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❁アドニスをめぐる二人の女神の花いくさ❁ [なんちゃって博物誌]

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ギリシア神話の中の三角関係です。

美と愛の女神アフロディテと冥府の女神ペルセポネーが、美少年をとりあったお話ですよ。

アドニスは人間の子供でした。
アフロディテの神殿が建つパポスの王となったキニュラスには、ケンクレイスと言う名の妃がいました。
彼女が生んだスミュルナという姫君は、たぐいまれな美少女に育ちました。
母はこの娘を自慢して、「娘はアフロディテよりはるかに美しいのよ」といいふらします。

アフロディテはこの思い上がりに憤慨して、なんと、姫君に呪いをかけてしまうのです。
あの思い上がった女の娘が、自分の父親だけを恋い焦がれるように。

かくしてスミュルナは、実の父である王を男として恋い焦がれ、恋煩いで死にそうになります。
日に日に痩せ衰える姫君を気の毒に思った侍女が一計を案じ、王にこっそりと申し出をします。


「王様に恋い焦がれているご婦人がいらっしゃいます。そうかお情けをかけてくださいませ。ただし、ご婦人は身分がばれることをおそれていらっしゃいますので、ご婦人がおいでの時は、部屋を暗闇にしておいてくださいませ」

王は・・・こんな申し出を光栄に思って快諾します^^;;;
でも・・・王は好奇心に負けて、相手の女を明かりをつけてみてしまうのです。そして驚愕!
なんと、自分の娘ではありませんか!

王はこのうえは娘を殺そうとします。
スミュルナは何とか逃げ延びました。
そして逃げ延びたアラビアの地で没薬(もつやく)の木に姿をかえます。

木のまま彼女は息子を産みました。

それが、アドニス。

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ペルセポネ。ゼウスとデメテルの娘。冥府の王ハデスの妻。


アフロディテは生まれたてのこの子の美しさに感動して、「あたしのものにしよう」と決めます。
そして誰かの目に留まって横取りされないように、箱に詰めて冥府の女神ペルセポネに委託するので。

ado.persephone.jpgペルセポネ。ザクロは死者の国の象徴。

ペルセポネは好奇心に負けて、箱の中身を見てしまいます。
すると中には、たぐいまれな美貌の少年がいたのです。
冥府の女神は一目で彼が気に入りました。

そしてアフロディテが箱を返せと言ってきたのを、拒否したのです!
かくて、花いくさが始まりました。

「花いくさ」のもともとの意味は、平安時代に二手に分かれて桜の枝をそれぞれ出して、
その見事さや、それについての和歌の出来栄えを競うゲームのことです。

ado.Kauffman.jpgアドニスとアフロディテ。

美少年のアドニスという「花」を巡って、二人の美しい女神が恋の火花を散らします。
どちらの女神も自分の美しさと意地にかけてもアドニスを譲ろうとはしません。
二人の女神のいがみ合いに困ったゼウスは、こんな制裁を下しました。


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「アドニスは、一年の三分の一はアフロディテと、三分の一はペルセポネと、あとの三分の一は
自分の自由に過ごすがよい」

かくてアドニスは二人の女神に交代制で愛でられるようになるのです。

アフロディテはこの美少年をとても寵愛しましたが、彼は狩りの最中に、イノシシに腹を突かれて死んでしまいました。これはアドニスへのアフロディテの寵愛ぶりに嫉妬した、彼女の古くからの愛人・戦いの神マルスが、イノシシに化けてアドニスを殺してしまったのです。


ado.RomanoGiulio.jpg
アドニスを追い回す、嫉妬に書かれたマルス。


アドニスから流れた血は、赤いアネモネの花になりました。

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そしてアフロディテが流した悲しみの血の涙は、真っ赤なバラに変わったのです。

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末尾ルコ(アルベール)

う~ん(笑)
この神話、大好きなんですよ。
ギリシャ神話はメチャメチャ好きなんですけどね。
アネモネも大好きです。

                         RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2011-07-19 00:24) 

aidesu

スゴイ話ですね^^
by aidesu (2011-07-19 01:55) 

ラブスコール

この恋い焦がれる情熱・・・って、素敵。。。
by ラブスコール (2011-07-19 05:00) 

(。・_・。)2k

薔薇って血からできてたのか~
確かにそうかもね 凄く情熱的な色の赤があるもん
by (。・_・。)2k (2011-07-19 12:48) 

arles

恋焦がれる情熱いつのまにか忘れてるわ・・・。
by arles (2011-07-19 14:56) 

月夜空

こんにちわ^^
花いくさは、最後は血が花になって終わったのですね。
by 月夜空 (2011-07-19 17:45) 

ナツパパ

なんか自己中ばっかり...ギリシャの神々ってすごいですねえ。
by ナツパパ (2011-07-19 17:57) 

hirosan

どこの国でもジェラシーの恐ろしさは変わりませんね~
私が花になるなら桔梗がいいですね~ 欲張るなって?。。。
by hirosan (2011-07-19 19:30) 

タカタカ

いい話しですよね一つ賢くなりました(^_^)
by タカタカ (2011-07-19 19:48) 

泣き虫ピコ

アドニス、今西洋造園史でまさに習っている所でした。
本当にnikiさんの博識には目を見張ります。
読ませて頂いて、為になる事ばかりですm(__)m
絵やレイアウト構図、間の取り方
綺麗ですね(*^_^*)
by 泣き虫ピコ (2011-07-19 22:02) 

ken

こんばんは。
コメントありがとうございました。
海浜公園は良く行きます。
また遊びに来ますね。
by ken (2011-07-19 22:34) 

sig

神々とはいえ、なんと人間的なことでしょう。笑
by sig (2011-07-20 00:39) 

Hirosuke

あぁ、そんな風に奪い愛されたかった。

by Hirosuke (2012-01-22 19:59) 

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