SSブログ

二度生まれる神の出生の秘密 [Mythologyのみそ]

a.semele1.jpg


テバイの初代の王となったカドモスは、戦いに秀でた強い人間でした。

彼がその強さから褒美としてゼウスから下されて妻としたのは、軍神アレスと美神アフロディテとの
間に生まれた女神ハルモニア。
名前からして想像に難くはないですが、そう・・・・ハルモニアとは、「調和」を意味しますね。
戦争には、調和がのちに必要になるという関連からでしょうか。

二人の間に生まれた人間と女神のハーフの子供たちは、みな不幸な最期を遂げてしまうために、
二人はテバイを去って流浪の旅に出たと言われます。

カドモスが蛇に姿を変えてしまうとき、変わり果てた夫を抱き続けて自らも邪身になり果てたそうです。
だから、蛇を体に巻きつけた格好で描かれることが多いのですね。

a.halmonia3.jpeg


セメレも、不幸な最期をとげたこの二人の間の娘の一人でした。

彼女の美しさに目を付けたゼウスが、身分を隠して彼女のもとへ通ってきます。
自分はゼウスだと名乗りますが、決して神としての姿を彼女には見せません。

やがて彼女はゼウスの子を身ごもりました。
これを知って激怒したのはゼウスの妻・ヘラ。

「半分人間の身で」と嫉妬に狂ったヘラは、彼女を陥れることにします。
彼女のもとへ、乳母のかっこうをして会いに行くのです。

a.semele2.jpg


久しぶりに会った乳母に喜んだセメレは、つい気を許し、自分のところに通ってくる男がゼウスと
名乗っていることをばらしてしまいます。

乳母に化けたヘラはセメレを言葉巧みに言いくるめ、その男が本当にゼウスか、ゼウスをかたる偽物
なのかを確かめるようにけしかけます。

そして乳母(に扮したヘラ)の言葉に不安を覚えたセメレは、愛する相手を試すことにするのです。

「いとしいお方、あたしの望みは何でも叶えてくれるって、おっしゃったわね?」
彼女はゼウスに「テュクスの水」に誓わせます。
冥府に湧き出るこの泉に立てた誓いは、神でさえも破ることができないのです。
これはもちろん、ヘラが教えたのです。

a.semele3.jpg


ゼウスはそれがヘラの入れ知恵だと気付きますが、誓ってしまったからには時すでに遅し、でした。
「いとしく愚かなセメレ。仕方がない、どうしてもというならば、見せてやろう」

ゼウスはたちまちに、本当の姿を現しました。
いな光るイカズチを手にした全能の神のあまりのまばゆさに、かわいそうなセメレはたちまちに
焼け死んでしまいました。

a.dion2.gif


悲しみに暮れるゼウスは、焼け死んだセメレの遺体から未熟児を取り出すと、自分の太ももの
内側に入れて縫い付けました。

時が満ち、この子は父であるゼウスの太ももから生まれることになります。
この子はのちに酒の神となるデュオニュソス。
彼の波乱と狂乱に満ちた人生は、次回に続きます。


coucou♪(・ω・)ノ!(260)  ご自由に(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

coucou♪(・ω・)ノ 260

ご自由に6

macinu

ためになりました~
by macinu (2012-08-12 07:43) 

水無月

悲しいお話ですね…続きが気になります!
by 水無月 (2012-08-12 10:20) 

daimuran

Thanks a lot.
by daimuran (2012-08-12 13:58) 

青竹

白鳥座も確かスパルタの王の妃レダの元に通うため
変身した姿だったかと思います。
大熊座のカリストーもゼウスが恋をしたニンフだったかと。
常にゼウスの妃ヘラの嫉妬がついて回りますね。
ギリシャ悲劇と同じで神話も悲劇的なものが多いですね。
by 青竹 (2012-08-12 15:44) 

ja1nuh

神話の世界もほんとうに恐ろしいですね。 こんな神様が作った人間の世界も恐ろしくなるわけですよね。
by ja1nuh (2012-08-12 18:36) 

PATA

ゼウスも罪深い神様ですね。
続き楽しみにしてますね。
by PATA (2012-08-12 21:08) 

ご自由にを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
a.HesiodListening to the Inspiration of the Muse.Edmond Aman-Jean.small.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。