伝説の女教皇ジョヴァンニ8世 [l'histoires de femmes]
女性の教皇がいた、というと、ちょっとびっくりですね。
なにせ、時代が1400年くらい前の人物で、スキャンダルのために法王庁が17世紀にその存在を抹殺してしまったというので、実在したのか伝説なのかは、確かめようがありません。
よい治世であったとはいえたったの2年間でしたし、どのように生涯を閉じたのかも定かではないのです。
伝説はこうです。
9世紀、聡明な少女ジョヴァンナは、尼僧院にいました。
ここである修道士と出会い、恋に落ちます。
彼はジョヴァンナを男装させて自分の修道院に入れ、二人はしばらくの間、隣続きの部屋で暮らし、
秘密の逢瀬を重ねていました。
しかしある日、二人の仲が発覚してしまい、アテネへ逃避行するのです。
アテネではジョヴァンナの「修道士」としての博識が広く評価されるようになります。
そして彼女は野望を抱くようになります。
というか、もともと、男性と結婚して幸せになることよりも、学問を究めたいというのが幼いころからの彼女の夢だったのです。
彼女は恋人を捨てて、学問を究めるために単身ローマに向かいました。
ローマでもこれまた博識が認められて、聖マルティーノ学院で神学教授を務めます。
そして教皇が亡くなった時、神学教授だったジョヴァンナに次代の教皇の座が転がり込んだのです。
彼女は女であることを隠して、教皇ジョヴァンニ8世として即位しました。
「ジョヴァンナ」は女性の名前ですが、これを男性形にすると「ジョヴァンニ」です。
30代半ばになっていた彼女は、よい治世を行いました。
しかし、思わぬことが起こります。
法王庁の侍従の一人のある青年と関係を持ってしまうのです。
やがて彼女は妊娠し・・・・博識であっても、妊娠に関する知識は乏しかったようで、サン・ピエトロ大聖堂から
サン・インラテラ大聖堂へ向かう途中の路地で産気づいて、狭い路地裏で出産してしまったのですって。
ここからの伝承は様々で、
①生まれた子もろともに市中引き回しにされて処刑された
②この出産で死亡した
③全くの不明
うーん、確かに、法王が出産したらそれは仰天だけれど、出産は神聖なものだから、殺されるのはかわいそうです。法王庁を追放されて、どこかでひっそりと母子ともども暮らした・・・とでもしておいてほしいです。
伝説だ!!と言い張られることも多いですが、それ以降、確かに歴代の法王が参詣の際にこの路地をさけて通るという風習はあったそうです。
それに、歴代の法王の像が飾られている中で、レオ4世とベネティクト3世の間に、誰かの像が抜けていると言われます。女性の法王を否定した後世の何人かの法王たちによって、その存在自体が抹殺されたために、詳しいことがよくわからないのです。
たしかに、法王庁の最大のスキャンダルですものね・・・。
2009年にはこの法王をモデルにした物語から、アメリカとドイツ合作の映画『Pope Joan(法王ジョアン)』が
制作されました。
女性の教皇がいたことは全く知りませんでした。
何ともミステリアスなお話。
by 太陽の玉子 (2011-09-09 11:20)
テンペストにも似ていますね。
by elzawild (2011-09-09 12:25)
伝説の女教皇ヨハンナの話は、大変興味ありますね。映画を観たいと思い調べると、日本未公開で、日本ではDVDも発売されておらず残念です。
by たいちさん (2011-09-09 13:50)
現代では、女性の法王がいても良いのに、なんて思います。
あ、カトリックの神父さんは妻帯できないからダメなのかなあ。
by ナツパパ (2011-09-09 20:47)