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La belle et la bête [Movies 2 C]

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『美女と野獣』見てきました。
たぶん・・・ディズニーのアニメ版が好きとか、ハリウッドの商業映画がお好きな方とかには
「つまらない」と言われてしまうかもしれません。でも、私はこの映画が気に入りました。

11月から公開されているこの映画。


何よりうれしいのは、


フランス語で、本場の物語であるということ。
字幕に頼らなければ、素敵なセリフがたくさん出てくることに気づきます。

台詞だけではなく、お城も衣装も美しい。
時代考証は混ぜ混ぜで時代特定できませんが、一応、ナポレオン1世の時代だそうです。



18世紀半ばにまとめられ、フランス民話にとどまらず世界中の誰もが知っている物語。
大商人の3人の息子と3人の娘。末娘のベルの物語。


破産した父が末娘のベルのために、迷い込んだ森の廃城で摘み取った一輪のバラ。
一番大切なものを盗んだと、野獣がベルの父にとびかかる。

一輪のバラの代償として命を要求する野獣。
父の代わりにと、末娘のベルが自分の命を差し出すために、野獣のもとへ向かいます。


末の兄一人を除き、2人の兄と2人の姉はワガママ放題、それぞれに自己中のこまったちゃん。
ベル一人がいい子ちゃんなのは、自分を産んだせいで母親が亡くなったから。
彼女はそのことを自分の罪のようにずっと心の重荷にしています。ほかの兄姉にも負い目があるのです。

だから、父の代わりに命を差し出すことにしたのかも。
なぜ野獣を好きになるかは、自分に陰があるから同じような陰の存在に惹かれるからなのかも。

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この舞台となるお城、いろいろな国のいろいろなスタイルまぜまぜのお城ですが、
美しいです。

廃城だから枯れた植物や枯葉に埋もれているのに、ひたすらに美しい。
月の光の下の回廊も部屋もすべて美しいのです。

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呪いにかけられたワンちゃんたちもなんかかわいいです。
ビーグル犬って、ローマ時代から存在する犬種らしいです。


そして衣装とアクセサリーが美しいです。
これまた時代は関係ないですが、21世紀だからこその新しいスタイルが
美しい背景と相まって、そのこだわりのこまやかなつくりが本当に美しいです。


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折り紙からインスパイアされたドレスなのですって。
一番目のアイヴォリィのドレス。繊細なレースと金糸のメッシュ、そしてゴージャスな花のチョーカー。
花の冠は宝石をちりばめてあります。


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ブルーのドレスもグリーンのドレスも、そして赤サンゴのドレスも素敵。
そして、寝間着の白のドレスがこれまたすてき。

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なぜ野獣が野獣になってしまったのかのエピソードが盛り込まれていますが、それは3世紀前ほどにさかのぼるらしく、そうすると野獣が人間だったころの舞台は中世、のようです。

野獣はヴァンサン・カッセル。
野獣になる前の彼は本当にぴったりの役、という感じですが、なんていうか、「王子」って設定にちょっと違和感。だって彼もう既に、立派な王様の風格なのですよ(笑)
たしかに、素晴らしい俳優さんですが、王子にしてはちょっと年が・・・

野獣=セクシーなイメージなので、キャスティングしたらしいですが。
そうならば「王子」ではなく、「王」にすればよかったのに。

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ベルはレア・セドゥ。童顔だから10歳くらい若く見えます。「美女」というよりかわいい感じ。
すきっ歯なのです。野獣には結構キツいことも平気で言ってしまいます。
ドレスで走ったり水に落ちたりするのは大変だったことでしょう。
薄氷の湖を逃げるシーンも美しかったです。


残念だった点は、

①ベルの着換えはどうしているのかなという点。
 あれだけの衣装や髪形は誰かに手伝ったもらえないと一人じゃ無理ですね。
 せめて召使は一人はキャスティングすればよかったのに?

②雪が無くなった廃城とその領地の景色が、なんか東南アジアのジャングルみたいに見えてしまったこと。
 ちょっと熱帯雨林的な雰囲気が感じられたので、ここはどこ??と違和感。
(ヨーロッパ人の理想郷があんな感じなのでしょうか?)

③野獣のCG。
 どうして、ライオンみたいな野獣? 
 たぶん物語の中では野獣は男性性や暴力性、人間の内面の醜さのシンボルなのでしょう、だったらライオンぽい感じではなく、もっとわけのわからないもっと恐ろしげな野獣をオリジナルで作り上げればいいのにな、と思いました。

このCGはかなりカッセルが大変だったようですが、ずっと全編通して「なぜライオン?なぜ?」という疑問がぐるぐるしてしまいました。

昔は狼男みたいな野獣もあったみたいですが、よく描かれるのは「ライオンぽい」かんじ。
『ジェヴォーダンの獣』でも思ったけれど、ケダモノのCGは不完全燃焼の物足りなさが残ります。ここはもっと、イマジネーションを働かせてほしいです。

ヨーロッパに生息する野獣と言えば、クマ、イノシシ、ヤマネコ、オオカミなど?
でもここはやはり、新しいイメージを作り上げてほしかったです。


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自然と人が境界を超えて生きることは、ヨーロッパ人には神の領域に踏み込むということと同じ意味なのかもしれません。私たち日本人は自然と共存するのがおはこですけれどね。


ベルが野獣の城ににたどり着くには、2度ほど、森の木々に阻まれてあちこちケガをします。
真実の愛にたどり着くための通過儀礼のようなものでしょう。純粋なだけじゃだめで、傷つくことも必要というような。

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それから、ベルの兄や姉たちは容姿ではなく、心が醜い。
野獣は容姿は醜いが心は醜くはない。


人の心の美しさは外見ではわからない、外見の醜さと心の醜さは別のものなのだ、ということを18世紀のオリジナルの物語では教訓にしているのかな、と思っていましたが、それはこの映画でも現れています。


多くの、心が醜い人たちが登場して虚栄心、残忍さ、強欲、贅沢、驕慢、ウソなどが、愛する人を失うきっかけになって自分を不幸にすると言っているように思いました。


野獣が野獣になったのも、自業自得だったのです。なんかギリシア神話を思わせるストーリーでした。
人間の内側には誰しも、野獣が潜んでいて、それが身を亡ぼすきっかけになってしまうこともあります。


ストーリーが進むと見ているうちに「なるほどねー」と思うポイントがいくつか出てきます。
森の精もとても美しい。なぜバラが野獣の一番大切なものなのかもわかります。

ハッピーエンドがその後どのように展開しているか、そこも新鮮でした。

これから見に行こうという方たちのためにすべては明かさないことにしましょう。

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もう一度言いますね。
ハリウッド映画のような、何も考えずに見るだけですべてが明解にわかる映画がお好きな方は、つまらないというと思います。←実際、知り合いが文句を言っていたので・・・;;;


注;ディズニーの実写版ではないですよ。全くの別物です。
フランス映画ですよ。










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