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ジミ姫マリー [l'histoires de femmes]

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幼いころに母を亡くし、父もすぐに再婚してしまったために、寂しい思いをしながらそだった少女が
いました。

トスカナ大公の娘、マリー・ド・メディチです。

「あなたは大人になったら、王妃となるでしょう」

そんなある修道女の言葉を、幼い娘は信じました。
幼馴染の乳姉妹であるエレオノーラ・ガリガイとともに、彼女はそんな壮大な運命にあこがれながら
育ったのです。

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マリー・ド・メディチ


チャンスがやっとめぐってきたのは、もうすでにこの時代大年増として行遅れの域に達していた27歳の
ときでした。フランス王アンリ4世が借金を帳消しにする代わりに、メディチ家の娘を王妃に迎える約束を
実行したのでした。

特別美しくもかわいくもなく、年をとりすぎて肥満気味。
お見合い写真ならぬお見合い肖像画は、10代のころのものを送ったそうです。
彼女を垣間見してがっくりきたアンリのお話は、ちょっと前に書きました。

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エレオノーラ・ガイガイ


彼女は幼馴染のエレオノーラを侍女として従えてフランスへお嫁に行きました。
フランス語もわからない孤独の隙間を埋めたのは浪費。
ダイヤ好きの彼女は、宝石を買いあさったと言います。

もしも彼女が美貌に恵まれていたら、のちの息子の嫁になるアンヌ・ドートリッシュのように、イケメンに
好かれたかもしれませんが、彼女の周りに寄ってくるのは、権力を掌握したい下心のある男ばかりでした。

美しくなくとも残薬で大いなる野望を抱いていたカトリーヌは有名ですが、マリーと言えばルーブルに
ある、ルーベンスが描いた一代記ぐらいですよね。


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結婚式の様子


大女でそのうえ年増。フランスの国民たちは彼女の輿入れにがっかりしました。
それでも彼女は王妃としての務めはきちんと果たしました。王子を生んだのです。
この子がのちのルイ13世となります。

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アンリ4世。


アンリ4世が暗殺された後、マリー・ド・メディチを思うままに操ってわが世の春を楽しんだ人々がいました。
それは幼馴染の侍女・エレオノーラ・ガリガイと、彼女の夫、コンチーノ・コンチーニ。

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エレオノーラ


コンチーノははじめエレオノーラに近づいて取り入って、まんまと彼女の夫に収まりました。
そしてその後、妻が側近中の側近で、王妃が彼女の言いなりなのをいいことに、自分も王妃に
取り入って、愛人の座に収まったのです。

コンチーニは国家財産を自分のものにしたり、爵位を買ったり、国務官に就任したりと、好き放題です。
当然のことながら、反乱が起きました。

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コンチーニ


その混乱に乗じて台頭したのがリシュリューです。彼もイタリア人。フランス宮廷はイタリア人に操られていたのですね。

彼はコンチーニの軌跡そのままにのし上がります。
つまり、エレオノーラの愛人になって王妃に近づき、その後王妃に取り入ってその愛人になるという・・・w

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リシュリュー


マリー・ド・メディチは、あまり賢い女性とは言えないかもしれません。
同じ一族のカトリーヌと違う点は、自分で行動するか否かという点かもしれません。
カトリーヌは時に狡猾に冷酷に、息子を王位につけるために壮大な計画を自ら考え実行してきました。

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でもマリーは、どちらかと言えば与えられるものにおぼれてばかりで、流されているしかなかったのです。
息子のルイ13世も、ちょっとヘンな子になってしまいました。

彼は、女性恐怖症だったのです。かといってゲイというわけでもなくて、とにかく厄介な性格でした。
だからのちに王妃となるスペイン王女アンヌ・ドートリッシュとのあいだに、なかなか世継ぎが生まれ
なかったのです。

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母の愛情が少なかったのでしょうか・・・母のかわいがっている愛人コンチーニを暗殺してしまいます。
自分に顧みず、若い愛人の言いなりになっている母を彼は監禁してしまいます。
でもマリーは監禁場所を脱出し、息子に反旗を翻すのです。母子はすぐに仲直りします。

のちに実権を握ったリシュリューを陥れようとして失敗し国外追放、ブリュッセルで亡くなりました。
なんだか寂しい人生です。

でもきっと、幼いころから愛情が足りなかったから、多少利用されているとしても、誰かにそばに
いてほしかったのかもしれないですね・・・。




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sora

損得の渦巻く中で、寂しい思いをしていたのでしょうか。
ラストの3行にぐっっときてしまいました。
by sora (2012-10-16 07:54) 

aya

ジミ姫に納得です。
生い立ちって、影響するのですね(´エ`;)
by aya (2012-10-16 16:14) 

ゆう

正しい愛情のそそぎ方って、
難しいって、言っちゃあいけないけど。。。
う~~~~~ん。。。。。`s(・'・;)
by ゆう (2012-10-16 19:47) 

ゆう

う~~~~ん。。
う~~~~ん。。。
誰か、居なかったのかな???  `s(・'・;)
by ゆう (2012-10-16 19:50) 

水無月

寂しい人、だったのかもしれないですね。。
by 水無月 (2012-10-16 21:08) 

あきら

マリー・ド・メディチスってちょっとかわいそう。
両親にも恵まれず、当時としてはものすごく遅い結婚。
夫との夫婦仲も悪いし(あれだけ愛人がいたらあたりまえだけど)。
ルーベンスの一連のシリーズを見ると、「自分を好きになって!」
アピールしたかったんだろうなあ、とちょっとしみじみ。

by あきら (2012-10-16 23:43) 

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