『TROY』とトロイア戦争 [Movies 2 C]
お盆休み中にやっと(ほんまに今更ですが;;;)見ました。『TROY』。
見なくとも話の筋はよく知っていますが、とりあえずどんな映像なのか気になったので。
古代のギリシアやローマを描くということは、たぶん、中世を描くよりは大変なのでしょうね。
私の知識不足もあるのかもしれませんが、それとも俳優の人種的なことなのかもしれませんが、
ギリシアというよりはなんかローマっぽいな、と言うのが第一印象でした。
タイトル通り、トロイ戦争について描いています。
アキレウスが主人公で、トロイアの2人の王子、ヘクトルとパリスが目立っています。
ヘクトルは英雄なので当然かっこいいのですw
トロイア戦争はトロイアの王子パリスがスパルタの王妃で絶世の美女ヘレンをさらってきてしまうことが
発端となるのですが、それにアガメムノンの征服欲の欲深さもからまって、ギリシア中の王たちが
太陽神アポロンに愛されしトロイアを攻めに来ます。
(ギリシア中の権力者がトロイアに集まってしまったら、そのあいだにどこかの国はクーデターが
起きたり、敵に襲われたりしないのでしょうか。またとないチャンスだとおもうのですがw)
ブラット・ピットがアキレウスです。この人は表現力の幅が広い俳優の一人ですね。
すごいマッチョで驚きました。CG? それとも役のために鍛えたのですか?
おいしい役と言えばそれまでですが、あのあまりにも有名な「かかと(=急所)」をパリスに射られて
死ぬという場面はさすがだなと感心しました。他にも矢を受けていますが、それらはすべて自分で抜いちゃう
けれど、かかとだけは抜けないんですね。
冒頭からしばらくのセリフ回しは古典ぽくてなかなか良かったです。
トロイアの第一王子ヘクトルのエリック・バナもかっこいいです。
『オデュッセイア』の英雄オデュッセウスが脇役で語りべ。
アキレウスのママのテティスもちょっと出てきます。
海の精霊らしい登場の仕方でしたが、神話ではたぶん成長してからは会わないですが、アキレウスが
トロイ戦争に参加することは名を残すが必ず死ぬ、ということをわかりやすく伝えるために登場したのかも
しれませんね。
アキレウスの誕生についてはこちら→ http://niki310.blog.so-net.ne.jp/2012-04-23-4
この中では神の血を引くのは実の親がゼウス(表向きは人間の王の娘)のヘレンだけでしょうか。
アキレウスはママが海の精霊ですから、正確には「神の血」ではないかも?
(一応、半神ということですが)
軍隊はCGですか? すごいです。
そのへんはお約束みたいな感じなので、たくさんいるなぁというくらいですが。
トロイア戦争は10年もかかったということが神話には書かれていますが、これは人間の数が増えすぎたから
いっそ減らしてやろうというゼウスの思惑だそうで。
パリスの腰抜け弱虫ぶりもいいかんじですw
オーランド・ブルーム、準主役ながらよくあんな損な役を受けました・・・。
最後は逃げちゃうしw
もとの話では戦死して、ヘレンはパリスの弟と結婚、その後またもとの夫のもとへ戻るという、あっぱれな
生き方をしますが。
アキレウスとヘクトルの闘うシーンはよかったです。
アキレウスの盾と鎧はヘラの子で鍛冶の神ヘパイストスが、育ての親テティスに感謝してその息子
アキレウスに作ってあげたものですが、カッコよくデザインされていました。
(映画の中ではそのことは触れていませんが)
トロイの木馬も立体的で、今現地に飾ってあるやつよりいいかもww
あとは、登場人物たちが男女関係なくつけている髪飾り。
小さな金の輪っかをいくつかつけているのですが、なんか新鮮でしたw
・・・この映画の話の筋はずいぶん脚色されていますけれど、別にいいと思います。
トロイ戦争自体、大昔の叙事詩がモトになっているし、シュリーマンが発掘したトロイの遺跡は実は
別の層の遺跡かもしれないという意見もあるようです。
神様が一人も登場しない点がかえって良かったのかもしれません。
トロイア戦争は、トロイ側のアフロディテ、アポロン、スパルタ連合軍側のヘパストス、ヘラ、アテナ、
ポセイドン、中立のゼウスという神々の立ち位置も重要ですが、この映画には彼らは出ないのです。
登場していたら、安っぽくなっていたかも。人間臭さを表現したかったのかもしれませんね。
ブリセイスという女奴隷も実際に出てきますが、アガメムノンに横恋慕されて取り上げられ、そのせいで
アキレウスは戦争やーめた、となるのですが、映画ではトロイアの王子たちのイトコということになっていました。
そして正直言えば、なぜ彼女が突拍子もなくアキレウスに気に入られたのかがいまいちわかりません
でしたけど・・・・。
テティスの結婚式に投げ込まれた黄金のりんごから美女判断がパリスに委ねられた、という順番で考えれば、
アキレウスが生まれるのはその黄金のりんご事件より後なので、パリスのほうがはるかに年上のはず、
ですしねぇ。→ http://niki310.blog.so-net.ne.jp/2011-11-25
木馬の登場もアキレウスの死のあとですが、映画では逆でした。
映画を見て専門家がいろいろと批判したといろんなところに書いてありましたが、もとがフィクションと
ノンフィクションの交錯のなかで作られた物語なので、いろんな亜種があってもべつにいいかもしれません。
ただ、この映画を史実だと思うのは違いますけれどね。
第一、ホメーロス自身が真実を書きとめたとは限らないので。
ギリシアがトロイアを攻撃したことはしたらしいですが、かなり脚色されている模様です。
戦争はいつの時代でも罪のない人々や名もなき兵士たちが大量に命を落とすので、そのアノニモスな
暴力性がイヤなのですが、この映画や古代ローマを描いた映画は、エンターテイメントとしてスペクタクル
として、楽しめばいいのかもしれません。
なにせ、お金がたくさんかかっていますから、誰かの作り出した壮大かつ莫大なイメージを堪能するのも、
知りえなかった時代に思いを馳せるときのカンタンな手助けになりますw
日本の中古や中世を描くドラマや映画でも間違ったモノはたくさんありますが、まぁ、しかたないのです。
そんなものと思えばよいのです。専門家の目から見れば物足りなかったり文句をつけたくなるようなことは
たくさんあるでしょう。
神話にもたくさんの伝承があるし、どれか一つが真実とも限らないですね。
伝言ゲームのように伝承途中で何かが変形していくのは仕方のないことですし。
伝承とはそんなものです。
人によって解釈の仕方も違うし、何に心を奪われるか、焦点の絞り方によっても変わってきます。
一応、モトネタを知ったうえでこれはこれで楽しめばよいと思いました。
(違いを見つけるのもたのしいかも、ですw)
おはようございます。
昨日も暑かったですね、nikiさんは元気に過ごしていますか?
明日はひたちなか祭り花火大会を見に行きます。
by mydreamtoday (2012-08-17 06:09)
おはようございますo(*⌒O⌒)b
温かいコメントありがとうございます!
これからもよろしくお願いいたしますね(*⌒3⌒*)
by リキマルコ (2012-08-17 06:56)
トロイの木馬の中に入ってきました。
確かに現地の木馬より写真の方のが素晴らしいですね。
by 旅爺さん (2012-08-17 08:38)
トロイ戦争のことは恥ずかしながら名前しか知らず・・^^;
映画で歴史を知るのもいいですね。
トロイの木馬に見入ってしまいました!
by 水無月 (2012-08-17 09:11)
読んでいてさすがにnikiさま、理解が深いなぁと
感じ入りました 笑
それはともかく、映画とはどんなものでも「スペクタクル」なものですし、
それにアレコレいうのは無粋というものです。
史実通りにやったら、絶対に映像などもみすぼらしく
面白いものじゃないに決まっています。
わたくしは映画とは「映像」のスタイリッシュさと「脚本」のよさ、に
で、出来不出来が決まる、と思います。
もちろん俳優さんの演技とかもろもろの要素があるにしても、ですが。
by sadafusa (2012-08-17 09:47)
ロードショーで観て、DVDでも持っています。
神様が一人も登場しない点がよかった…
たしかに、そうですね…
生身の人間のお話し中心にして正解だったと思います。
ずいぶん観ていないので、また観たくなりました。
by vega (2012-08-17 11:08)
過日トルコを訪問した時に、トロイの遺跡を見てきました。木馬の中にも・・・
by rabbit (2012-08-17 15:24)
アキレウスやパリス。パリスの審判のパリスでしょうか。
神話の世界の物語ですが、それをシュリーマンが史実と
信じて発掘に成功しますね。
興味のある時代です。
by 青竹 (2012-08-17 16:48)
ここを読んで、久々にローマ・ギリシア神話を読みたくなりました。以前は鬼の様に本を買って読んでましたが。
金のリンゴと美女選び。牧童パリスにその審判を押しつけ・・・もとい、委ねたゼウスの行為は良かったのか悪かったのか不明です。
でも、神話はギリシア神話にしても、北欧神話にしても、奥が深いですね。
by toraneko (2012-08-18 16:20)