小アグリッピナ [l'histoires de femmes]
悪名高き皇帝ネロを産んだ、古代ローマの悪女です。
母が同じ名前であったために、母は大アグリッピナ、彼女は小アグリッピナと呼ばれます。
なんと同母兄にはこれまた悪名高い皇帝カリギュラがいます。すごい兄妹@_@;;;
彼女は2度目の結婚でローマ貴族との間にネロを産みました。
その時に、占い師が言いました。
「この子はのちに皇帝になるが、そうなれば母を殺すであろう」と。
アグリッピナは不安がるどころか、嬉々として言ったそうです。
「そう? 皇帝になってくれれば、殺されたって構わないわ!」
彼女の3度目の結婚は、父の弟、つまり叔父との結婚でした。
兄のカリギュラが暗殺されて、叔父が皇帝の位についたのです。
皇帝の妃は、淫乱なメッサリーナでしたが、殺されてしまったためにアグリッピナが妃の座に就いたのです。
かつて母の大アグリッピナがそうしたように、彼女も自分の産んだ息子を帝位に就ける野望に取りつかれました。(もしかして、彼女が裏で糸を引いていたのかも?)
かくして彼女は、毒キノコで夫を暗殺します。
そうして息子を帝位に就けましたが、息子が言うことをきかなくなってくると、権力の亡者となっていた
アグリッピナは夫の前妻の子を代わりに帝位に就けて操ろうとしたり、はては息子を意のままに操るために
誘惑して関係を結んだと言います。
兄のカリギュラも彼女と関係を持っていたというので、現代人の道徳観からすればちょっと信じられませんが、
彼女はそれをやってのけました。
しかしネロの側近の中に、母后を排除しようと強硬論を持ち出す者たちが出てきます。
ネロは母親を暗殺する決心を固めました。このままだと、母が自分のことも殺しかねないと危険を
感じたのでしょう。
兵が彼女の屋敷に押し入って、彼女を刺し殺そうとした時に、兵士に向かって叫んだそうです。
「私の腹を刺しなさい!! 皇帝はここから生まれたのだから!!」
ネロが誕生した時の占い師の予言は、真実になってしまいました。
この頃の時代の人達の宗教感て?
by sa78533 (2011-11-23 11:23)
塩野七生さんの御陰で、古代ローマ大好きです。
by hanamura (2011-11-23 12:51)
ネロの母親だけあってすごいですね。
「そう? 皇帝になってくれれば、殺されたって構わないわ!」
「私の腹を刺しなさい!! 皇帝はここから生まれたのだから!!」
想像を絶する言葉で、驚きます(+o+)
by nana_hyr (2011-11-23 15:35)
欲望に正直、っていうのでしょうかねえ。
自分が皇帝に、っていう選択は無かったのかな、この時代は。
by ナツパパ (2011-11-23 17:52)
ローマ近郊の山の上にあったアグリッピーナの住居跡地に住んでました。
by daimuran (2012-07-12 00:34)
読むからに恐ろしい話・・・。
凄い女性がいたものです。
by PATA (2012-07-13 00:03)
シェイクスピア『マクベス』は、こういった史実にインスピレーションされて生まれた物語なのかもしれませんね。
by Hirosuke (2012-10-20 06:09)