王妃マルゴ~現実とフィクションの交錯~ [l'histoires de femmes]
イタリアのメディチ家から嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスとフランス王アンリ2世の三女マルグリット。
父王アンリ2世
「マルゴ」とう相性は、それぞれ王になった3人の兄たちがつけました。
左から、フランソワ2世(メアリ・ステュアートの最初の夫)、シャルル9世、アンリ3世、マルゴの兄たち。
母はそうでもなかったけれど、彼女は絶世の美女だったといわれます。
兄たちと近親相姦の関係にあり(これは近代社会まであまりタブーとはみなされていなかったようですが、
本当かただのうわさなのかは知るすべがありませんが、自ら回想録を描いているので本当かも知れません)、
少女のころから次々と気に入った男たちを誘惑していたため、淫婦マルゴとも呼ばれています。
まだ幼さの残るマルゴ。
ここからはわかりやすくするために、史実は白文字、フィクションはブルーで表します。
16世紀後半のフランスでは、カトリックとプロテスタント2派の争いが続いていました。
マルゴの母カトリーヌは、夫の死後息子の摂政として実権を握り、プロテスタント一層のチャンスを狙っていました。
そのために、プロテスタントのユグノーの長であるナヴァル女王ジャンヌ・ダルブレの息子ナヴァル王子アンリと
自分の娘マルゴを結婚させようと画策します。
ナヴァル女王ジャンヌ・ダルブレ。
でもマルゴにはすでに、好きな人がいたのです。それが従兄のギーズ公。金髪長身の美男です。
ギーズ公。
母によって引き裂かれ、彼女はナヴァル王子と結婚することに。
ギーズ公との仲に激怒した母と兄シャルルは、彼女をぼこぼこにしたと言われます>_<
おかしなことに、結構式前夜、ナヴァル女王が急死しました。
・・・・マルゴの母のカトリーヌ・ド・メディシスが毒殺したという説もあります。
まもなくマルゴの兄である王が毒殺されます。
これはマルゴの形式上の夫となったナヴァル王子を暗殺しようとしたカトリーヌが、間違って自分の息子を毒殺してしまったものでした。
結婚式の夜、彼女は初夜を共にすることを拒否して、街に出て行きずりの青年貴族を捕まえます。
『王妃マルゴ』でマルゴを演じるアジャーニ。仮面をつけていても美しいのです。
そして婚礼の祝いの日、ヨーロッパ各国から集まった諸侯や見物人でごった返す中、母のカトリーヌは大勢のユグノーを大虐殺するのです。娘の結婚祝いに敵をまとめて虐殺する母って・・・。
虐殺の様子。
これが歴史に残る、カトリーヌを悪の王妃と呼ぶ所以となった「聖バルテルミーの虐殺」です。
ナバル王アンリは幽閉されました。しかしのちに密かに脱獄します。
マルゴは取り残されましたが、しばらくして夫のもとへ送り届けられました。
19歳の少女と18歳の少年の、しかも敵同士の初めから望まない結婚です。
マルゴとアンリ。
二人の仲は愛情も感じられないほど初めからさめきっていました。
お互いに数人の愛人を公然と持っていたのです。
『王妃マルゴ』(La Reine Margot)は、アレクサンドル・デュマの小説です。
1994年のイザベル・アジャーニ主演のものは、その何度目かの映画化です。
王の毒殺は、マルゴが愛人にした、街で拾った青年貴族が犯人に仕立て上げられ、無実の罪を着せられて 処刑されることで収まりました。
映画ではラ・モルをヴァンサン・ペレーズが演じました。
この話は彼女の弟・エルキュール=フランソワの従者であった貴族、ジョセフ・ラ・モルがモデルになっているのでしょう。ラ・モルは兄のシャルル9世を暗殺しようと企てたマルゴとフランソワの代わりに、犠牲で斬首となりました。
>弟・エルキュール。
シャルル暗殺未遂事件で処刑されたラ・モルの首を、マルゴは夜中に馬車で処刑台にやってきて、
密かに持ち帰るのです。
そして首に死に化粧を施して、防腐処理をしました。
右がエルキュール。後ろにいるのがラ・モル。
さらにその首と、心臓の模型を作らせて、ドレスにぶら下げて宮廷を練り歩いたと言われます。
みんなあっけにとられたでしょうね・・・。
マルゴ。
映画では、狂気に向かうマルゴの心情を表現して盛り上がったところで終わります。
ちょっときわどい部分だけを描いたといえばそれまでの映画ですが。
アジャーニの美しさを見るだけでも価値があります。
のちにマルゴは夫にも反旗を翻しますが、失敗して逃走します。
でも捕えられて18年間幽閉されます。
そこでも彼女は看守を誘惑して、その幽閉場所であった城を手に入れてしまうのです。すごい。
マルゴの兄弟はすべて死亡して、ヴァロワの血統は絶えます。そして次に王位を継いだのは、
マルゴの夫、アンリでした。
オランダ提督のドン・フアン・デ・アウストリアは、マルゴに会って彼女にすっかり魅了されてしまったことがありました。そして彼は彼女のことを、「男を破滅させる美女だ」と評しています。
ドン・フアン・デ・アウストリア
その後、夫と離婚して彼女はセーヌ左岸の館で余生を送りました。
余生と言うか…62歳、腎臓結石で死ぬまで、若い恋人が絶えなかったと言います。
まあ、すごい・・・の一言に尽きます( ´艸`)
映画はスペクタクルで楽しかったですね。
RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2011-07-15 00:45)
時代なの?毒殺されちゃうことが多いよね
うかつにメシも食えないね(^^;
by (。・_・。)2k (2011-07-15 00:49)
ルコ様>>>>まさにエンターテイメントでしたね^^
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(。・_・。)2k様>>>>カトリーヌ・ド・メディシスはお抱えの毒薬師を持っている、毒殺のプロ(?)でしたwww
by niki (2011-07-15 01:17)
面白い!!!
文章が上手すぎる~~~
マルゴ妃の本ないかしら。読みたくなってきたわ^^
by ukbeat (2011-07-15 06:51)
破滅してみたい!
ようなしたくないようなw
イザベル・アジャーニ萌えしてたころが私にもありました~
by nois (2011-07-15 07:47)
思いのままに生きる・・・それがなにか悪いことなの?
と言われそうな女性ですね(^w^)
by rtfk (2011-07-15 08:05)
DVDみたいな・・・。
by ぴーすけ君 (2011-07-15 09:22)
映画『王妃マルゴ』,封切り時には見そびれてしまいました。
機会があったら鑑賞してみたいです。
by 【みなと】 (2011-07-15 13:29)
どこかに録画しておいたテープがあるはず。
by sig (2011-07-15 16:25)
ご訪問ありがとうございました。
こんごともよろしくお願いします。
by kazu-kun2626 (2011-07-15 19:53)
歴史を知るほどに今の時代に生まれてきたことを感謝します。
by secretariat (2011-07-17 11:46)
王妃マルゴの映画は
何回観ても、好きです。
by sadafusa (2012-09-16 02:05)