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La bête du Gévaudan [なんちゃって博物誌]

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1764年から67年の間に、フランスのロゼール県ジェヴォーダンに、人食いオオカミが出現しました。
それは「ジェヴォーダンの獣」と呼ばれ、地元の人々を恐怖のどん底に陥れました。


Wikipediaから、その獣の外見を挿入させてもらいます。

「獣はウシと同じ大きさのオオカミに似た生物で、広い胸部をし、長く曲がりくねった尻尾はライオンのような毛皮の房で先端まで覆われていた、と記述されている。そして、小さく真っ直ぐな耳と巨大な犬歯がはみ出ている、グレイハウンド犬のような頭部をしていたという。獣は全身が赤い毛で覆われ、特筆すべきは黒いしまが背中の長さ分あったことだった。」

だそうです。

しかも、直立すれば人間の成人男性よりも大きく、直立して人間を襲うといいます。
10メートルほど飛ぶこともできるとか。


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主に女性と子供が狙われたそうです、家畜よりも人間が標的に選ばれました。
最初は羊飼いの少女、大人の女性、そして幼い少年たち。

頭をかみ砕かれ、心臓や肺を食われた無残な遺体として発見されました。
猛獣は普通、獲物の柔らかいところにかみつきますね。
のど元を背後から狙えば、獲物をしとめる確率が高くなります。

しかし、この獣は頭部を狙ったようです。
頭をかみ砕かれた犠牲者が多く発見されました。

wolf.jpg


襲われた少女を牛が助けました。
だからこの獣は牛を嫌う、とされたようです。


この獣のうわさは時の国王ルイ15世の耳にまで届きます。
王はウルフハンターにこの獣の討伐を命じました。
延べ2万人の人々による大規模な山狩り。

結果、体長2m弱の大きなオオカミが仕留められましたが、ジェヴォーダンの殺戮は続きました。
銃で撃ったはずなのに、獣は死なないどころか殺りくを繰り返しました。

その18か月後、ついに地元の猟師が別のオオカミをしとめると、獣の襲撃はなくなったそうです。
この獣の死体を国王に見せようと、彼はヴェルサイユに向かいましたが、夏の暑さのせいで腐敗が早く、結局何の生物なのか判断しかねるひどい状態のまま捨てられてしまったのだそうです。


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ジェヴォーダンの獣の正体は何だったのでしょう?
狼男だったというのが、結構有力な(!)説です。

狼男ね・・・・うーん。
精神異常者のほうが現実的です。
逃げ出して野生化したハイエナ説もあるそうです。

あるいは、本当に何らかの原因があって巨大化したヨーロッパオオカミかもしれません。
でもそうすると、牛などの家畜を無視して人間ばかり襲うというところがちょっと説明に詰まりますね。


日本の文化と西洋の文化を比較する際に出される例です。

日本は島国でありニホンオオカミなどの獣がいましたがあまり大型ではなくて、気候は温暖、森は木の実の恵みを人に与えたので、人々は自然と共存してきた、だから日本の庭は自然を切り取ってきたような「小さな自然」のままの庭であり、人々は木や紙でできた家に住む。

一方、地続きのヨーロッパは深い森に囲まれていて、その森の中には別の種族の人間たちや、比較的大型のクマやオオカミなどの獣も多く潜んでいる、そしてそれらは森を歩けばどこから不意に襲ってくるかわからない。だから人々は村と森との境界線を明確にするべく、頑丈な石で壁を築いた。すなわち、西洋の庭はヒトが自然を征服したことを象徴するような、左右対称とか、刈り込んだ木々で幾何学模様や迷路を作り出すような人工的な庭なのである。


・・・みたいなこと、よく現代文の文化論の読解で出てきませんでした?(笑)

つまり、人々は森を恐れていたために、その恐怖心から、このような獣を生み出したのかもしれません。
ふいにオオカミに出くわせば、それがとてつもなく巨大で獰猛な獣に見えても仕方ないでしょうね。

もしかして麦角でハイになった人たちをオオカミ人間だとしたように、何らかの化学的な根拠があったかもしれませんが、今となっては確かめようがありません。

『ジェヴォーダンの獣』という映画(2001年)がありますが、獣の正体がCGで作られたSF的な獣であったことが残念でした。
(B級映画としてはけっこういい評価を受けているみたいですが・・・)







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hanamura

先週事故で怪我したのですが、満月期だったら、もう治っているのに!
私の腕時計にmoon phaseが付いている理由・・・お!ここのカスタムペインにも!!
(まさか?)
獣の身体に変身はできませんが、今キーボードを打っているのは前足です。爆!
by hanamura (2014-05-30 12:47) 

旅爺さん

狼にまつわる話は色々ありますね。
爺はカナダの山とロシアで野生の狼を見ました。
カナダでは休憩中に望遠鏡で発見。ロシアでは山の観光地に突然目の前走って行ったんです。
by 旅爺さん (2014-05-30 12:56) 

ginchanx_5150

私はこの映画を先に知り、そういう伝説があることを知りました^^
日本の妖怪みたいな言い伝えでしょうかね〜。
by ginchanx_5150 (2014-05-30 20:46) 

アヨアン・イゴカー

狼よりもなによりも恐ろしいのは、人間の変質者、異常者です。
この狼の襲撃対象も、女性や子供であるところからは、狼の毛皮を被った変質者だったかもしれないと思います。
by アヨアン・イゴカー (2014-06-01 13:43) 

sig

 こんばんは。
映画のタイトルは知っていましたが、nikiさんの解説で観なくて済みそうです。笑
by sig (2014-06-01 21:45) 

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