古代愛猫大国の女神 [なんちゃって博物誌]
ネコ、イヌ、クマの祖先はミアキスという小型の獣だったようです。
クマとイヌは同じ祖先としても、ネコも同じだったなんて、なんか不思議ですね。
で、リビアヤマネコとかジャングルヤマネコとかを飼い慣らして、だんだん家ネコ化していったようです。
だから今でもそれらのヤマネコと家ネコの掛け合わせはうまくいくけれど、それ以外の野性のネコ科の動物と家ネコは、掛け合わせても一代で終わるか、あるいは誕生しないみたいです。
大きな瞳は光によって瞳孔が開いたり閉じたり。
小さな顔に小さく鋭いキバ、
しなやかな体に人は魅了され、何とかして手元においてかわいがりたいと思ったようです。
愛猫大国、それは古代エジプト。
今でも、エジプシャンマウという種類の猫がいますが、おそらく古代に飼われていたネコは、そんな感じだったのでしょうか。
ご存知のようにアフリカですから、下エジプトあたりには、ライオンがたくさん見られます。
そのことからライオンも神格化され、戦いの神シェッカメットや同じく戦いの女神セクメトになりました。
3500年前くらいには、ネズミを捕る能力(というか本能)をかわれ、人の生活の中に入り、家畜化したようです。
シマ縞模様のタビーちゃんは、スカラベの模様に似ているからとよけい神聖視されていたようです。
それで、あまりライオンのいない上エジプトあたりから、ライオンだった女神がネコになったのですね。
それが、バステト。
バスト、あるいはバステト。
もともとその土地の女神信仰で雌ライオンの姿だったものが、ネコに変わりました。
シストラムとう楽器、あるいはかごや盾を持ち、ネコの頭部をした女神です。
ファラオの守護者であり家の守護者、ネコが多産出ることから出産や豊穣、性愛をつかさどります。
または人間を悪霊から守るとも言われていたようですね。
神様系図によると、太陽神ラーの妹とか妻とか娘とかに当たるようです。
(古代エジプトのファラオは近親婚は普通なので、ここは明確でなくてもいいのかも?)
殺戮の神、嵐の神で雄ライオンの姿をしたマヘスはバステトの息子だとか。
ラーの天敵である大蛇アポピスをやっつけるという役目もありました。
ある時、調子に乗った人間たちを懲らしめるために、ラーはバステトを(これは女神セクメトだとも言われています)を、地上に遣わして人間を大虐殺したそうです。
あまりに彼女が残忍で容赦なく殺戮を繰り広げるものなので、ラーはちょっと後悔し、彼女をワインで酔わせておとなしくさせ、殺戮をやめさせたそうです。
セクメトとバステト。
きっと、起源は同じか、似たようなものです。
一方は下エジプトで雌ライオンであり続け、他方は上エジプトで雌ネコとなったのです。
だからセクメトは「西の淑女」、バステトは「東の淑女」と呼ばれるそうです。
上記の人間殺戮の伝説のエンディングを裏付けるお祭りがあったようですよ。
バステトをまつる神殿は一番美しい神殿と言われていました。
ナイルのデルタ地域にある、人工のオアシスに囲まれた、白い宮殿。
毎年お祭りが開かれて、着飾った人々が船で神殿まで下っていって楽しむのです。
この祭りの日は一年で最も多くのワインが消費されたと言われています。
彼女を酔わせて殺戮をやめさせた・・・・だから大量のワイン!!
古代エジプトではネコはペットと言うよりは、ネズミを捕り伝染病から人を守ってくれるありがたい存在、そして宗教的な意味合いの強い存在でした。
ネコを殺すと死刑。
誤って殺してしまうと裁判にかけられ、もしかすると二度と飼ってはいけないと禁止令が出ることも。
飼い猫が死んだら眉を剃り落して喪に服したそうです。
「生類憐みの令」なんて目じゃないかも。
でも、生贄になることもあったので、数は増えすぎることはなかったようです。
生贄にしても死んでしまったにしても、丁寧にミイラにされたので、いまでも数十万のネコのミイラが残されています。私も大英博物館やルーブルで見ました。
まるでファラオのそれのように丁寧にミイラにされて、ネコ型の棺におさめられています。
そのキャラクター設定上、やがてローマでキリスト教が国教となるまでは、月の女神ディアナと同一視されていきます。ローマも多神教だったから、生き残ることができたようですね。
ネコの歴史って、興味深い話が満載です。
次回は黒猫の秘密や、キリスト教社会でのペットとしてと迫害対象としてのお話などを、ぼちぼちご紹介しますね。
セクメトとマヘスを知りませんでした。
もっと物語が読みたいと思ったのと・・・
映画のキャットピープルを思い出しました。
by hanamura (2014-08-15 07:26)
キリスト教が伝わるまでのローマ人の宗教観は面白いですよね。
by Nicky (2014-08-15 09:25)
写真の 前足を浮かせたネコちゃんのポーズが、とてもかわいいです。
by sig (2014-08-15 18:39)
特にエジプトには動物にまつわる逸話が多いですね。
爺も大英博物館やルーブル美術館には行きましたが、
猫のミイラは記憶から消えてます。見てないのかも?。
壁や柱の彫刻に動物の頭した人間は多かったです。
by 旅爺さん (2014-08-18 11:11)
カッコいい=^_^=さんですねぇ・・・
こういう品のあるネコさんを飼ってみたいですが、相手にされないかも
しれません(~~)
日本では招き猫のゴージャス版をたまに目にしますが、格が違いますね。
by TERU (2014-08-18 12:55)
こんにちは。
古代エジプトの絵に猫がよく描かれている理由が分かりました^^。
by 海を渡る (2014-08-18 17:31)
お久しぶりです!ご訪問、ありがとうございました(^-^)/
by ciel-bleu-fonce (2014-08-18 19:22)
ワンコよりもニャンコを怖がる僕ですが、ニャンコの歴史って
スゴイんですね。古代エジプトでは女神様だとはね。
ニャンコの価値観も変わってかわいがるかもしれませんね。^m^
by SIBA-dog (2014-08-21 11:51)