します。

恋の悩みを聞いてくれる女神としても崇拝されているとか。

また、金(きん)の女神でもあります。
彼女のアイテムで有名なものはブリーシンガメンという黄金(また琥珀だとも)の首飾り。
この世で最もゴージャスで、唯一無二の首飾り。
これを小人たちに作らせる交換条件として、彼女は4人の小人たちとそれぞれ一夜を共にしたと言います。
欲しいものを手に入れるためには手段を択ばない・・・あっぱれです;;;

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奔放で多情な一方、夫がさらわれたときに世界中を探し回り、流した涙が地に落ちて黄金に変わったという話もあるようですね。自身も黄金を生産するから、金の女神でもあるのか、あるいは金→金星→金曜日のイメージからでしょうか?


鷹の羽でできたマントも持っています。
これを纏うと彼女は鷹に変身できるのです。

そして、「セイズ」という魔術の使い手でもあります。
どんな魔術なのかははっきりしないようですが、世界的に見ても女性が呪術を行う→巫女のシャーマニズムに通じるのかもしれないですね。セイズは人を操ることのできる魔術で、主に女性が用いると言います。

フレイヤはセイズを主神オーディーンに伝授したこともありますが、これを用いたオーディンが、ほかの神にそんな女の魔法を、とバカにされたことがあるみたいです(笑)



そしてそして、死や戦争も司ります。
戦場にて戦死した男たちの魂は戦場の乙女・ヴァルキューレたちがフレイヤの神殿に連れていきます。
大広間に集められた魂の中から、勇敢で栄光に値する魂を選抜して死者の楽園・ヴァルハラに送るのがフレイヤです。(直行でヴァルハラへ行ける魂もあるみたいですけど)

たぶんここではフレイヤは戦場の乙女たちの元締めみたいな感じでしょうか?
美の女神が死の女神。
まさに女。

彼女は女性性の象徴なのでしょう。

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私見ですが、死者と結びついたのは、彼女にセイズ→巫女的な要素があり、ヨーロッパでは昔から各地で豊穣を願うための人間の生贄が捧げられてきたことを考えると、不思議はないのかもしれないと思います。

最近、泥炭層から形状のはっきりしたヒトの化石がたくさん発見され、それらが豊穣を願い神(=自然)にささげられた生贄だとすれば、きっと何らかの儀式があり、その儀式をつかさどる役割の人がいたのかもしれません。

それが巫女だとしても不自然ではないかも。きっと研究がすすめば解明されるでしょうが、あくまでもこれは素人意見なので真に受けないでくださいね(笑)







Walküre [なんちゃって博物誌]

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北欧の神話では、世界はユグドラシルという「世界樹」に支えられて存在すると考えられています。

最上界は神々の世界が三つ。
二番目の界には人間の世界、ミズガルズと、巨人の氷の世界と邪悪な黒小人の世界。
三番目には冥界、霜の国、炎の国。

三界にそれぞれ三つの世界・・・意味深ですね。

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北欧神話では、神々も不死身ではないのです。
なんと神々の戦いの末に世界が終わりをつげ、そこから人間が生まれるのです。

そして戦士であること、戦士として勇敢な死を遂げることが重要視されていたようです。
今回はその時に重要な役目を果たすヴァルキューレについてです。

人間は死ぬと天上界にあがるかもしくは冥界へと落ちるのです。
戦場で勇敢に戦って死を遂げた戦士の魂は、ヴァルキューレたちによって選別されて、選ばれたものだけが天上界へと導かれます。

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初めヴァルキューレは戦場で宴を繰り広げる悪霊でした。黒い羽根を持つと言われることから、カラスを意味する言葉で呼ばれることもあるようです。

しかしのちに時代が下ると、白い翼を持つ美女として浸透したようです。
複数存在するヴァルキューレたちは、勇敢に戦死した戦士たちの魂を救い上げて、天上のアースガルズへと連れていきます。

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ここには、アース族の最高神であるオーディーンの宮殿、ヴァルハラがあり、選ばれた戦死者たちはここに迎えられるか、あるいは美の女神フレイヤの宮殿に迎え入れられます。

ヴァルキューレはヴァルハラでは戦士たちを歓待する役目を仰せつかった、オーディーンの館の侍女たちでもあります。

戦士たちは朝から晩まで戦いの訓練に精を出し、オーディーンの敵対する巨人族との最終戦争に備えます。そして戦いの訓練以外では、ヴァルキューレたちとたわむれて、美酒に酔うことを許されています。


あら?


そうです。


天上界に行けるのは、勇敢に戦死した者たちのみ。
それ以外の人たちはすべて死の女神ヘルの冥界、ニヴルヘイムへと送られます。
勇敢に戦死したもの以外はすべて、ここに行くのです。
で、女子もここなのね。o(´^`)o


・・・それで、話を戻しますね。


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ヴァルキューレは美しい乙女とされるようになり、その姿は羽飾りのついたヘルメットをかぶり、輝く鎧に身を包み、天馬にまたがって戦場を駆け巡るとされました。


一番有名なヴァルキューレはオーディーンの娘の一人、ブリュンヒルデ。
死ぬ運命のものを助けたために、オーディーンによって天上界を追放されます。

この名前が使われた創作が、ワーグナーのオペラ。
そう、あれは神話から名前を使った創作ストーリーなのですって。

ヴェルキューレたちは機織りもしますが、なんと人間の死体を「織る」そうです。
出来上がった死体の織物は、次の戦の勝敗を決めるのだとか。


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美の女神フレイヤは、ヴァルキューレたちを総べる存在であると言われます。
美と死。

奥が深いですね。


ちなみに、戦場を駆けるヴァルキューレたちの輝ける鎧が、オーロラとなったのだとも言われるようです。




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